概要情報
事件番号・通称事件名 |
山形地裁平成31年(行ウ)第2号 山形大学不当労働行為救済命令取消請求事件 |
原告 |
国立大学法人X大学(「法人」) |
被告 |
山形県(同代表者兼処分行政庁 山形県労働委員会) |
被告補助参加人 |
Z組合(「組合」) |
判決年月日 |
令和2年5月26日 |
判決区分 |
全部取消 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、法人が、55歳超の教職員の昇給抑制、1号俸の昇給抑制及び給与制度の見直しによる賃金の引下げに係る団体交渉において、不誠実な態度で交渉を行ったことが、不当働行為に当たるとして救済申立てがあった事件である。
2 山形県労委は、法人に対し、誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した(本件救済命令)。
3 法人は、これを不服として、山形地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、本件救済命令は違法であるとして、救済命令を取り消した。 |
判決主文 |
1 山形県労働委員会が山形労委平成27年(不)第1号X大学不当労働行為救済申立事件について、平成31年1月15日付けで発した命令のうち、主文第1項を取り消す。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を被告補助参加人の負担とし、その余を被告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1 争点(1)(本件救済命令の内容の適法性)について
(1)本件においては、既に各交渉事項に係る団体交渉は終了しており、各交渉事項に係る規定の改正は、いずれも施行されている。このような状況のもとで、組合は、団体交渉の過程における法人の態度が不誠実であるとして救済を求めているところ、仮に、法人の態度が不当労働行為に当たるとすれば、将来の労使関係秩序の回復を図るため、各交渉事項に係る団体交渉における法人の交渉態度が不当労働行為に当たることを確認する必要性は、これを認めることができる。しかしながら、団体交渉とは、労働者の待遇又は労使関係上のルールについて合意を達成することを主たる目的として交渉を行うことであるにもかかわらず、上記のとおり、各交渉事項に係る規定の改正はいずれも既に施行されており、これについて改めて合意を達成するなどということはあり得ないから、各交渉事項について団体交渉に応ずるよう法人に命ずることは、法人に不可能を強いるものというほかない。そうすると、処分行政庁による本件救済命令は、その命令の内容において、処分行政庁の裁量権の範囲を超えるものといえる。
組合が、本件救済命令の発出後に再度の団体交渉を申し入れていることは、上記結論に影響しない。
(2)したがって、本件救済命令は違法であって取消しを免れない。
2 よって、法人の請求は理由があるから、本件救済命令の主文第1項を取り消す。 |
その他 |
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