概要情報
事件名 |
吉田鉄工所 |
事件番号 |
中労委昭和46年(不再)第61号
中労委昭和47年(不再)第21号
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再審査申立人 |
株式会社 吉田鉄工所 |
再審査被申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
命令年月日 |
昭和47年11月15日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
分会活動家に対する配転、出勤停止処分、分会員に対する年末一時金、昇給の差別扱い、慰安助成金、初出祝金の不支給をめぐる事件で、配転に伴う減収分年末一時金、昇給差別分のバックペイ、慰安助成金、初出祝金の支給、ポスト・ノーティスを命じた初審命令を支持して再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件各審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
会社が臨時一時金支給に際し、分会の配布したビラの誤りを指摘し「わび状」の提出を求め、分会もこれを認めて訂正ビラを配布したにもかかわらず、なおも「わび状」提出に固執した会社の態度は、分会の誤報ビラ配布の奇貨として、分会および分会員の差別扱いを企図した不当労働行為である。
1202 考課査定による差別
年末一時金および年末昇給で分会員を低く査定したことの合理的理由が認められず、結局、分会の組合活動を嫌悪する会社の一貫した意図で、やり方によっては恣意的に運用しうる新たな査定方式を導入し、査定において分会員を不利益に取扱い、もって分会員の動揺を図り、組合の弱体化を意図したものと認めざるを得ない。
1201 支払い遅延・給付差別
分会が査定権を認めないから賃上げおよび夏期一時金について妥結できず、査定分が支給できないとする会社の主張には合理的理由がなく、会社の意図はむしろ交渉を不当に遅延させることにより分会員を経済的に圧迫し、動揺させ、もって分会を弱体化させることにあったと認めざるを得ない。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員X1を減収を伴う職場に配転したことは、合理性が認められないことからみて、同人が分会の組織拡大を目ざして、ひそかに組合員の獲得活動を行なっていることを知った会社が、同人の組合活動に対する報復的措置として、勤務成績不良に藉口して行なった不利益扱いであるとともに、組合の弱体化をねらったものと認められる。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員X1に対する職場離脱、業務用運搬車への落書等を理由とする出勤停止処分は、これらの理由が、従来ならば不問に付される程度のものであることからみて、同人の組合活動に対する報復的な不利益取扱いであり、また、分会の弱体化を意図してなされたものである。
1601 福利厚生上の差別
別組合に対しては慰安会助成金および初出祝金を支給しながら、分会に対するこれらの不支給行為は、合理的理由が認められないことからみて、分会および分会員を不利益に取扱うことにより会社の意図を従業員に明確に示し、分会の弱体化を図ったものである。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集48集458頁 |
評釈等情報 |
 
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