概要情報
事件名 |
朝日放送 |
事件番号 |
最高裁平成 5年(行ツ)第17号
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上告人 |
中央労働委員会 |
上告人参加人 |
民法労連近畿地区労働組合 |
被上告人 |
朝日放送 株式会社 |
判決年月日 |
平成 7年 2月28日 |
判決区分 |
控訴審への差戻し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合から申入れのあった下請労働者に関する事項を議題とする団体交渉を、同人らの使用者ではないとの理由で拒否したこと、(2)会社の職制が組合員に対して行った脱退勧奨等が不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。初審大阪地労委の一部救済命令に対し、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、同命令を一部変更し、就労にかかる諸条件に関する団交応諾等を命じた。会社は、これを不服として、東京地裁に訴を提起したが、棄却されたため、さらに控訴していたところ、東京高裁は原判決及び中労委命令を取り消すとの判決を言い渡し、中労委が上告していたものである。最高裁は、高裁判決を破棄し、会社の脱退勧奨等支配介入にかかる部分につき東京高裁に差し戻し、その余の部分につき、会社の控訴を棄却するとの判決を言い渡した。 |
判決主文 |
1 原判決を破棄する。 2 被上告人の本訴請求のうち、別紙(1)記載の部分につき、本件を東京高等裁判所に差し戻 す。 3 その余の部分につき被上告人の控訴を棄却する。 4 前項の部分に関する控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。 |
判決の要旨 |
2130 雇用主でないことを理由
会社は、本件請負3社から派遣される従業員が従事すべき業務の全般につき管理しており、右従業員の基本的な労働条件について、雇用主である請負3社と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったものというべきであるから、その限りにおいて、労組法7条の「使用者」に当たると解するのが相当であり、自ら決定できる勤務時間の割り振り、労務提供の態様、作業環境等に関する限り、正当な理由がなければ団交を拒否できないというべきであるから、使用者でないことを理由とする本件団交拒否は正当な理由がなく、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとされた例。
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社の、派遣従業員に対する脱退勧奨行為についての判断が脱漏しているとして、その命令を原審に差戻すことが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
放送業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集30集175頁 |
評釈等情報 |
最高裁判所民事判例集 49巻2号 559頁 
別冊ジュリスト労働判例百選(第6版) 山川隆一 134号 10頁 
労働経済判例速報 1557号 3頁 
労働法律旬報 1363号 59頁 
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