概要情報
事件名 |
吉田鉄工所 |
事件番号 |
大阪地労委昭和45年(不)第18号
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申立人 |
全大阪金属産業労働組合 |
被申立人 |
株式会社 吉田鉄工所 |
命令年月日 |
昭和46年11月 2日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
分会活動家に対する配転、出勤停止処分、分会員に対する年末一時金、昇給の差別扱い、慰安助成金、初出祝金の不支給をめぐる事件で、配転に伴う減収分、出勤停止期間中のバックペイ、年末一時金、昇給差別分のバックペイ、慰安助成金、初出祝金の支給、ポストノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対し、昭和44年8月1日づけの配置転換をしなかったものとして取扱い、同日から昭和46年3月5日までの間の、同人の賃金差額(奨励金、吹キ手当および深夜労働の割増賃金の、配置転換前3ケ月間の平均月額と配置転換後の月額との差額)を支払わなければならない。 2 被申立人は、X1に対し、昭和44年10月27日から同月31までおよび昭和45年2月12日から同月19日までの間の各出勤停止処分をしなかったものとして取扱い、同処分を受けなかったら同人が得たであろう賃金相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合の吉田鉄工所分会に対し、昭和44年秋季の慰安会助成金として、同分会の組合員( 認定した事実中の、第4表に記載の塚本治ら18名、以下「分会員塚本治ら18名」という)1人あたり2,000 円として算出した金員を支払わなければならない。 4 被申立人は、分会員X2ら18名に対し、昭和44年の臨時一時金を、すでに支払った従業員に対すると同様に支払わなければならない。 5 被申立人は、分会員X2ら18名に対し、昭和44年の年末一時金の差額として、2,163 円に各人の精勤度を除く4項目の査定合計点数(認定した事実中の第4表の小計欄に記載の点数)を乗じた額を、56,685円から差引いた金員をそれぞれ支払わなければならない。 6 被申立人は、昭和44年12月の昇給金額を、分会員X2ら18名のうちX3およびX1の両名を除く16名については、1,000 円に、前記両名については875 円に是正し、すでに昇給した額との差額を支払わなければならない。ただし、差額の支払いは、X4については昭和45年6月10日まで、X3については昭和45年10月24日まで、X2、X5、X6およびX1については昭和46年3月5日までとする。 7 被申立人は、分会員X2ら18名に対し、昭和45年の初出祝金としてそれぞれ2,000 円を支払わなければならない。 8 被申立人は、縦1メートル以上、横2メートル以上の白色木板に、下記のとおり明瞭に墨書して、すみやかに、会社本社事務所の入口附近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 全大阪金属産業労働組合 委員長 X7殿 吉田鉄工所分会 分会長 X2 殿 株式会社吉田鉄工所 取締役社長 Y1 当社は、貴分会および貴分会員に対し、昭和44年の秋季慰安会助成金および臨時一時金ならびに昭和45年の初出祝金を支給せず、昭和44年年末の一時金および昇給において不公正な考課査定をし、また、貴分会員X1氏に対し、昭和44年8月1日づけで配置転換を行ない、昭和44年10月と昭和45年2月の2回にわたって出勤停止処分するなどの不利益扱いをしましたが、当社の上記行為は労働組合法第7条第1号および第3号に該当すす不当労働行為であることを認め、ここに貴組合および貴分会に対して陳謝するとともに今後このようなことを行なわないことを誓約します。 以上大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
会社が臨時一時金支給に際し、分会の配布したビラの誤りを指摘し「わび状」の提出を求め、分会もこれを認めて訂正ビラを配布したにも拘らず、なおも「わび状」提出に固執した会社の態度は、分会の誤報ビラ配布を奇貨として、分会および分会員の差別扱いを企図した不当労働行為である。
1202 考課査定による差別
年末一時金の査定項目のうち、出勤状況以外は、いずれも主観的判断で左右し得るものであること、分会員を集団的に低く査定した裏付け資料がないこと、会社の分会に対する態度からみて、本査定が分会員の不利益扱いであり、分会の弱体化を意図してなされたものと認めざるを得ない。
1202 考課査定による差別
年末に行われた昇給で、分会員が低い昇給額にとどめられたのは、年末一時金の査定結果がそのまま採用されたことによることが認められ、また、年末一時金の査定が分会、分会員に対する不当労働行為と判断されていることから、今回の低額昇給もまた不当労働行為と認めざるを得ない。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員X1を減収を伴う職場に配置した行為は、同人が分会の組織拡大を目ざして、ひそかに組合員の獲得活動を行なっていることを知った会社が、同人の組合活動に対する報復的措置として、勤務成績不良に籍口して行なった不利益扱いであるとともに、組合の弱体化をねらったものと認められる。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員X1に対する職場離脱、業務用運搬車への落書等を理由とする出勤停止処分は、これらの理由が、従来ならば不問に付されるものであることからみて、同人の組合活動に対する報復的な不利益取扱いであり、また、分会の弱体化を意図してなされたものと認められる。
1400 制裁処分
2901 組合無視
分会員X1に対する職場離脱を理由とする第二次出勤停止処分は、別組合員である班長らが、会社の意を受けて分会員の行動を報告する職場チェックリストに基づいてなされていることから、本件も同人の組合活動を嫌悪し、分会の弱体化を意図してなされたものと認めざるを得ない。
1601 福利厚生上の差別
2901 組合無視
別組合主催のハイキング、観劇等の慰安会に対して、一括支給した助成金は、本来従業員個々を対象に支給していた福利厚生資金であることからみて、分会にこれを支給しなかったのは、分会員に対する不利益扱いであるとともに、分会の弱体化をねらった支配介入行為である。
1601 福利厚生上の差別
2901 組合無視
別組合員に初出祝金を支給し、分会員にこれを支給しなかったことは、初出祝金が、別組合結成前は全従業員を対象に支給されていたことから、組合の所属によって差別すべき性質のものではないと判断される。したがって分会員にのみ支給を拒否したのは、分会、分会員に対する差別扱いである。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集45集259頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1972.3.1 142号 54頁 
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