概要情報
事件名 |
吉田鉄工所 |
事件番号 |
大阪地労委昭和46年(不)第15号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 吉田鉄工所 |
命令年月日 |
昭和47年 3月10日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
分会公然化後、45年賃上げ、夏季一時金および同年末一時金の支給において、考課査定得点を別組合員の平均得点より低く査定した事件で、申立てを認容し、別組合と同一基準で査定し、または、別組合の平均得点を下回らないで措置した差額支給とポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合の吉田鉄工所分会員に対する昭和45年度賃上げおよび同年の夏期一時金については、全日本労働総同盟全国金属産業労働組合同盟大阪地方金属吉田鉄工所労働組合(以下「吉田労組」という)の組合員と同一の基準により支払わなければならない。 ただし、考課査定にあたっては、申立人組合の吉田鉄工所分会員の平均点が吉田労組組合員の平均点を下まわらないよう措置しなければならない。 2. 被申立人は、昭和45年の年末一時金の考課査定部分について、自動的に評価できる精勤度をのぞき、他の4項目について申立人組合の吉田鉄工所分会員の査定得点を吉田労組組合員(ただし、第9表記載の組合員に限る)の平均点まで引き上げて、すでに支払済みの金額との差額を支払わなければならない。 3. 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、会社本社工場正門附近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 全大阪金属産業労働組合 委員長 X1 殿 吉田鉄工所分会 分会長 X2 殿 株式会社吉田鉄工所 取締役社長 Y1 当社は、昭和45年度賃上げおよび夏期一時金をめぐる要求について、正当な理由もなく妥結することを拒否し、また同年の年末一時金について貴組合の分会員を不当に低く考課査定しました。 このようなことは、労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、陳謝するとともに、今後このような行為をくり返さないことを誓約いたします。 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
会社の45年賃上げおよび同年夏季一時金支給における団交態度、考課査定にあっては別組合の優遇措置からみて、分会に対する交渉未妥結を理由とする不支給は不当労働行為に該当する。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
会社は、分会員に対する一時金支給の考課査定が、分会公然化前ではおおむね会社の平均額であったのに、分会公然化直後に、極端に低額であったことについての合理的説明ができないことからみて、明らかに不当労働行為に該当する。
4419 現存格差を一挙に是正した例
考課査定の是正としては、自動的に評価できる精勤度を除き、他の項目については、分会員の考課査定得点を別組合員の平均得点まで引上げ、すでに支払済みの金額との差額を支給するよう命ずる。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集46集218頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1972. 6. 1 148号 74頁 
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