概要情報
事件名 |
山口放送 |
事件番号 |
山口地労委昭和48年(不)第6号
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申立人 |
民放労連中四国地方連合会 |
申立人 |
X1 |
申立人 |
民放労連山口放送労働組合 |
被申立人 |
山口放送 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年 4月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、新入社員X1と黄犬契約を締結し、これに基づき、組合加入を妨害し、同契約に従わず組合員と交際した同人をアナウンサーとして不適格であるとして解雇した事件で、原職復帰、バック・ペイ、ポスト・ノーティスを命じ、慰謝料については却下し、陳謝文の交付については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人X1に対して、昭和47年8月28日に行なわしめた同月25日付け離職が なかったものとして、同人を他の女性嘱託採用者と差別のない労働条件をもってアナウンサ ーとしての原職に復帰させ、かつ、昭和47年8月26日以降原職復帰に至る間に同人が受ける はずであった諸給与相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、命令書(写)交付の日から10日以内に、縦1m×横2mの白色木板に、下記の とおり墨書して、被申立人会社の本館ロビーの見やすい場所に10日間掲示すること。 記 当社は、貴組合の組合員X1の入社に際し、貴組合に加入しないこと、貴組合員と交際し ないことを雇用及び雇用継続の条件として、同人の貴組合への加入を妨害し、更に離職させ ましたが、これらの行為はいずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はし ないことを誓約いたします。 昭和 年 月 日 山口放送株式会社 代表取締役社長 Y1 民放労連山口放送労働組合 執行委員長 X2 殿 X1 殿 民放労連中四国地方連合会 執行委員長 X3 殿 3 慰謝料の支払いについては却下する。 4 申立人等のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
0500 勤務成績不良
1501 黄犬契約
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
アナウンサーとして不適格を理由に解雇されたX1が、適格性を有していることは入社後の会社の同人に対する取扱いから明らかであり、放送事故が他と比べ著しく多いとの疎明もなく、嘱託採用の女性アナウンサーで、適性がないとして他職種に配転されても解雇された例はないこと、会社が同人の組合員との交際を問題視していたこと等から、本件離職は黄犬契約に基づいて雇用継続を打ち切ったものである。
1501 黄犬契約
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が新入社員との間に黄犬契約を結んだとして組合が問題にした例が多いこと、X1も入社試験時に紹介者から部長からの伝言として組合に加入しないことが雇用条件である旨告げられていること等よりすれば、同人は、黄犬契約を会社に結ばしめられたうえ、入社したものと推認でき、かかる会社の行為は不当労働行為である。
4000 退職金等の受領
被解雇者は解雇予告手当を受領しているが、退職願の提出を拒否し、離職を不当として追求していること、本件離職にかかわる訴訟を提起していること等から、本件離職は、本人が不本意ながら会社により企業外に排除せしめられたことが明らかであり、本件申立てについては被救済利益がある。
5005 損害賠償の請求
慰謝料の支払いについては、原状回復の範囲を逸脱するものであり却下する。
5200 除斥期間
5201 継続する行為
X1の離職の日が何時であったかについて労使の主張はいずれも判断しがたいが、本件申立てに先立ちなされた裁判所への訴状とこれに対する会社答弁書において本人が8月28日に退職した旨記載されていること等から、本件離職の日は8月28日と推認せざるを得ない。したがって本件申立ては労組法第27条第2項に該当しない。
5201 継続する行為
会社はX1の組合加入妨害を目的として黄犬契約を締結し、それに基づき組合加入妨害行為を続けた末、本人を離職せしめたもので、これら一連の行為は継続する行為と認められ、その行為の終了した日の翌日から除斥期間が起算されるので、本件申立は除斥期間内の申立である。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集55集453頁 |
評釈等情報 |
 
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