労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 神奈川都市交通
事件番号 東京高裁平成21年(行コ)第111号
控訴人 神奈川県(代表者兼処分行政庁 神奈川県労働委員会)
控訴人補助参加人 都市交通労働組合
X1
被控訴人 神奈川都市交通株式会社
判決年月日 平成21年7月24日
判決区分 棄却
重要度  
事件概要  Y会社は、神奈川県を中心にハイヤー・タクシー業を営む株式会社であるが、平成15年3月15日付けで、X組合の支部長であったX1を諭旨解雇処分(以下「本件諭旨解雇」という。)とし、X組合の執行委員長であったX2については、平成16年4月2日をもって雇止めとした。
 X組合は、これらは不当労働行為であるとして神奈川県労委に救済申し立てをしたところ、神奈川県労委は、X1に対する本件諭旨解雇は不当労働行為であるとして、救済申立ての一部を認容する救済命令(以下「本件命令」という。)を発した。
 Y会社は、本件命令を不服として、横浜地裁にその取消しを求めたところ、横浜地裁は、本件救済命令は違法であるとして、これを取り消した。神奈川県労委が、これを不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は、控訴を棄却した。
判決主文 本件控訴を棄却する。
判決要旨 ① 当裁判所も、Y会社の請求には理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」記載のとおりであるから、これを引用する。
② 控訴人らは、原判決は事実を誤認し、Y会社の不当労働行為意思についての判断を誤ったと主張する。しかしながら、上記引用にかかる原判決の掲げる各証拠に照らせば、原判決の説示する事実を認定できるものであり、当該事実を前提とすれば、本件諭旨解雇についてはX1がX組合の支部長であること又はその組合活動を動機としてされたものとはいい難く、本件諭旨解雇を不当労働行為とは認めることはできない。
③ 確かに、Y会社は、X組合との間でX1の始末書問題について平成15年3月17日に協議を行うことを予定していながら、その3日前である同月4日に、同月15日付けをもって、X1に対する本件諭旨解雇を行ったものであるが、X1は、X組合に所属した後、始末書等提出に納得できない場合には始末書等を提出しなかったが、自ら責任があると判断した事故等に関しては始末書等を提出していたのであるから、X1がY会社とX組合との上記交渉の結果を待つ趣旨で本件速度違反に関する始末書等の提出を留保していたと認めることはできず、上記の時期に本件諭旨解雇がされたことをもって、Y会社の不当労働行為意思があったということはできない。
④ また、Y会社は、塩浜事故の約1ヶ月後の平成14年1月4日に1年間無事故であったとしてX1を表彰しているが、塩浜事故についてはX1の過失を100%と決定して(同月17日)、これをX1に通知した日(同月25日)よりも前に行った表彰であり、これをもって直ちに、Y会社がX1が塩浜事故を引き起こしたことを一切不問にしたとは認めることはできず、本件諭旨解雇について上記判断を左右するものではない。
⑤ 以上によれば、Y会社の請求を認容した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却する。

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川県労委平成16年(不)第3号 一部救済 平成18年3月31日
中労委平成18年(不再)第22号 棄却 平成21年1月21日
横浜地裁平成18年(行ウ)第14号 全部取消 平成21年2月19日
最高裁平成21年(行ツ)第336号 上告棄却 平成22年2月4日
最高裁平成21年(行ヒ)第438号 上告不受理 平成22年2月4日
東京地裁平成21年(行ウ)第418号 棄却 平成23年4月18日
東京高裁平成23年(行コ)第194号 棄却 平成23年11月16日
最高裁平成24年(行ツ)第115号・平成24年(行ヒ)第133号 上告棄却・上告不受理 平成24年5月18日
 
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