概要情報
事件名 |
日本チバガイギー |
事件番号 |
東京高裁昭和60年(行コ)第28号
東京高裁昭和60年(行コ)第31号
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控訴人 |
中央労働委員会 |
控訴人 |
日本チバガイギー 株式会社 |
控訴人参加人 |
総評合化化同総連・化学一般労連日本チバガイギー支部 |
判決年月日 |
昭和60年12月24日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、化同日本チバガイギー労組が公然化とともに、賃上げ等の要求に関し、団体交渉を申し入れたところ、会社は、(1)朝礼で部長が組合非難の発言を行い、(2)組合が集会開催のために食堂あるいは中庭の使用を申し入れたところ、その使用を制限し、(3)組合員が鉢巻、腕章を着用して就労したところ、その取りはずしを要請し、(4)夏期一時金について組合との妥結が遅れたことを理由に、組合員に対する支給時期を他の従業員より遅らせ、(5)組合員の会社構内におけるビラ配布に対して、その妨害を行い、かつ警告書を発し、(6)組合掲示板貸与の要求に対して組合活動を制限する貸与条件でなければ貸与できないとして、組合掲示板を貸与せず、(7)その他支配介入の言動があったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審大阪地労委(50・10・17)は、会社の右行為は(7)を除きいずれも不利益取扱いあるいは支配介入であるとして、(1)組合掲示板の貸与、(2)陳謝文の掲示を命じ、中労委(53・7・5)は、初審命令中、腕章取りはずし要請は不当労働行為に当たらないとして、陳謝文からこの部分を削り、その余の再審査申立てを棄却した。会社がこれを不服として行政訴訟を提起したところ、東京地裁(60・4・25)は中労委が地労委の救済命令を維持した掲示板貸与命令並びに陳謝文掲示命令のうち組合集会開催のための施設利用拒否及び一時金支給を遅らせた部分を取り消し、その余の請求を棄却したため、中労委、会社双方がこれを不服として控訴していたものである。これに対し、東京高裁は、控訴棄却の判決を下した。 |
判決主文 |
一 昭和60年(行コ)第28号事件及び同第31号事件の各控訴を棄却する。 二 昭和60年(行コ)第28号事件の控訴費用は同事件控訴人の負担とし、同第31号事件の控訴費用は同事件控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
朝礼の場において、工場長兼生産部長が、組合の上部団体を誹謗し、組合脱退勧奨をしたことにつき、これを不当労働行為であるとした原判決は正当である。
3020 組合活動への制約
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合の午後5時からの食堂使用許可申入れに対し午後6時からの使用しか認めず、更には屋外での集会開催をも認めなかったことにつき、会社の不許可理由には合理性が認められ、権利の濫用と認められるような特段の事情は存在しないとして労委の救済命令を取り消した原判決は正当である。
3020 組合活動への制約
組合が行った会社構内における無許可ビラ配布行為は就業規則に違反する行為であるとして警告を発したことにつき、これを正当な組合活動に対する支配介入であるとした原判決は正当である。
6341 事実認定の誤り
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
夏季一時金交渉にあたり、会社が組合のその他の要求事項との一括妥結に固執したため妥結が遅れ、支給期日が別組合に比べ4日遅れたことにつき、会社は意図的に妥結を遅らせたものではなく、組合の弱体化を図って行った行為とは認められないとして労委の救済命令を取り消した原判決は正当である。
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
掲示板の貸与に関する交渉において、会社が掲示事項の許可制、掲示物の届出等を条件としたため交渉が妥結するに至らず、結果的に掲示板が貸与されなかったことにつき、これらの条件は何ら不合理とは言えず、会社がこれらの条件を提示したことは何ら不当とは言えないとして労委の救済命令を取り消した原判決は正当である。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集20集427頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 36巻6号 785頁 
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