ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 労働基準 > 仕事と生活の調和 (勤労者生活の向上) > 厚生労働省-仕事と生活の調和推進プロジェクト > 「仕事と生活の調和」は進んだか? 〜プロジェクト参画企業座談会〜 > 働き方の見直し・休暇について 業務改革、生産性向上の鍵は、仕事の“見える化”、連続休暇。

働き方の見直し・休暇について 業務改革、生産性向上の鍵は、仕事の“見える化”、連続休暇。

「仕事と生活の調和」は進んだか? 〜プロジェクト参画企業座談会〜

  • BACK
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

働き方の見直し・休暇について
業務改革、生産性向上の鍵は、仕事の“見える化”、連続休暇。

佐藤:
WLB支援というと、残業を減らすことに捉えられがちで、業務改革とか、時間あたりの生産性向上が含まれることがなかなか自覚されません。本来はこの点が大事なので、そこをお話しいただければと思います。三井化学さんから業務改革の話が出ていたので、どのようなご苦労があるかお聞かせください。

三井化学:
実際のところ、まだ本格的な業務改革とまではなっていません。ただ、ある時期からやや形骸化していた残業申告制度を改めて周知徹底し、まずは上司に、部下の仕事量を把握してもらおうとしています。同時に、各職場での毎日の退社時間宣言、四半期毎の計画的年休取得宣言によって、職場全体の仕事量の見える化を始めました。

佐藤:
残業する時には、なぜ残業しなければいけなくなったか、その理由を書かせる、これは大事ですね。そうすることによって、計画的な年休取得に向けて仕事をスケジュール管理できるようになるでしょう。全日空さんでは、そのあたりについてはいかがでしょうか?

全日本空輸:
思うようには進められてないのが実情です。社員からは、帰れ帰れと言われるけど仕事がたくさんある中でどうしたらいいんだ、という声も聞かれまして…。

佐藤:
現場では、ただ帰れ帰れだけじゃなくて、どうやって仕事を合理化するのかなどについて丁寧に説明していかないとダメなんでしょうね。

全日本空輸:
一部の部署で「週間行動計画表」というツールを導入、運用を始めています。毎日の業務スケジュールを1週間単位で作成し、毎終業時に5〜10分程度、上司と部下がその日の進捗状況を確認しあう、というものです。昨今、個々の社員の業務が専門化されていて、上司と部下が情報を共有するのが難しい面もありますが、このツールを使うことで、上司が部下の業務を正確に把握し、適切なアドバイスをしたり他の社員へ業務分担したりするなどして、効率的な業務の遂行や残業削減に一定の効果を発揮しているようです。このような効果のある取組などは全国の事業所にも展開できればよいなと考えています。

佐藤:
上司にとって、部下がどういう仕事をし、どのように時間を使っているかを“見える化”することは大切ですよね。そうすることによって「ここはやらなくていい」とか、「こっちに時間を使え」とか、上司が指示できる。この点が大事ですね。日立製作所さんは、そのあたりについてはいかがでしょう?

日立製作所:
まだまだですね…。事業領域が多岐にわたり、事業グループによって状況も違いますが、例えばIT関連の事業では、労働集約的な部分もあり、業務の進め方改革も、いろいろ取り組んでいますが、まだ硬直的なところがあります。

佐藤:
職場によって異なるとは思いますが、景気後退で仕事が減ってるところもありますね。でも「業務改革はもうやらなくていいんだ」ということではないんですね。残業がないからといって、「メリハリのついた働き方」ができているわけではありません。今後、仕事が増えたときに再び残業が増えないような働き方にしないといけないわけです。仕事が減ったときのほうが、仕事の合理化などがやりやすい時期だと思います。

キヤノン:
“仕事の見える化”で言うと、弊社は研究開発技術部門を中心に実践しています。週に一回、プロジェクトのメンバー全員が集まって、それぞれのテーマの進捗状況を報告しあうのですが、付箋などを上手く使いながら各員の負荷分散の状況を掴んで、総責任者が適宜人のやりくりをしてフォローしあっていく。このような、職場として、組織として全体の成果を出していくためにいろんな取組をやっています。

佐藤:
ところで、管理職が業務の見える化を実践することで評価される、といった仕組みを実行している会社はありますか?例えば、アウトプットを出しても、部下が残業し過ぎていると管理職の評価がマイナスになるとか、時間生産性をあげた管理職が評価されるとか。また、業務改革をして、残業が減って、創出できる時間で何をするのか、分からない人たちもいるわけです。仕事以外にやることが分からない社員もいるでしょう。高島屋さん、このあたりはいかがですか?

高島屋:
弊社は様々なお客様に対して提案していかなければならない業界ですので、仕事ばかりしていると新たなアイデアが生まれないということはトップも常々言っています。仕事を早く切り上げて職場のメンバーとコミュニケーションを図るというのが一つありますが、それに限らず、友人に会ったり、他からの刺激を受けたり、リフレッシュしたり、そういういろんなことを個人個人で考えてやっていってもらわなければならない、といった意識改革を管理職から始めています。

佐藤:
「創出した時間」をどう使うか。ライフの充実度を高めながら、ワークの効率化も進める。今、日本はこの両方をやらなくてはいけないんですね。あとライフの充実に密接に関わるものとして有給休暇がありますが、これについてはいかがですか?長期の有休の取得促進を夏休み以外の時期に行っている会社はありますか?

キヤノン:
弊社はフリーバカンス制度というのがありまして、年次有給休暇を5日連続取りましょう、ということで毎年、期の初めに上司と部下で面談を行います。そこで5日連続の休暇をいつ取るかということをお互いに確認しあってもらい、少しでも取得しやすいよう背中を押しているところです。

佐藤:
5日連続で有休を取ると、土日も含めて連続9日休むことになるわけですよね。私は常々9日間の休暇を年2回取ることを提案しています。実際に9日ぐらい連続して休むとなると、職場内で上司や同僚に仕事の内容についてきちんと説明する必要が出てきます。休み中に取引先から連絡があってもきちんと対応できるようにしなければいけませんので、職場内の情報共有に貢献できます。そういった面でも長期の有休取得は大事なんですね。

キヤノン:
それに、みんなで取るとやっぱり安心感が出てくるんです。

佐藤:
そうそう、みんなで連続9日の休暇を取るようになると実は職場での「情報共有化」と仕事の「見える化」が進み、その結果としてさらに有休が取りやすくなる。私は、「みんなが休暇を取らないから取れるような仕組みができないんだ」と思っています。休暇を取れるような仕組みを作ってから取るのではなく、まず取ってみることが大事です。育児休業を取る人がたくさん出てくると、仕組みができてくるという話がありましたが、多分それと同じことなんですね。連続9日取るような人が出てくると、職場で情報共有化が図られることで、今度は長期の育児休業を取る人が出てきても社員が対応しやすくなる。連続した長期の有休取得は、業務改革を進める上でも効果的だと考えています。

電通:
休暇に絡んで、住友商事さんに「夏休み100%取得キャンペーン」についてお聞きしたいのですが。部署によっては、夏にはどうしても休めない社員もいると思うんですね、そういった面で社内から反発などは出ませんでしたか?もしあったとしたら、それに対して何か工夫されたのでしょうか?

住友商事:
我々としては、“夏休み100%取得”というスローガンはわかりやすいかな、と思って実施したのですが、おっしゃる通り、「自分の部署で100%取得が達成できなかったらペナルティがあるのか」といった質問はありました。また、冬に取りたいという人もいました。それに対して、弊社人事部長は「夏が一般的に一番休みやすい時期なので、夏にキャンペーンを実施するが、冬に休みたい人は休めばいいし、夏も冬も休んだらいいのでは」と言ってました。ちなみに部長はどんなに忙しくても頑張って年間15日の有給休暇を取得しています。今回のは「とにかく100%取得を目指して頑張ろう」というスローガンであって、取らないから悪いという趣旨ではありません。今年度はまず対象期間中に休暇を5日取ってもらうということでやりましたが、現場から、今後は連続休暇取得を推進する方がいいんじゃないかという話もありましたので、来年はそういうニュアンスをもっと出していきたいと思います。

佐藤:
電通さんも夏季休暇の取得促進に取り組んでおられますね。

電通:
ええ、やりました。結果を数値で見ると微増だったのですが、ただアンケート調査で社員の意識を確認したところ、会社がこういうことを推奨しているのはみんなもほぼ賛成であるということがわかりました。あと、今回は夏季休暇限定で実施したのですが、実はGWとか、年末年始あたりの方が休みやすい人もいる、といった社内的な状況も把握できましたので、来年度はそのあたりも考慮に入れて、年間を通して有給休暇の取得促進を図っていこうと考えております。

住友商事株式会社 本山 ふじか(モトヤマ フジカ)

住友商事株式会社 本山 ふじか(モトヤマ フジカ)

人事部課長・労務チームサブリーダー。メディア事業本部等を経て平成19年より現職。オフは二男一女の子育てと家事に追われる。

住友商事:
例えば、リフレッシュ休暇みたいなお題目があると、管理職の男性も取りやすいみたいです。今回のキャンペーン結果を見ると、我々が狙った層である男性管理職が昨年度比で一番伸び率が高いんですよ。やっぱり会社が言ってあげることによって、「それじゃ取ろうか」となるところもあるようです。

佐藤:
なるほど。いろんなタイミングで取得を勧めるのは効果ありということですね。

三井化学:
弊社の場合は、有給休暇20日以外にリフレッシュ休暇が2日あって、この2日は翌年に繰り越しができないようになっています。通常の有給休暇は翌年に繰り越せて、更に余った場合は特別休暇にできますが、リフレッシュ休暇は繰り越せないので、皆ほぼ100%取得するんです。だったら他の時も事前に計画しておけば休みを取れるはずだ、管理職も取れるはずだ、という話が出ています。

鹿島建設株式会社 小林 俊明(コバヤシ トシアキ)

鹿島建設株式会社 小林 俊明(コバヤシ トシアキ)

総務・人事本部人事部次長。オフは基本的には家で過ごす。最近は月に1〜2回、アマチュア合唱団に参加。

鹿島建設:
リフレッシュ休暇は当社にもありまして、入社15年20年25年30年目に取れることになっています。短いのは3日と5日で、30年目は15日なんですけど、5日の休暇の時に取る人はきちんと取るんですが、取らない人は全く取らない、という形になってしまっています。半分ぐらいの人は取らないですね。しかも何故か15年20年25年と節目ごとの取得率がほとんど同じなんです。

佐藤:
取る人は取る、取らない人は取らないわけですか。

鹿島建設:
そうです、でも若い人が取らないかというとそうでもないし、ベテランが取らないかというとそうでもない。どうやら働き方、意識の問題があるようで…。

佐藤:
取らない人は、ずっと取らないのでしょうか?

鹿島建設:
というわけではありません。最後だから取ろうとする人もいます。ただ全般的に言えば、こちらから休めと命令しないまでも、かなりきめ細かく周知しないと、休まない人はなかなか休まない…そういう感じですね。

佐藤:
そうすると、今のところは有休に関していろんな仕掛けを作って取ってもらう、残業も仕掛けを作って定時に帰ることを支援するしかないのでしょうか。そこまでやらないと仕事を続けちゃうというのは…ちょっと悲しい気もしますね。

  • BACK
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 労働基準 > 仕事と生活の調和 (勤労者生活の向上) > 厚生労働省-仕事と生活の調和推進プロジェクト > 「仕事と生活の調和」は進んだか? 〜プロジェクト参画企業座談会〜 > 働き方の見直し・休暇について 業務改革、生産性向上の鍵は、仕事の“見える化”、連続休暇。

ページの先頭へ戻る