概要情報
事件名 |
プリマハム |
事件番号 |
東京地裁昭和49年(行ウ)第128号
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原告 |
プリマハム 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
プリマハム労働組合 |
判決年月日 |
昭和51年 5月21日 |
判決区分 |
請求棄却・訴えの却下 |
重要度 |
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事件概要 |
(1)昭和47年賃上げ争議に際し、組合が争議行為を予定したところ、会社が組合幹部を誹謗するなどを内容とする社長声明文を掲示したこと、(2)会社が、スト不参加者から臨時徴収費をチェック・オフしてほしい旨の組合申入れを拒否したことをめぐり争われた事件で、中労委は、これら会社の行為はいずれも不当労働行為であるとした初審東京地労委の救済命令主文中誓約書の手交を不作為命令に変更し、その他の再審査申立てを棄却したが、会社は、この命令を不服として行政訴訟を提起し、5月21日、東京地裁は本訴請求を棄却する判決を言渡したものである。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2620 反組合的言動
使用者の言論は、その内容、発表の手段・方法・時期、発表者の地位・身分、発表の与える影響等を総合して判断し、その言論が組合員に威嚇的効果を与え、組合の組織運営に影響を及ぼすような場合には支配介入となる。
2620 反組合的言動
社長声明文は、ストをいつどのような方法で行うか等という組合が自主的に判断して行動すべき、いわゆる組合の内部運営に対する支配介入行為にあたると認められる。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
使用者が組合活動を弱める目的で従来から行われていたチェックオフを拒否することは、特段の事情がない限り、支配介入行為として不当労働行為となる。
2625 非組合員化の言動
支配介入の不当労働行為は、外形上組合の結成・運営に支配・介入するものであって、抽象的に組合の団結権を侵害する危険性を有するものであれば足り、使用者の意図如何を問わず不当労働行為が成立すると解される。
4407 バックペイの支払い方法
臨時徴収費のチェックオフを行い、組合に控除額を交付することを命じた本件命令は、チェックオフの具体的内容である組合員の範囲、金額、計算方式が充分特定されており、命令内容が確定していないとの会社の主張は採用できない。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社・組合間には、協約失効後もチェックオフの慣行が認められるから、協約の失効をもってチェックオフを実施する義務がないとすることはできない。
6180 その他手続
弁論集結直前にいたり、組合脱退者・退職者があることを新たに主張することは、訴訟の完結を遅延させるものと認められ、右主張を時機に遅れた攻撃防禦方法として却下する。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集14集359頁 |
評釈等情報 |
判例時報 832号 103頁 
労働判例 254号 42頁 
ジュリスト 香川孝三 645号 129頁 
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