●育児期間における従前標準報酬月額みなし措置(いくじきかんにおけるじゅうぜんひょうじゅんほうしゅうげつがくみなしそち) 年金制度における次世代育成支援策の一環として、3歳未満の子を養育する期間中の各月の標準報酬月額が、子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る場合には、被保険者の申出に基づいて、年金額の計算に際しては、その標準報酬月額が低下した期間については、従前標準報酬月額がその期間の標準報酬月額とみなされます。これを育児期間における従前標準報酬月額みなし措置といいます。 ●育児休業期間における保険料免除措置(いくじきゅうぎょうきかんにおけるほけんりょうめんじょそち) 育児・介護休業法による育児休業制度は、子が1歳半に到達するまでの期間を対象にしています。また、育児・介護休業法では、事業主は、3歳に到達するまでの子を養育する労働者に対しては、育児休業の制度に準じる措置または勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないことになっています。 年金制度においても、次世代育成支援策の一環として、子が3歳に到達するまでの育児休業もしくは育児休業の制度に準ずる措置に基づく休業の期間中について、厚生年金保険料(事業主負担分および本人負担分)が免除され、年金額の計算に際しては、育児休業取得直前の標準報酬で保険料納付が行われたものとして取り扱われます。 ●育児休業等終了時改定(いくじきゅうぎょうとうしゅうりょうじかいてい) 年金制度における次世代育成支援策の一環として、平成17年4月から、従来の標準報酬月額の随時改定とは別に、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定(育児休業等終了時改定)が導入されました。これによって、実際の報酬の低下に応じた保険料負担となり、育児をしている被保険者の経済的負担の軽減が図られることになります。 具体的には、育児休業等を終了した被保険者が3歳未満の子を養育している場合には、社会保険庁長官に申出を行えば、育児休業等の終了日の翌日の属する月以後3か月間の報酬月額の平均が標準報酬月額とされます。 この育児休業等終了時改定によって改定された標準報酬月額は、その育児休業等の終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月から、次回の定時決定までの各月の標準報酬月額とされます。 ●遺族基礎年金(いぞくきそねんきん) (1)国民年金に加入中の人、(2)国民年金に加入していた人で60歳以上65歳未満の人、(3)老齢基礎年金を受けている人や受給資格期間を満たしている人、が死亡した場合に、遺族に支払われる国民年金の給付です。 受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子、または18歳未満(同)の子のいる妻です。ただし、(1)・(2)の場合は、加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと、もしくは平成18(2006)年4月前の死亡については直近の1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。 用語集での参照項目:受給資格期間、遺族厚生年金 ●遺族共済年金(いぞくきょうさいねんきん) 共済に加入している人が、(1)在職中に死亡した場合、(2)在職中の病気やけがが原因で死亡した場合や、退職共済年金を受けている人が死亡した場合などに、遺族に支払われる年金です。受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母で、18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子のいる妻や子は、遺族基礎年金もあわせて受けられます。 受けられる条件などは遺族厚生年金と同じですが、遺族共済年金には共済独自の職域加算額が加算されます。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、遺族基礎年金、職域加算額 ●遺族厚生年金(いぞくこうせいねんきん) 厚生年金に加入している人が、(1)在職中に死亡した場合、(2)在職中の病気やけがが原因で死亡した場合や、老齢厚生年金を受けている人が死亡した場合などに、遺族に支払われる年金です。受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母で、18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子のいる妻や子は、遺族基礎年金もあわせて受けられます。 用語集での参照項目:遺族基礎年金 ●永久均衡方式(えいきゅうきんこうほうしき) 公的年金制度の財政運営に関して、現時点で将来にわたるすべての期間について、給付と負担の均衡の確保を図ろうとする方式です。この方式では、公的年金制度は将来にわたり永続する制度であると考えていますが、遠い将来においては、現時点で予想できないようなことが起こることも否定できず、計算上、時間的に無限の将来まで考慮する必要性については議論のあるところです。また、年金財政が現在のように将来の高齢化率が高い見通しとなっている状況のもとでは、将来にわたり運用収入を活用するために、巨額の積立金を将来にわたって一定の水準に維持しておくことが必要になってきます。 用語集での参照項目:有限均衡方式 ●エリサ法(ERISA) アメリカにおいて1974年に制定された企業年金制度の設計や運営を統一的に規定する法律。Employee Retirement Income Security Act(従業員退職所得保障法)の頭文字をとってERISA(エリサ法)と呼ばれています。 制度に加入している従業員の受給権を保護することを最大の目的としており、(1)加入員や行政サイドに対する情報開示、(2)制度への加入資格や受給権付与の最低基準、(3)年金資産の最低積立基準の設定、(4)制度の管理・運営者の受託者責任、(5)制度終了保険、などが規定されています。 用語集での参照項目:受託者責任、企業年金 ●学生納付特例制度(がくせいのうふとくれいせいど) 国民年金の第1号被保険者である学生であって、本人の前年所得が一定以下の人に対し、在学期間中、保険料の納付を猶予する制度であり、申請に基づき適用されます(世帯主の所得は問いません)。10年間は追納が可能です(追納がなされなくても未納扱いとはなりません)。当該期間は、年金の受給資格期間には算入されますが、追納がなされない限り、老齢基礎年金額の計算には反映されません。当該期間中に障害となったり、死亡した場合には、障害基礎年金または遺族基礎年金が支給されます。 ●加給年金額(かきゅうねんきんがく) 特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金を受けられるようになったとき、厚生年金の加入期間が20年(中高齢の特例の場合は15年〜19年)以上ある場合、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子、20歳未満で1級・2級の障害の子がいれば、その人の年金に加給年金額が加算されます。 また、年金を受ける人が昭和9(1934)年4月2日以後生まれの場合は、配偶者の加給年金額に生年月日に応じて特別加算が行われます。 用語集での参照項目:特別支給の老齢厚生年金、老齢厚生年金、配偶者特別加算 ●確定給付型年金(かくていきゅうふがたねんきん) 加入した期間や給付水準に基づいてあらかじめ給付額が定められている年金制度です。わが国では公的年金の他、厚生年金基金、確定給付企業年金がこれにあたります。給付建て制度ともいいます。あらかじめ給付額が決まっているため、加入者にとっては老後の生活設計を立てやすい反面、予想を超える少子・高齢化の進行や運用の低迷などで定められた給付に必要な積立水準が不足した場合は、国や企業が追加拠出をする必要がでてきます。これに対し、拠出した掛金額とその運用収益によって給付額が決定される年金を確定拠出型年金といいます。 用語集での参照項目:厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出型年金 ●確定給付企業年金(かくていきゅうふきぎょうねんきん) 確定給付企業年金法(平成13(2001)年6月公布)に基づき、平成14(2002)年4月から実施された確定給付型の企業年金制度です。母体企業から独立した法人格を持つ基金を設立し、基金が年金資金を管理・運用して年金を給付する「基金型企業年金」と、労使が合意した年金規約に基づいて事業主が年金制度を運営する「規約型企業年金」という2つの仕組みがあります。年金資産の積立基準をはじめ、管理・運営にかかわる者(受託者)の責任が明確になっているほか、財務状況などの情報開示も事業主などへ義務づけられています。 用語集での参照項目:確定給付型年金、企業年金 ●確定拠出型年金(かくていきょしゅつがたねんきん) 拠出した掛金額とその運用収益との合計額を基に給付額が決定される年金制度です。確定給付型と対比され、掛金建て制度ともいいます。企業が追加拠出をする必要はありませんが、加入者にとっては運用のリスクを負い、給付額が定まらないため老後の生活設計を立てにくい面があります。しかし、途中で転職しても、自分の年金原資を転職先に移管して、通算した年金を受け取ること(ポータビリティ)が可能です。わが国では、確定拠出年金がこれにあたります。なお、アメリカでは401(k)と呼ばれる確定拠出型年金が普及しています。 用語集での参照項目:確定給付型年金、ポータビリティ、確定拠出年金 ●確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん) 確定拠出年金法(平成13(2001)年6月公布)に基づき、同年10月から実施された確定拠出型の企業年金制度です。掛金があらかじめ定められていて、かつ加入者が自らの判断で資産運用を行います。事業主が実施主体となって事業主のみが掛金を拠出する「企業型」と、国民年金基金連合会が実施主体となり、加入者のみが掛金を拠出する「個人型」の2種類があります。離職や転職の際にも、自分の年金資産を移換することができます。 用語集での参照項目:確定拠出型年金、企業年金、ポータビリティ ●加算型(かさんがた) 代行型、融合型とともに、厚生年金基金の給付形態の1つ。国の老齢厚生年金を代行する基本部分と、企業独自の給付を上乗せする加算部分とで設計されています。加算部分の給付設計には、その人の給与に比例する給与比例加算と、加入期間などに比例する定額加算の2つの方式があり、企業独自の考えで給付設計の多様化に対応できる仕組みになっています。企業の退職金を加算部分に移行し、年金化することも可能です。昭和50(1975)年8月以降、新しく設立された基金はすべて加算型となっています。 用語集での参照項目:代行型、融合型 ●合算対象期間(がっさんたいしょうきかん) 老齢基礎年金などの受給資格期間をみる場合に、期間の計算には入れるが、年金額には反映されない期間のことです。年金額に反映されないため「カラ期間」と呼ばれています。合算対象期間には、(1)昭和61(1986)年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間、(2)平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間、(3)昭和36(1961)年4月以降海外に住んでいた期間、などがあります。 用語集での参照項目:老齢基礎年金、受給資格期間 ●加入可能年数(かにゅうかのうねんすう) 老齢基礎年金は20歳から60歳になるまでの40年間、すべて保険料を納めた場合に満額の年金額になります。40年に不足する場合は、不足する期間に応じて年金額が減額されます。しかし、国民年金制度が発足した昭和36(1961)年4月当時、20歳以上の人(昭和16(1941)年4月1日以前生まれの人)は、60歳に達するまで40年間加入することができません。これらの人は昭和36(1961)年4月から60歳に達するまでの期間について、すべて保険料を納めていれば満額の老齢基礎年金が受けられます。その期間を加入可能年数といいます。 用語集での参照項目:老齢基礎年金、受給資格期間 ●寡婦年金(かふねんきん) 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間(保険料の免除を受けた期間を含む)が25年以上ある夫が死亡した場合、10年以上婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)のあった妻に、60歳から65歳になるまで支給される国民年金独自の年金です。ただし、死亡した夫が、障害基礎年金の支給を受けたことがあったり、老齢基礎年金の支給を受けていた場合は、支給されません。 用語集での参照項目:第1号被保険者、死亡一時金 ●企業年金(きぎょうねんきん) 企業がその従業員を対象に実施する年金制度を、企業年金といいます。代表的な企業年金には、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金があり、企業が実情に応じて実施しています。 用語集での参照項目:確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金 ●企業年金連合会(きぎょうねんきんれんごうかい) 厚生年金基金連合会が、平成17年10月からの業務範囲等の拡大に伴い改称されるものです。具体的には、ポータビリティの拡充により、例えば、確定給付企業年金に加入していた者が転職した場合や確定給付企業年金が終了した場合に、当該年金原資を引き受けるなどの業務が追加されることになります。 従来の厚生年金基金に加えて、確定給付企業年金、確定拠出年金を実施する企業も新たに会員資格を有することとなります。 用語集での参照項目:ポータビリティ、厚生年金基金、中途脱退者、厚生年金基金連合会 ●基礎年金番号(きそねんきんばんごう) 平成9(1997)年1月から導入された1人に1つ与えられた年金番号で、国民年金や厚生年金、共済組合など、どの制度に加入していても共通して使用します。それまでは、加入する制度ごとに年金番号が付けられ、制度ごとに記録の管理が行われていました。基礎年金番号の導入によって、各制度間での情報交換が可能となり、届出を忘れている人への連絡や年金を受ける場合、相談をする場合も迅速に対応できるようになりました。 ●基礎率(きそりつ) 年金の財政計画を立てる場合、将来発生する給付額を推計し、それをまかなう保険料の見通しを立てる必要があります。その際、将来を予測する基礎的な数値を基礎率といいます。基礎率には、制度や企業をやめる脱退率、死亡する確率を示す死亡率、障害発生率など保険事故の発生を予測するための数値と、老齢年金失権率といった給付の減少を予測するための数値、長期的な運用利回りを示す予定利率などの数値があります。 ●強制加入(きょうせいかにゅう) わが国においては、20歳以上の人はすべて公的年金制度への加入が義務づけられており、強制加入の制度になっています。これに対し、加入が本人の意思に委ねられていることを任意加入といいます。日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入しなければなりません。そのため、国民年金では加入者を第1号被保険者(自営業者、農業者、学生など)、第2号被保険者(厚生年金・共済の加入者)、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)の3種類に分けています。 用語集での参照項目:任意加入、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者 ●繰上げ支給(くりあげしきゅう) 老齢基礎年金の支給は原則として65歳からですが、本人が希望すれば60歳〜64歳でも受けることができます。これを繰上げ支給といいます。その場合、年金額は、受け始める年齢に応じて本来の老齢基礎年金額が一定の率で減額され、その額が一生続きます。 用語集での参照項目:繰下げ支給、老齢基礎年金、特別支給の老齢厚生年金 ●繰下げ支給(くりさげしきゅう) 老齢基礎年金の支給は原則として65歳からですが、本人が希望すれば66歳以降から受けることができます。これを繰下げ支給といいます。その場合、年金額は、受け始める年齢に応じて、本来の老齢基礎年金額が一定の率で増額され、その額が一生続きます。 用語集での参照項目:繰上げ支給、老齢基礎年金、老齢厚生年金 ●経過的加算(けいかてきかさん) 現在、60歳以降に受ける特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分を合算して計算します。65歳以降に受ける老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せする形で、報酬比例部分が支給されます。それまでの定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に相当します。しかし、当分の間は老齢基礎年金の額より定額部分の額のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には定額部分から老齢基礎年金を引いた額が加算されます。これを経過的加算といい、65歳以降も60歳からの年金額が保障されることになります。 用語集での参照項目:特別支給の老齢厚生年金、定額部分、報酬比例部分、老齢厚生年金 ●経過的寡婦加算(けいかてきかふかさん) 遺族厚生年金の加算給付の1つ。遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになったときに、65歳までの中高齢寡婦加算に代わり加算される一定額を経過的寡婦加算といいます。これは、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算の額に満たない場合が生ずるときに、65歳到達前後における年金額の低下を防止するため設けられたものです。その額は、昭和61(1986)年4月1日において30歳以上の人(昭和31(1956)年4月1日以前生まれ)の人が、60歳までの国民年金に加入可能な期間をすべて加入した場合の老齢基礎年金の額に相当する額と合算して、ちょうど中高齢寡婦加算の額となるよう、生年月日に応じて設定されています。65歳以降に初めて遺族厚生年金を受け始めた妻にも加算されます。 用語集での参照項目:遺族厚生年金、中高齢寡婦加算、老齢基礎年金 ●継続基準(けいぞくきじゅん) 厚生年金基金では、将来にわたって年金給付を行っていくために必要な積立金が確保されているかどうか財政の検証をしています。この際には、将来の掛金収入も考慮されますが、これは、今後とも厚生年金基金が継続していくことを前提にしているため、「継続基準」の財政検証と呼ばれます。しかし、継続基準では、過去の加入期間に対応した給付に見合う積立金が確保されているかどうかはチェックできないため、平成9(1997)年度からは、厚生年金基金が解散した場合でも、それまでの期間に係る給付が確実に行われるよう、「非継続基準」の財政検証も行っています。 用語集での参照項目:非継続基準 ●厚生年金基金(こうせいねんきんききん) 昭和41(1966)年に発足し、わが国の企業年金制度の中核をなしています。具体的には、厚生年金の一部を国に代わって支給する(代行部分)とともに、企業の実情に合わせて上乗せ給付を行う(プラスアルファ部分)ことで、従業員により手厚い老後所得を保障しています。事業主が負担する掛金は全額損金として扱われ、加入員が負担する掛金は社会保険料控除の対象となるなど、公的年金と同様の税制上の優遇措置が認められています。 用語集での参照項目:代行部分、プラスアルファ部分 ●厚生年金基金連合会(こうせいねんきんききんれんごうかい) 各厚生年金基金が共同で設立する全国で1つの連合体としての法人です。厚生年金基金を途中で脱退した人(中途脱退者)や解散した厚生年金基金の加入員であった者の年金原資の一元的管理や年金の支払い、解散した厚生年金基金の加入員に対する支払保証事業、小規模基金の業務を共同で処理する共同事務処理事業、厚生年金基金の役職員に対する研修事業、厚生年金基金事業や年金制度の調査・研究・情報提供、加入員に対する福祉事業などを実施しています。 平成17年10月に企業年金連合会に改称されました。 用語集での参照項目:厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金、中途脱退者、支払保証事業、ポータビリティ、企業年金連合会 ●厚生年金の支給開始年齢(こうせいねんきんのしきゅうかいしねんれい) 老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた人が老齢基礎年金を受けられるようになったときに、65歳から支給されます。しかし、厚生年金の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、60歳から64歳まで特別支給の老齢厚生年金が受けられます。この特別支給の老齢厚生年金のうち定額部分の支給は平成13(2001)年度から平成25(2013)年度にかけて、報酬比例部分の支給は平成25(2013)年度から平成37(2025)年度にかけて、段階的に65歳に引き上げられていきます(女性は5年遅れのスケジュール)。 用語集での参照項目:老齢厚生年金、受給資格期間、特別支給の老齢厚生年金、定額部分、報酬比例部分 ●公的年金等控除(こうてきねんきんとうこうじょ) 年金受給者のための所得控除で、会社員にとっての給与所得控除に相当するものです。65歳以上と65歳未満とで控除額が異なりますが、65歳以上の控除額は給与所得控除に比べてかなり高いものとなっています。国の年金のうち老齢の年金は、雑所得として扱われ所得税の対象になります。その際、年金所得からまず控除されるのが公的年金等控除です。さらに老年者控除や配偶者控除、扶養控除など該当する各種所得控除を差し引いた残りの額が課税の対象になります。厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出年金の年金も、公的年金等控除が行われます。 用語集での参照項目:老齢厚生年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金 ●厚生保険特別会計(こうせいほけんとくべつかいけい) 厚生年金保険事業及び政府管掌健康保険事業の運営や児童手当に関する経理を行うために設置された特別会計で、健康勘定、年金勘定、児童手当勘定、業務勘定に区分されています。 このうち、厚生年金の歳入、歳出を行っているのが年金勘定です。年金勘定から支給される厚生年金は、基礎年金に上乗せする形で支給される報酬比例の年金です。 ●高齢任意加入(こうれいにんいかにゅう) 国民年金では、20歳から60歳に達するまでが強制加入期間となっていますが、60歳以上65歳未満の期間において任意加入できることとし、過去未加入の期間があるなど加入期間が不足しているために老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことができない人や満額の老齢基礎年金を受給できない人について、加入期間を増やす道が開かれています。また、老齢基礎年金が受けられる480月を超えて保険料が納付されることを防止するために、平成17年4月から、任意加入被保険者については、480月に達した時点で、強制的に任意加入被保険者の資格を喪失することとなりました。これにより、仮に480月を超えて保険料が納付された場合でも、その超過分の保険料は本人に還付されます。 さらに、年金受給権の確保の観点から、加入期間が不足しているために老齢基礎年金を受給できない人で昭和40(1965)年4月1日以前に生まれた人については、65歳以上70歳未満の期間においても任意加入できる道が開かれています。厚生年金の加入者は、会社に勤めていても、70歳になると加入者の資格を失いますが、70歳になっても老齢基礎年金の受給資格期間を満たせないで在職中の人は、申し出てその期間を満たすまで任意加入することができます。保険料は全額本人が負担しますが、事業主が同意すれば労使折半にすることもできます。 用語集での参照項目:強制加入、任意加入、老齢基礎年金、受給資格期間 ●コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance) 「企業統治」で、株主が自分たちの利益の最大化のために企業を統治していくことを表しています。企業経営と株価は密接な関係があり、株主には議決権の行使が認められています。現行企業年金制度の下では、議決権行使に関する明確な規定はありませんが、契約上は運用受託機関の判断で行うという形で実務的な整理がなされています。今後、年金資産の価値を維持し、より高い運用収益を確保していくためには、厚生年金基金等にとってもコーポレート・ガバナンスのあり方が重要になってきます。厚生年金基金連合会においても、平成15(2003)年2月に、株主利益重視の経営が行われているか、取締役会、監査役会の機能が適切に果たされているか、情報開示は十分か、説明責任は果たされているか、などを内容とする株主議決権行使基準を定め、コーポレート・ガバナンス活動に取り組んでいます。 用語集での参照項目:厚生年金基金連合会、企業年金連合会 ●国民皆年金(こくみんかいねんきん) わが国では、自営業者や無業者も含め、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象になっています。これを国民皆年金といいます。国民皆年金制度によって、安定的な保険集団が構成され、社会全体で老後の所得に対応していくことが可能になっています。 ●国民年金基金(こくみんねんきんききん) 自営業者などの国民年金の第1号被保険者を対象に、老齢基礎年金に上乗せして給付を行い、老後の所得保障を充実させるため、平成3(1991)年に創設されました。都道府県単位で設立される地域型基金と、同種同業の人によって全国単位で設立される職能型基金があります。加入は任意です。給付設計は全員が加入する1口目と希望に応じて選択する2口目以降があり、口数に応じて掛金を納め、掛金は社会保険料控除となります。 用語集での参照項目:第1号被保険者、老齢基礎年金 ●国民年金基金連合会(こくみんねんきんききんれんごうかい) 各国民年金基金が共同で設立する連合体としての法人です。国民年金基金を途中で脱退した人や解散基金の加入員に対する年金原資を一元的に管理して年金や遺族一時金の給付のほか、個別の国民年金基金から拠出された1口目の資産を合同で運用したり、共同事務処理事業などを行っています。 用語集での参照項目:国民年金基金 ●国民年金特別会計(こくみんねんきんとくべつかいけい) 国民年金事業を運営するために設置された特別会計で、基礎年金勘定、国民年金勘定、福祉年金勘定、業務勘定に区分されています。 このうち、基礎年金の歳入、歳出を行っているのが基礎年金勘定です。基礎年金勘定から支給される基礎年金は、各公的年金制度が加入者数などに応じて負担する基礎年金拠出金でまかなわれています。 また、国民年金の歳入、歳出を行っているのが国民年金勘定です。国民年金勘定から支給される国民年金は、昭和60年法改正前の国民年金などです。 用語集での参照項目:第3号被保険者 ●国家公務員共済組合(こっかこうむいんきょうさいくみあい) 国家公務員が加入する国の年金制度。以前は旧3公社の日本鉄道(JR)、日本たばこ(JT)、日本電信電話(NTT)の各共済組合も含まれていましたが、平成9(1997)年4月から厚生年金に統合されました。 共済組合からは退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金が支給され、受給の条件や年金額の計算方法は厚生年金と基本的に同じですが、共済組合独自の職域加算額が加算されています。 また、年金給付は長期給付と呼ばれ、それ以外にも短期給付と呼ばれる医療関係の給付や災害給付も行っています。 用語集での参照項目:地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、職域加算額 ●国庫負担(こっこふたん) 年金給付に対し国が負担している分です。昭和61(1986)年に基礎年金制度が創設されてからは、基礎年金の3分の1などに対して国庫負担が行われてきました。平成16(2004)年年金制度改正でこの負担割合が見直され、基礎年金の3分の1から2分の1に引き上げられることになりました。平成16年度から引上げに着手し、平成21(2009)年度までに完全に引き上げる予定です。 ●在職老齢年金(ざいしょくろうれいねんきん) 60歳以降在職しながら受ける老齢厚生年金を在職老齢年金といい、賃金と年金額に応じて年金額の一部又は全部が支給停止されます。具体的には、60〜65歳までの間は、賃金と年金額の合計額が28万円を上回る場合、賃金の増加2に対し、年金額1を停止し、賃金が48万円を超える場合、賃金が増加した分だけ年金額を停止します。在職中の一律2割の年金の支給停止は、60歳台前半の就労を阻害しないよう、平成16(2004)年改正により、平成17(2005)年4月から廃止されました。65〜70歳までの間は、賃金と年金額の合計額が48万円を超える場合、賃金の増加2に対し、年金額1を停止します(ただし、基礎年金は全額支給)。また、70歳以降についても、平成16年改正により、平成19(2007)年4月から、60歳台後半と同じ取扱いとなります(ただし、保険料負担はなし)。 ●財政検証(ざいせいけんしょう) 財政検証とは、平成16年年金制度改正により導入され、保険料水準固定方式の下、社会・経済情勢の変化に伴う様々な要素を踏まえて財政状況を検証し、少なくとも5年に一度、「財政の現況及び見通し」を作成するものです。この財政検証において給付水準の自動調整によりどこまで給付水準を調整する必要があるかを推計し、財政検証を行った時点で調整を終了してもおおむね100年間にわたって年金財政の均衡が図られる見通しとなっていれば、給付水準の調整を終了することとなります。 なお、平成16年年金制度改正前までは、財政再計算が行われていました。財政再計算は、少なくとも5年ごとに実施することが義務づけられており、社会・経済情勢の変化に伴う様々な要素を踏まえて、給付と負担が均衡するよう将来の保険料引上げ計画を策定するとともに、必要に応じ制度改正が行われ、年金制度を長期的に安定したものとしてきました。 用語集での参照項目:保険料水準固定方式、マクロ経済スライド ●財政再計算(ざいせいさいけいさん) 厚生年金基金、確定給付企業年金は長期にわたる制度であり、一定の予測に基づいて将来の給付と負担の見通しを立てています。その間、社会経済状況の変化によって、予測値と実績とが乖離することがあります。そのため、加入員、受給者の構成割合や経済情勢の変化を踏まえ、5年に一度、給付と負担の将来見通しを見直し、年金財政の健全化を図っています。これを財政再計算といい、そのときに必要な制度設計の見直しも行います。 用語集での参照項目:基礎率 ●最低責任準備金(さいていせきにんじゅんびきん) 厚生年金基金が代行部分について確保することを義務づけられている積立金を指します。 厚生年金基金は、老齢厚生年金の一部を代行しています。このため、万一基金が解散する場合には、最低責任準備金を厚生年金基金連合会に納付し、年金給付の支給義務は厚生年金基金連合会に移ることとなっています。また、基金が代行返上を行う場合は、最低責任準備金を国に納付し、年金給付の支給義務は国に移ることとなります。 用語集での参照項目:厚生年金基金、代行部分、老齢厚生年金、厚生年金基金連合会、代行返上 ●再評価(さいひょうか) 老齢厚生年金(報酬比例部分)の額は、加入期間中の標準報酬を平均して算出した平均標準報酬月額(総報酬制導入以後の期間については平均標準報酬額)を基に計算されます。その際、過去の低い標準報酬をそのまま平均すると、年金の実質価値が低くなってしまいます。そこで、過去の標準報酬を現役世代の手取り賃金の上昇率に応じて見直した上で平均しており、これを再評価といいます。 具体的には、過去の標準報酬に一定の率(再評価率)を乗じることで、現在の手取り賃金水準に読み替えます。再評価率は、少なくとも5年に1回の財政検証ごとに見直されます。 なお、平成17年4月に、財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合に、給付水準を自動的に調整する仕組みであるマクロ経済スライドが導入されました。これにより、年金額の調整を行っている期間は、年金額の伸びを賃金や物価の伸びよりも抑えることとします。 用語集での参照項目:報酬比例部分、標準報酬、標準報酬月額、平均標準報酬月額、財政検証、マクロ経済スライド ●時価評価(じかひょうか) 厚生年金基金では、積立金を債券や株式などに投資し市場運用を行っています。決算時点での資産額をみる場合、これまでは債券や株式を購入時の価格である簿価を基準に評価していました。そのため債券や株式などの評価額が下がっても、決算上は表面に表れませんでした。 そこで、財政運営の健全性と資産運用の効率化の観点から、平成9(1997)年度から厚生年金基金の決算はその時点の価格である時価を基準に評価することになりました。ただ、時価そのものは変動が大きいため、短期的な変動を平均化した「数理的時価」と呼ばれる方法を採用してもよいことになっています。 ●支払保証事業(しはらいほしょうじぎょう) 解散した厚生年金基金の加入員や年金受給者に対し、プラスアルファ部分について一定の年金額が確保されるよう企業年金連合会が実施している共済事業です。 企業の倒産や経営の悪化などで厚生年金基金が解散したとき、年金給付に必要な原資が足りないことがあります。そこで、すべての厚生年金基金が拠出金を負担することにより一定の額が確保できるようにしています。 ただし、個別基金の適切な運営や自助努力を前提としているため、給付額が減額されたり、給付されない場合もあります。また、解散に至らないようにする方策もあわせて実施しています。 用語集での参照項目:厚生年金基金、プラスアルファ部分、厚生年金基金連合会、企業年金連合会 ●死亡一時金(しぼういちじきん) 国民年金の第1号被保険者として保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないままに亡くなったとき、その遺族に支給される一時金です。 受けられる遺族は、亡くなった人と一緒に生活していた(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹で、受けられる順位もこの順番です。ただし、遺族基礎年金を受けられる人がいるときは支給されません。 用語集での参照項目:第1号被保険者、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金 ●社会保険オンラインシステム(しゃかいほけんおんらいんしすてむ) 社会保険業務センターと全国の社会保険事務所とを、専用のデータ通信回線によって結んだものが社会保険オンラインシステムです。 このシステムによって、各社会保険事務所から社会保険業務センターに送られてくる年金に関する届出の情報が直ちに処理されるとともに、社会保険事務所が社会保険業務センターから情報を引き出し、年金相談業務を行うなど情報の集中管理によって、効率的な事務処理を可能にしています。 用語集での参照項目:社会保険業務センター、社会保険事務所 ●社会保険業務センター(しゃかいほけんぎょうむせんたー) 社会保険制度の業務処理の中枢的な機関です。国民年金、厚生年金のほか健康保険、船員保険の加入者の適用(加入)から保険料徴収までの記録や受給者に関する記録の管理、年金の裁定(年金受給権の確認)・支払い、年金に関する相談などを行っています。 直接の窓口となる全国の社会保険事務所とは社会保険オンラインシステムにより、専用のデータ通信回線で結ばれており、迅速な記録の処理が可能になっています。 用語集での参照項目:社会保険事務所、社会保険オンラインシステム ●社会保険事務所(しゃかいほけんじむしょ) 国民年金、厚生年金、政府管掌健康保険の加入者の適用(加入)、保険料の徴収、保険給付の支給に至る一貫した窓口サービスを行っている社会保険庁の地方組織です。各都道府県の主要都市に設置され全国で312カ所あります。 記録などを管理している社会保険業務センターとは、社会保険オンラインシステムで結ばれており、迅速な記録の処理や年金の裁定、年金相談業務に役立っています。 用語集での参照項目:社会保険業務センター、社会保険オンラインシステム ●社会保険方式(しゃかいほけんほうしき) わが国の年金制度では、加入者が保険料を拠出し、それに応じて年金給付を受けます。この仕組みを社会保険方式といいます。基本的に保険料を納めなければ給付は受けられませんが、給付は、保険料の額や支払った期間に応じて決められるため、拠出と給付の関係がより明確であり、保険料拠出について加入者の合意を得やすいメリットがあります。 社会保険方式と対比されるのが、給付を税金でまかなう税方式です。 用語集での参照項目:税方式 ●社会保障協定(しゃかいほしょうきょうてい) 日本と諸外国の間において国際的に活発な人的交流が行われていることに伴い、日本の事業所から海外にある支店や駐在員事務所などに派遣される日本人が増加しています。このような海外に派遣される人については、年金制度をはじめとする日本の社会保険制度と就労地である外国の社会保険制度にそれぞれ加入し、両国の制度の保険料を負担しなければならないことがあります。(二重加入の問題) また、派遣期間が比較的短い場合、外国の年金制度の加入期間が短いという理由で年金が受けられないなど、外国で納めた保険料が結果的に掛け捨てになってしまうことがあります。(保険料掛け捨ての問題) そのため、(1)日本と相手国いずれかの国の社会保障制度のみに加入すればよいこととするとともに、(2)相手国の年金加入期間を通算して年金が受けられるようにすることにより、二重加入の問題および保険料掛け捨ての問題の解決を図ることを目的としているのが、社会保障協定です。 平成17(2005)年4月現在、ドイツ(平成12(2000)年2月発効)、イギリス(平成13(2001)年2月発効)、韓国(平成17(2005)年4月発効)、アメリカ(平成17(2005)年10月発効)、フランス(平成18年度中を目途に発効の見込み)、ベルギー(平成18年度中を目途に発効の見込み)の6カ国との間で協定を締結しています。また、平成16(2004)年10月からカナダとの間で政府間交渉をおこなっている他、オーストラリア、オランダとの間でも、政府間交渉に向けた当局間での情報・意見交換を実施しています。 ●社会保障審議会(しゃかいほしょうしんぎかい) 厚生労働大臣の諮問機関の1つで、年金を始めとする社会保障制度や人口問題の基本的な事項について調査・審議し、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べることを主に行っています。委員の任期は2年で、学識経験者の中から厚生労働大臣が任命します(30名以内)。 本審議会の下に、年金積立金の運用の基本方針の制定・変更等を審議する機関として年金資金運用分科会が、また、公的年金制度の一元化の推進に係る閣議決定(平成13(2001)年3月16日)等の要請を踏まえた検討及び検証を行う機関として年金数理部会が設置されています。 ●若年者納付猶予制度(じゃくねんしゃのうふゆうよせいど) 30歳未満の国民年金の第1号被保険者であって、本人及び配偶者の前年所得が一定以下の人に対し、保険料の納付を猶予する制度であり、申請に基づき適用されます(世帯主の所得は問いません)。10年間は追納が可能です(追納がなされなくても未納扱いとはなりません)。当該期間は、年金の受給資格期間には算入されますが、追納がなされない限り、老齢基礎年金額の計算には反映されません。当該期間中に障害となったり、死亡した場合には、障害基礎年金または遺族基礎年金が支給されます。なお、本制度は平成17年度から10年間の時限措置です。 ●終身年金(しゅうしんねんきん) 年金受給者が生存している限り支払われる年金のことをいいます。わが国の公的年金は本人と後の世代の保険料などを原資にしているため、終身年金が原則になっています。 これに対し、あらかじめ決められた一定期間生存している限り支払われる年金を「有期年金」、一定期間生死に関係なく支払われる年金を「確定年金」といいます。 用語集での参照項目:有期年金 ●受給資格期間(じゅきゅうしかくきかん) 年金を受ける場合は、保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が一定年数以上必要です。この年金を受けるために必要な加入期間を受給資格期間といいます。 わが国の公的年金では、すべての人に支給される老齢基礎年金の受給資格期間である25年間が基本になります。国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も、受給資格期間になります。 用語集での参照項目:合算対象期間、保険料免除期間 ●受託者責任(じゅたくしゃせきにん) 年金制度の運営や年金資産の運用管理に携わる人(受託者)が果たすべき責任のこと。 受託者が果たすべき一般的な義務は、加入者や受給者の利益のためだけに忠実に職務を遂行する「忠実義務」と、それぞれの立場にふさわしい専門家として払うべき「注意義務」です。「資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」においては、(1)資産運用関係者の役割や義務、(2)運用に当たっての留意事項、(3)情報開示の重要性、などが規定されています。 用語集での参照項目:エリサ法、確定給付企業年金 ●障害基礎年金(しょうがいきそねんきん) 国民年金に加入中に初診日がある病気・けがが原因で障害者になったときに支給される国民年金の給付です。60歳以上65歳未満で日本に住んでいれば、加入をやめた後の病気・けがによるものでも受けられます。ただし、加入期間のうち3分の1以上滞納がないか、平成18(2006)年4月1日前に初診日のある傷病による障害の場合は直近の1年間に保険料の滞納がないことが条件になります。なお、20歳前に初診日がある場合は、20歳に達した日又はその後に障害認定日が到来するときはその日において障害があれば障害基礎年金が支給されます。 障害の程度に応じて1級と2級があり、1級のほうが障害が重く、年金額は2級の1.25倍になっています。 ●障害共済年金(しょうがいきょうさいねんきん) 共済に加入している人が、在職中の病気やけがで障害になったとき受けられる年金です。1級・2級の場合は、障害基礎年金と障害共済年金が、さらに程度の軽い障害の場合は3級の障害共済年金だけが受けられます。 受けられる条件などは障害厚生年金と同じですが、障害共済年金には共済独自の職域加算額が加算されます。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、障害基礎年金、職域加算額 ●障害厚生年金(しょうがいこうせいねんきん) 厚生年金に加入している人が、在職中の病気やけがで障害になったとき受けられる年金です。1級・2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金が、さらに程度の軽い障害の場合は、3級の障害厚生年金だけが支給されます。 障害厚生年金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。 用語集での参照項目:障害基礎年金 ●障害手当金(しょうがいてあてきん) 厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内に治り、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。障害手当金を受ける場合も、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。 用語集での参照項目:障害基礎年金、障害厚生年金 ●職域加算額(しょくいきかさんがく) 昭和61(1986)年4月から基礎年金が導入され、共済組合も厚生年金と同様、基礎年金(1階部分)に上乗せする報酬比例の年金(2階部分)を支給する制度になりました。年金額の計算も厚生年金と同じです。そのほか、共済組合独自の年金として、報酬比例部分の20%に相当する額が職域加算額(3階部分)として加算されています。 用語集での参照項目:報酬比例部分 ●所得代替率(しょとくだいたいりつ) 厚生年金においては、現役世代の平均的なボーナス込みの手取り賃金に対する新規裁定時の年金額の割合を「所得代替率」と呼んで、給付水準設定の基準としています。平成16年時の所得代替率は標準的な世帯でおよそ59%となっています。平成16年年金制度改正では、所得代替率が50%を上回るような給付水準を将来にわたり確保することとされました。人口や経済の前提が基準的なケースとした推計では、平成35(2023)年度に50.2%となったところで調整を終了することとなり、所得代替率50%を確保し、平成112(2100)年度までのおおむね100年間における財政の均衡を確保出来る見通しとなっています。 (標準的な世帯とは、夫が平均的収入で40年間就業し、妻がその期間専業主婦であった世帯をいいます。) 用語集での参照項目:マクロ経済スライド ●私立学校教職員共済(しりつがっこうきょうしょくいんきょうさい) 私立学校の教職員が加入する国の年金制度。学校法人、準学校法人の私立の幼稚園から大学、盲・ろう学校などの教職員が対象になります。平成10(1998)年1月から日本私立学校振興・共済事業団が運営しています。 共済からは退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金が支給され、受給の条件や年金額の計算方法は厚生年金と同じですが、共済独自の職域加算額が加算されています。 また、年金給付は長期給付と呼ばれ、それ以外にも短期給付と呼ばれる医療関係の給付や災害給付も行っています。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、職域加算額 ●申請免除(しんせいめんじょ) 国民年金の第1号被保険者が、(1)所得が低いとき、(2)本人またはその世帯の人が生活保護の生活扶助以外の扶助を受けているとき、(3)保険料の納付が著しく困難なとき、などに、社会保険事務所長に申請して認定を受ければ、保険料の納付が免除されます。これを申請免除といいます。 申請免除には全額免除と半額免除があり、全額免除を受けた期間の基礎年金額は、国庫負担分だけになり、本来の基礎年金額の3分の1で計算されます。半額免除を受けた期間の基礎年金額は、本来の基礎年金額の3分の2で計算されます。 用語集での参照項目:第1号被保険者、法定免除、国庫負担、保険料免除期間、多段階免除制度 ●随時改定(ずいじかいてい) 厚生年金の標準報酬月額は、毎年4月〜6月の給料を基に9月分から改定されることになっています(定時決定)。しかし、大幅な昇降給などで標準報酬等級にあてはめて2等級以上の差異が生じ、その状態が3カ月以上続いた場合は、9月の定時決定を待たずに4カ月目から標準報酬月額の改定を行います。これを随時改定といいます。 用語集での参照項目:定時決定、標準報酬月額 ●スライド調整率(すらいどちょうせいりつ) 公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)を加えた率のことです。マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、財政の均衡が図られるまでの間、年金の改定率を抑制することにより行いますが、スライド調整率はこの年金改定率の抑制の際に用いられます。マクロ経済スライド発動中の年金改定率は、基本的には新規裁定者の場合は賃金上昇率からスライド調整率を減じたもの、既裁定者の場合は物価上昇率からスライド調整率を減じたものとなります。 用語集での参照項目:マクロ経済スライド、物価スライド ●税方式(ぜいほうしき) 公的年金は一定期間にわたり保険料を拠出し、それに応じて年金を受け取る社会保険方式で運営されています。ただし、基礎年金については、給付費の一部が国庫負担(税)でまかなわれています。(平成16(2004)年年金制度改正において、基礎年金への国庫負担割合を見直し、3分の1から2分の1に引き上げることとしました。平成16年度から引上げに着手し、平成21(2009)年度までに完全に引き上げることとしています。) これに対し、基礎年金を全額税でまかなうのが税方式です。 用語集での参照項目:社会保険方式、国庫負担 ●選択一時金(せんたくいちじきん) 厚生年金基金の給付のうち代行部分は、老齢厚生年金を代行するものであるため年金でしか受け取れません。しかし、基金独自の上乗せ部分については、本人の希望に応じて年金で受け取るか一時金で受け取るかを選択する給付設計も可能です。また、確定給付企業年金、確定拠出年金においても、年金規約などにおいて、一時金としての受給を定めることが可能です。そのときの一時金を選択一時金といいます。 いつの時点で選択するのか、どれぐらいの割合を一時金にするのかなどは、年金規約などによって異なります。 用語集での参照項目:厚生年金基金、脱退一時金 ●総合設立(そうごうせつりつ) 単独設立、連合設立とともに厚生年金基金の設立形態の1つ。同種同業の企業が強い指導力を持つ組織母体を中心にして、共同で厚生年金基金を設立する形態をいいます。 地域単位や業界単位で、中小企業が集まって設立できるメリットがあります。同じ都道府県内に(または複数県にまたがって)ある工業団地、卸商業団地、商店街などにある中小企業が集まって設立することもできます。いずれの場合も、人数要件は5,000人以上です(平成17(2005)年4月以降の新規設立)。 用語集での参照項目:単独設立、連合設立 ●総報酬制(そうほうしゅうせい) 厚生年金の保険料について、月給だけでなく、ボーナスからも同一の保険料率で保険料を徴収し、かつ給付にも反映させていく考え方です。従来の標準報酬月額の考え方に比べて、ボーナスの多寡による負担の不公平を解消することができます。 平成17(2005)年4月1日現在、厚生年金の保険料は、月給とボーナスの両方に対して13.934%で賦課されています。 用語集での参照項目:標準報酬、標準報酬月額 ●第1号被保険者(だいいちごうひほけんしゃ) 日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入し、将来、基礎年金を受けます。国民年金では加入者を3種類に分けています。そのうち、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人が第1号被保険者です。国民年金の保険料は自分で納めます。 また、(1)厚生年金、共済年金の老齢年金を受けられる人、(2)外国に住んでいる60歳未満の日本人など、希望して国民年金に任意加入する人も第1号被保険者と同様の取扱いとなります。 用語集での参照項目:第2号被保険者、第3号被保険者、任意加入 ●代行型(だいこうがた) 加算型、融合型とともに、厚生年金基金の給付形態の1つ。国の老齢厚生年金と同じ給付設計で、支給率を高くして国よりも給付が厚くなるように設計されています。加算型のように加算部分はありません。 老齢厚生年金と計算方法が同じため、給付設計が画一的でわかりやすい反面、企業の退職金を移行しづらい面があります。 用語集での参照項目:加算型、融合型 ●代行返上(だいこうへんじょう) 厚生年金基金の代行部分を国に返し、プラスアルファ部分を確定給付企業年金へ移行することを指します。平成14(2002)年4月1日に施行された確定給付企業年金法によって可能となりました。 代行返上を行った場合、厚生年金基金は消滅又は解散したものとみなされます。また、代行給付の支給義務を免れ、同時に代行部分の過去期間分に係る積立金(最低責任準備金相当額)を国に返上します。 代行返上の手順は、(1)将来期間分の支給義務停止(将来返上)、(2)過去期間分に係る積立金(最低責任準備金相当額)の返上(過去返上)、という2段階で行うのが通常ですが、(1)と(2)を同時に行うことも可能です。 将来返上は平成14年4月から、過去返上は平成15(2003)年9月から実施されています。 用語集での参照項目:厚生年金基金、代行部分、プラスアルファ部分、確定給付企業年金、最低責任準備金 ●代行部分(だいこうぶぶん) 厚生年金基金が国に代わって給付を行う部分。具体的には、老齢厚生年金(報酬比例部分)のうち賃金の再評価分と物価スライド分を除いた部分です。賃金の再評価分と物価スライド分は、国から支払われます。 厚生年金基金を設立すると、この代行部分の給付に必要な保険料を国に納めることが免除され、その分が基金の掛金となります。代行部分に加えて、企業が独自に上乗せしている給付はプラスアルファ部分といいます。 用語集での参照項目:老齢厚生年金、再評価、物価スライド、プラスアルファ部分、免除保険料、最低責任準備金 ●第3号被保険者(だいさんごうひほけんしゃ) 国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。第3号被保険者に該当する場合は、事業主に届け出る必要があります。 用語集での参照項目:第1号被保険者、第2号被保険者 ●退職共済年金(たいしょくきょうさいねんきん) 共済に加入している人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたときに、65歳から老齢基礎年金に上乗せして支給される年金です。年金額は「平均標準報酬月額×給付乗率×加入月数」で計算されます。これは、60歳から受けられる特別支給の退職共済年金の報酬比例部分と同じです。 受ける条件や年金額の計算方法は、老齢厚生年金と同じですが、退職共済年金には共済独自の職域加算額が加算されます。 また、60歳からは、特別支給の退職共済年金が支給されますが、これは職域加算額の加算を除けば、特別支給の老齢厚生年金と同様に額が計算されます。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、受給資格期間、老齢厚生年金、職域加算額 ●第2号被保険者(だいにごうひほけんしゃ) 国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者といいます。この人たちは、厚生年金や共済の加入者であると同時に、国民年金の加入者にもなります。加入する制度からまとめて国民年金に拠出金が支払われますので、厚生年金や共済の保険料以外に保険料を負担する必要はありません。 用語集での参照項目:第1号被保険者、第3号被保険者 ●多段階免除制度(ただんかいめんじょせいど) 国民年金の第1号被保険者で、保険料を全額負担する能力がない場合、これまで、全額免除と半額免除の2段階の免除制度で対応してきました。 しかし、被保険者の負担能力に応じた設定を行い、できるだけ被保険者が納付しやすい仕組みとするため、平成18(2006)年7月に、4分の3免除と4分の1免除の2段階が新たに追加されます。 免除を受けた期間の基礎年金額は、全額免除の場合本来の基礎年金額の3分の1(国庫負担分のみ)、4分の3免除の場合2分の1、半額免除の場合3分の2、4分の1免除の場合6分の5で計算されます。 用語集での参照項目:第1号被保険者、法廷免除、申請免除、国庫負担、保険料免除期間 ●脱退一時金(だったいいちじきん) 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間が6カ月以上ある外国人、または厚生年金の加入期間が6カ月以上ある外国人で、年金を受け取ることができない人が帰国後2年以内に請求を行った場合、保険料を納めた期間または加入期間に応じて、国民年金または厚生年金の脱退一時金が支給されます。 また、加算型の厚生年金基金において、加入員が年金の受給資格を満たさずに短期間で基金を脱退した場合、一時金で受け取る加算部分を脱退一時金といいます。 その場合、代行部分の原資は厚生年金基金連合会に移管され、将来、連合会から年金給付を受けます。また、本人が希望すれば脱退一時金も連合会に移管して、将来、連合会から加算年金として受け取ることもできます。 用語集での参照項目:第1号被保険者、加算型、厚生年金基金連合会、中途脱退者、選択一時金 ●脱退手当金(だったいてあてきん) 厚生年金の加入期間が5年以上あり、60歳になっても何の給付も受けられないまま加入をやめた人に対し、例外的に支給される一時金です。昭和61(1986)年の基礎年金の導入によって、国民年金の保険料を滞納しない限り1カ月の加入でも老齢厚生年金が受けられるようになったため、昭和16(1941)年4月1日以前生まれの人を除いて、脱退手当金制度は廃止されました。 ●段階保険料方式(だんかいほけんりょうほうしき) 保険料水準を将来に向けて段階的に引き上げていくことをあらかじめ想定して将来見通しを作成し、財政運営を行う財政方式のことを段階保険料方式といいます。 平成16年年金制度改正では、保険料水準を段階的に引き上げて、平成29(2017)年度以降、一定の水準で固定し、給付水準を自動調整するという保険料水準固定方式がとられました。この財政方式は、保険料水準の引き上げをあらかじめ想定し財政運営を行うという観点から見ると、段階保険料方式の一形態と考えることができます。 段階保険料方式は賦課方式と積立方式の両方の要素を併せもち、保険料の引き上げ方により、どちらの方式に近くなるかが決まります。我が国の年金制度は賦課方式を基本とした方式であり、賦課方式に近い積立金水準を維持することで運用リスクを軽減する一方、一定の積立金を保有し活用することで、将来の保険料水準や給付水準を平準化するとともに、少子高齢化に伴う急激な負担の上昇や給付の低下を回避するという両財政方式の長所を生かした財政方式をとっています。 用語集での参照項目:保険料水準固定方式、賦課方式、積立方式、平準保険料方式 ●単独設立(たんどくせつりつ) 連合設立、総合設立とともに厚生年金基金の設立形態の1つ。1つの企業で厚生年金基金を設立する場合をいいます。原則として、一部の事業所を除外したり、複数の基金を設立することは認められていません。人数要件は1,000人以上です(平成17(2005)年4月以降の新規設立)。 用語集での参照項目:連合設立、総合設立 ●地方公務員共済組合(ちほうこうむいんきょうさいくみあい) 地方公務員が加入する年金制度。都道府県や市町村に勤務する地方公務員、公立学校の教職員、警察官などが対象になります。 共済組合からは退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金が支給され、受給の条件や年金額の計算方法は厚生年金と同じですが、共済独自の職域加算額が加算されます。 また、年金給付は長期給付と呼ばれ、それ以外にも短期給付と呼ばれる医療関係の給付や災害給付も行っています。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、私立学校教職員共済、職域加算額 ●中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん) 遺族厚生年金の加算給付の1つ。遺族基礎年金は子どものいない妻には支給されませんし、子がいてもその子が18歳(18歳の誕生日の属する年度末まで)又は20歳(1級・2級の障害の子)に達すれば支給されなくなりますが、夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の寡婦加算(定額)が加算されます。妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢の寡婦加算はなくなります。 用語集での参照項目:遺族厚生年金、遺族基礎年金、経過的寡婦加算 ●中途脱退者(ちゅうとだったいしゃ) 厚生年金基金に加入している人が、その企業をやめると厚生年金基金の加入員ではなくなります。厚生年金基金を短期間(原則として20年未満)で脱退した人を中途脱退者といいます。 中途脱退者に対する年金給付をそれぞれの厚生年金基金で管理することは、煩雑で合理的でありません。そこで、中途脱退者については年金原資を企業年金連合会に移管し、連合会が一元的に年金給付を行うことができることとされています。 用語集での参照項目:企業年金連合会 ●通算老齢年金(つうさんろうれいねんきん) 大正15(1926)年4月1日以前生まれの人で、複数の年金制度に加入し、それぞれの加入期間が1年以上あるが、その制度から老齢年金を受けられない等の場合、各制度の加入期間を通算することにより受給資格要件を付与し、各制度から期間比例の支給を行う老齢年金のことです。 昭和61(1986)年4月からは基礎年金が導入され、どの年金制度に加入してもすべて老齢基礎年金の受給資格期間になるため、通算老齢年金はなくなりました。 用語集での参照項目:老齢基礎年金、受給資格期間 ●積立方式(つみたてほうしき) 年金制度の財政方式の1つで、将来の年金給付に必要な原資を、あらかじめ保険料で積み立てていく財政方式です。積立方式の場合、加入者や受給者の年齢構成が将来見通しどおり推移する限り、高齢化が進んでも保険料は影響を受けません。一方、保険料の運用収入を見込んで保険料を決めるため、金利の変動など経済的要因の影響を受けます。 これに対し、そのときに必要な原資を、そのときの現役世代の保険料でまかなう財政方式を賦課方式といいます。わが国の年金制度は、ある程度の積立金を有し、積立方式の要素をもちつつも、賦課方式を基本とした財政方式になっています。 用語集での参照項目:賦課方式 ●定額部分(ていがくぶぶん) 60歳から64歳まで受ける特別支給の老齢厚生年金は定額部分と報酬比例部分からなっています。定額部分は、「定額単価×加入月数」で計算されます。報酬比例部分が在職中の給料に比例しているのに対し、定額部分は所得再分配の機能を有しています。65歳以降の老齢厚生年金は報酬比例部分となり、定額部分は老齢基礎年金に移行されます。 定額単価は生年月日によって逓減され、昭和21(1946)年4月2日以降生まれの人から一律になります。定額部分の額の計算は、480月(40年)(昭和21(1946)年4月2日以降生まれの人)分で頭打ちになります。 また、定額部分の支給開始年齢は、平成13(2001)年度から、3年に1歳ずつ引き上げられています(平成13年度〜平成15(2003)年度は61歳、平成16(2004)年度〜平成18(2006)年度は62歳、平成19(2007)年度〜平成21(2009)年度は63歳、平成22(2010)年度〜平成24(2012)年度は64歳)。これにより、平成25(2013)年度以降、定額部分は廃止されます。 用語集での参照項目:特別支給の老齢厚生年金、報酬比例部分 ●定時決定(ていじけってい) 厚生年金では保険料や年金額を計算する際、月給(標準報酬月額)を基にしています。しかし、月給の変動のつど標準報酬月額を変更するのは合理的ではありません。そこで、毎年定期的に標準報酬月額を決定しており、これを定時決定といいます。具体的には毎年4月〜6月の月給を平均し、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額としています。 用語集での参照項目:標準報酬月額、随時改定 ●適格退職年金(てきかくたいしょくねんきん) 厚生年金基金と並ぶ企業年金制度で、昭和37(1962)年に発足しました。年金原資を外部機関に積み立てるなど、法人税法で定める一定の条件を満たすことで国税庁長官に承認されます。 事業主が負担する掛金は全額損金として扱われるなど、税制上の優遇措置があります。退職金の原資を社外積立によって平準化できることや、厚生年金基金に比べ少人数(15人以上)でも設立できるメリットがあります。 なお、平成14年度以降、新たな適格退職年金の設立は認められず、既存のプランは平成23年度末までの間に確定給付企業年金等に非課税で移行できます。 用語集での参照項目:厚生年金基金、企業年金、確定給付企業年金 ●適用事業所(てきようじぎょうしょ) 厚生年金の適用対象となる事業所のこと。すべての法人事業所は、事業主や従業員の意思に関係なく強制的に加入しなければなりません。適用事業所に勤める従業員は、自動的に厚生年金の加入者になります。 なお、5人未満の個人事業所と5人以上でもサービス業の一部や農業・漁業などの個人事業所は、強制適用の扱いを受けません。 ●特別支給の老齢厚生年金(とくべつしきゅうのろうれいこうせいねんきん) 昭和61(1986)年年金制度改正により、老齢厚生年金の支給は65歳からになりましたが、厚生年金の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、当分の間、60歳から64歳までの老齢厚生年金が特別に支給されます。これを特別支給の老齢厚生年金といいます。 年金額は、定額部分と報酬比例部分で計算されます。60歳から64歳までの間の定額部分の支給は平成24(2012)年度まで、報酬比例部分の支給は平成36(2024)年度までとなっています。 用語集での参照項目:老齢厚生年金、受給資格期間、定額部分、報酬比例部分 ●特別法人税(とくべつほうじんぜい) 企業年金の積立金に対し、法人税法上課税される税金です。 厚生年金基金の場合は、国の厚生年金を代行しているため、代行部分の3.23倍に相当する額までの積立金は非課税で、それを超える部分に1.173%の特別法人税が課税されます。 確定給付企業年金、確定拠出年金の場合、積立金の全額に、一律1.173%の特別法人税が課税されます。なお、平成17(2005)年度から3年間(平成20(2008)年3月31日まで)は、特別法人税の課税は凍結されています。 用語集での参照項目:厚生年金基金、適格退職年金、特例適格退職年金 ●特例適格退職年金(とくれいてきかくたいしょくねんきん) 適格退職年金のうち一定の条件を満たしている制度を特例適格退職年金といいます。 一定の条件とは、(1)加入員数が500人未満、(2)年金額が厚生年金基金の代行部分の3割相当額を下回らない、(3)終身年金が退職年金の現価の2分の1以上ある、などです。企業年金の普及や厚生年金基金との公平性を図るため、厚生年金基金に類した給付設計を有する特例適格退職年金には、厚生年金基金並みの税制上の優遇措置が与えられています。 なお、平成14年度以降、新たな特例適格退職年金の設立は認められず、既存のプランは平成23年度末までの間に確定給付企業年金等に非課税で移行できます。 用語集での参照項目:適格退職年金、特別法人税、確定給付企業年金 ●二重の負担(にじゅうのふたん) 年金制度を賦課方式から積立方式に切り替える場合、切り替え時の現役世代が自らの将来の年金の積立てに加えて、そのときの受給世代の年金分も負担する必要があることを、二重の負担と呼んでいます。 現在の厚生年金は賦課方式を基本とした方式であり、後の世代の負担でまかなう部分があります。そのため、厚生年金を廃止し企業年金や個人年金に移行する(いわゆる厚生年金の民営化)と、過去の期間分の積立不足分が表面化し、二重の負担問題が生じます。 用語集での参照項目:積立方式、賦課方式 ●任意加入(にんいかにゅう) わが国の公的年金は強制加入が原則ですが、次の人たちは希望すれば国民年金に任意に加入することができます。扱いは第1号被保険者と同じです。(1)日本国内に住所を有し、20歳以上60歳未満で厚生年金や共済組合の老齢年金が受けられる人、(2)20歳以上65歳未満で海外に住んでいる日本人、(3)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人(4)昭和40(1965)年4月1日以前生まれで、65歳までに受給資格期間を満たせない人等が対象となります。 用語集での参照項目:強制加入、第1号被保険者、受給資格期間、高齢任意加入 ●任意継続被保険者(にんいけいぞくひほけんしゃ) 厚生年金の加入期間が10年以上あり、受給資格期間を満たせずに退職した場合、その期間を満たすまで厚生年金の加入を続ける人を任意継続被保険者といいます。第4種被保険者とも呼ばれます。この制度は、昭和60(1985)年改正による基礎年金の導入によって廃止されましたが、(1)昭和16(1941)年4月1日以前生まれで、(2)昭和61(1986)年4月に厚生年金に加入しており、その時点から退職するまでの間、厚生年金か共済組合に加入している人は、特例として任意継続加入が認められています。保険料は、事業主負担分も含めて全額自己負担となります。 ●年金資金運用基金(ねんきんしきんうんようききん) 厚生労働大臣から寄託された年金積立金を、厚生年金保険法及び国民年金法に基づいて厚生労働大臣が定める基本方針に沿って管理・運用する機関です。平成13(2001)年4月1日に、旧年金福祉事業団を廃止し、厚生労働大臣が年金積立金に最もふさわしい方法で市場運用(自主運用)するための機関として設立されました。 なお、平成16(2004)年6月に、専門性を徹底し、責任体制の明確化を一層図る観点から、新たに運用の専門機関である年金積立金管理運用独立行政法人を設立し、同法人において、厚生労働大臣が示す運用目標に沿って、具体的な債券、株式等の資産構成割合を定めることを内容とする年金積立金管理運用独立行政法人法が成立しました(施行は一部を除き、平成18(2006)年4月)。本法により、年金資金運用基金及び同基金が従来実施してきたグリーンピア事業・年金住宅融資事業は、平成17(2005)年度末をもって廃止されます。 用語集での参照項目:年金積立金、年金積立金管理運用独立行政法人 ●年金証書(ねんきんしょうしょ) 年金は受ける条件が整えば自動的に支給されるわけではありません。そのための手続きをし、社会保険庁が受ける権利があることを確認した上で年金が支払われます。受ける権利の証明として交付されるのが年金証書です。年金証書には、自分の基礎年金番号が記載され、年金受給後に各種届出をする際にも必要になります。 用語集での参照項目:基礎年金番号 ●年金数理(ねんきんすうり) 年金制度において長期的な財政計画を立てる際の数学的理論や計算方法を総称して年金数理といいます。その大前提は、保険料、積立金の運用収入、国庫負担の収入総額と年金給付の支出総額が長期的に均衡する「収支相等の原則」です。 用語集での参照項目:国庫負担 ●年金数理人(ねんきんすうりにん) 厚生年金基金や国民年金基金が適正な年金数理に基づいて運営されているかどうかを、加入員の受給権保護の観点から検証する専門家を年金数理人といいます。毎年度の決算や財政再計算など、基金の財政に関する書類には年金数理人が署名・押印しなければなりません。 年金数理人になれるのは、(1)日本アクチュアリー会の正会員であり、(2)基金の年金数理に関する業務に5年以上(うち2年以上は責任者としての業務経験)ある人で、厚生労働大臣が認めた人です。各厚生年金基金は、年金数理人を個別に指名することが義務づけられており、それを指定年金数理人といいます。 用語集での参照項目:年金数理 ●年金積立金(ねんきんつみたてきん) 年金の保険料は年金の支払い等に充てられますが、残りは年金積立金として積み立てられています。 国民年金、厚生年金の積立金は、厚生労働大臣が年金資金運用基金に寄託し、同基金が「運用の基本方針」(厚生労働大臣が社会保障審議会に諮問して策定)に沿って市場運用しています。 なお、平成18(2006)年4月には、専門性を徹底し、責任体制の明確化を一層図る観点から、年金資金運用基金に代えて、新たに運用の専門機関である年金積立金管理運用独立行政法人を設立し、同法人において、厚生労働大臣が示す運用目標に沿って、具体的な債券、株式等の資産構成割合を定めることとしています。 厚生年金基金や国民年金基金等の年金積立金は、それぞれの基金が金融機関を通じて市場運用を行っています。 用語集での参照項目:年金資金運用基金、年金積立金管理運用独立行政法人 ●年金積立金管理運用独立行政法人(ねんきんつみたてきんかんりうんようどくりつぎょうせいほうじん) 平成16(2004)年6月に成立した年金積立金管理運用独立行政法人法により、平成18(2006)年4月1日に設立される年金積立金の管理・運用を行う独立行政法人です。専門性を徹底し、責任体制の明確化を一層図る観点から、同法人において、厚生労働大臣が示す運用目標に沿って、具体的な債券、株式等の資産構成割合を定めた上で、年金積立金の運用を行います。 本法の成立により、年金資金運用基金及び同基金が従来実施してきたグリーンピア事業・年金住宅融資事業は、平成17(2005)年度末をもって廃止されます。 用語集での参照項目:年金積立金、年金資金運用基金 ●年金手帳(ねんきんてちょう) 国民年金、厚生年金に加入すると、各人の基礎年金番号が記載された年金手帳が交付されます。年金手帳は、年金の各種届出の際に必要となります。転職などによって加入する制度が変わっても、年金手帳は同じものを使い、基礎年金番号も一生かわりません。再就職したときや国民年金に加入したとき、また、年金を受ける際に必要になります。 用語集での参照項目:基礎年金番号 ●年金の分割(ねんきんのぶんかつ) 平成19(2007)年4月以降、夫婦が離婚した場合には、当事者の合意又は裁判所の決定があれば、婚姻期間についての厚生年金の分割を受けることができます。 分割割合は、婚姻期間中の夫婦の保険料納付記録の合計の半分を限度とします。施行日(平成19年4月)以降に成立した離婚を対象としますが、施行日以前の保険料納付記録も分割対象となります。 また、平成20(2008)年4月以降は、被扶養配偶者(第3号被保険者)を有する第2号被保険者が負担した保険料は夫婦が共同して負担したものであることを基本認識とし、その旨を法律上明記します。第3号被保険者期間(施行日(平成20年4月)以降の期間)は、この基本認識の下、離婚した場合、又は配偶者の所在が長期にわたり明らかでないなど分割を適用することが必要な事情にあると認められる場合に、第2号被保険者の厚生年金(保険料納付記録)を2分の1に分割できることとなっています。 用語集での参照項目:第2号被保険者、第3号被保険者 ●独立行政法人 農業者年金基金(どくりつぎょうせいほうじんのうぎょうしゃねんきんききん) 農業者の老後生活の安定や農業の担い手を確保することを目的に、国民年金に上乗せする年金を支給する独立行政法人です。農業者年金は第1号被保険者で農業に年間60日以上従事していれば誰でも加入できる任意加入の年金です。 財政方式は積立方式であり、保険料の一部を国庫が負担する制度があります。 支給される給付は、自らが積み立てた保険料とその運用益が基礎となる農業者老齢年金であり、保険料の国庫助成を受けた方には特例付加年金が併せて給付されるほか、死亡一時金の制度もあります。 ●配偶者特別加算(はいぐうしゃとくべつかさん) 特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金を受けられるようになったとき、厚生年金の加入期間が20年(中高齢の特例の場合は15年〜19年)以上ある場合、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいれば、加給年金額が加算されます。その際、年金を受ける人が昭和9(1934)年4月2日以降生まれの場合は、生年月日に応じて配偶者の加給年金額に特別加算がされます。これを配偶者特別加算といいます。 用語集での参照項目:加給年金額 ●非継続基準(ひけいぞくきじゅん) 厚生年金基金の財政検証の1つ。受給者や加入員の受給権を保護するため、万が一厚生年金基金が解散したとしても、それまでの期間に係る年金給付に見合う積立金が保有されているかどうかを検証するもので、平成9(1997)年度から導入されました。解散を想定し、将来の掛金収入を考慮しない検証方法のため、「非継続基準」による財政検証といいます。 これに対し、基金が継続することを前提に、将来の掛金収入を考慮に入れて将来にわたって年金給付が行われるかどうかの検証を、「継続基準」の財政検証といいます。 用語集での参照項目:継続基準 ●被保険者期間(ひほけんしゃきかん) 国民年金や厚生年金の被保険者(加入者)であった期間で、加入期間のことです。共済の場合は組合員期間または加入者期間といいます。被保険者になった月から被保険者でなくなった月の前月までを、月単位で計算します。 老齢基礎年金の受給資格期間を計算する場合の被保険者期間は、保険料を納めた期間のほか、保険料が免除された期間、合算対象期間が対象になります。 用語集での参照項目:受給資格期間、保険料免除期間、合算対象期間 ●被用者年金(ひようしゃねんきん) 公的年金制度のうち、民間企業や官公庁等に雇用されている人が加入する年金を被用者年金といいます。被用者年金には厚生年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済があります。 被用者年金制度からは、基礎年金に上乗せする形で報酬比例の年金が支給され、共済ではさらに職域加算額が加算されます。 用語集での参照項目:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済、職域加算額 ●標準賞与額(ひょうじゅんしょうよがく) 賞与については、その月に支払われた賞与額の1,000円未満を切り捨てた額を標準賞与額とします。標準賞与額の上限は150万円です。 ●標準報酬(ひょうじゅんほうしゅう) 厚生年金や共済年金では、毎月の月給及び賞与を基に保険料や年金額を計算します。しかし、各人の給料体系は様々で、かつ変動するため、そのまま使うのは事務的に煩雑です。そこで、報酬月額・賞与額を一定の幅で区分して仮の報酬月額・賞与額を決め、計算の基礎にしています。これを標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額)といいます。 標準報酬月額の対象となる報酬の範囲は、基本給のほか役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えたもので、臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等は除きます。 標準賞与額の対象となる賞与は、いかなる名称であるかを問わず、労働の対価として受ける全てのもののうち、3カ月を超える期間ごとに受けるもののことです。 用語集での参照項目:標準報酬月額、総報酬制 ●標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく) 厚生年金や共済年金では、保険料や年金額を計算する際に標準報酬を用いますが、報酬月額を一定の範囲で分け、それに該当する金額を標準報酬月額といいます。現在は1等級(9万8千円)から30等級(62万円)まで30等級に分かれています。 標準報酬月額は原則として年に一度見直されます。標準報酬月額に保険料率を掛けたものが保険料になり、在職中の標準報酬月額に再評価率を掛けたものを平均したものが年金額の計算に使われます。 用語集での参照項目:標準報酬、定時決定、随時改定、再評価、平均標準報酬月額 ●付加年金(ふかねんきん) 自営業者など国民年金の第1号被保険者を対象に、国民年金の保険料に加えて付加保険料を納めることで受け取る年金を付加年金といいます。月400円の付加保険料を納め、「200円×付加保険料を納めた月数」で計算された年金が受けられます。 なお、付加年金には物価スライドはなく、国民年金基金に加入している人は付加年金に加入できません。 用語集での参照項目:第1号被保険者、物価スライド制、国民年金基金 ●賦課方式(ふかほうしき) 年金制度の財政方式の1つ。そのときに必要な年金原資を、そのときの現役世代の保険料でまかなう財政方式です。賦課方式の場合、保険料率は基本的に年金受給者と現役加入者の比率によって決まるため、人口の高齢化が進むと保険料は影響を受けます。一方、積立金を保有していないため、金利の変動などの影響は受けません。 これに対し、将来の年金給付に必要な原資を、あらかじめ保険料で積み立てていく財政方式を積立方式といいます。わが国の年金制度は、ある程度の積立金を有し、賦課方式を基本とした財政方式になっています。 用語集での参照項目:積立方式 ●物価スライド(ぶっかすらいど) 年金額の実質価値を維持するため、物価の変動に応じて年金額を改定すること。現行の物価スライド制では、前年(1〜12月)の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金額が改定されます。私的年金にはない公的年金の大きな特徴です。 なお、平成17年4月に、財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合に、給付水準を自動的に調整する仕組みであるマクロ経済スライドが導入されました。これにより、年金額の調整を行っている期間は、年金額の伸びを物価の伸びよりも抑えることとします。 用語集での参照項目:マクロ経済スライド、厚生年金基金 ●プラスアルファ部分(ぷらすあるふぁぶぶん) 厚生年金基金の給付のうち、国に代わって行う代行部分を上回る給付の部分であり、平成17(2005)年4月以降に設立する基金は、代行部分よりも5割以上の厚みを増すことになっています。 また、プラスアルファ部分は、半分以上が終身年金であることや、65歳以降のプラスアルファ部分の終身年金が65歳以降の代行部分の5%を下回らないことが必要です。 用語集での参照項目:代行部分、報酬比例部分 ●振替加算(ふりかえかさん) 特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金に加算される配偶者の加給年金額は、配偶者が65歳になると自分の老齢基礎年金を受けられるため、打ち切られます。その際、加給年金額の代わりに配偶者の老齢基礎年金に加算されるのが振替加算です。これは、国民年金への任意加入期間など自分の公的年金加入期間が短いとか、まったくないという人が、そのままでは低額の老齢基礎年金しか受けられないことに配慮したものです。振替加算の額は生年月日に応じて逓減されていき、昭和41(1966)年4月2日以降生まれからゼロになります。 なお、振替加算が行われるのは、夫婦とも大正15(1926)年4月2日以降生まれの場合に限られます。 用語集での参照項目:加給年金額 ●プルーデントマンルール(prudent-man rule) 「思慮ある者の原則」と呼ばれ、企業年金の運用関係者が遵守すべき行動基準のことをさします。アメリカのエリサ法(従業員退職所得保障法)では、資産運用にあたって「同様の立場で行動し、同様の事項に精通している思慮深い人が行使するであろう注意、技量、勤勉さを用いる」ことが規定されています。 日本でも厚生年金基金や確定給付企業年金の運用担当者にはプルーデントマンルールと同様の義務が求められています。 用語集での参照項目:エリサ法、受託者責任、厚生年金基金、確定給付企業年金 ●併給調整(へいきゅうちょうせい) 年金制度においては、1人の人が複数の年金を受けることは過剰給付になり公平性を失うとの観点から、「1人1年金」が原則になっています。複数の年金が受けられる場合は、いずれか1つの年金を選択しなければならず、これを併給調整といいます。 ただし、老齢基礎年金と老齢厚生年金というように、同じ種類の基礎年金と報酬比例の年金は一緒に受けられ、遺族年金と老齢基礎年金の組み合わせも例外が認められています。 ●平均標準報酬月額(へいきんひょうじゅんほうしゅうげつがく) (総報酬制導入以後の期間については平均標準報酬額) 厚生年金や共済年金の年金額を計算する場合に基となる標準報酬のことです。具体的には、加入期間中の標準報酬を平均して算出します。その際は年金の実質価値を維持するため、過去の標準報酬を現役世代の賃金の上昇に応じて見直す再評価を行っています。 用語集での参照項目:標準報酬、再評価 ●平準保険料方式(へいじゅんほけんりょうほうしき) 保険料を拠出する年金制度では、年金を受けるためには一定期間の保険料納付が必要になります。そのため、制度発足当初は受給者があらわれず、時間の経過とともに受給者が増えることになります。これにあわせ、年金給付費も増大していきます。 この給付費に必要な保険料を算定する場合、時間の経過と無関係にほぼ一定の拠出水準でまかなうように設定することを平準保険料方式といいます。わが国の年金制度は、平準保険料方式ではなく段階的に保険料を引き上げていく段階保険料方式を採用しています。 用語集での参照項目:段階保険料方式 ●別途積立金(べっとつみたてきん) 厚生年金基金の決算において、積立金が将来の年金・一時金給付のために必要な額(責任準備金といいます)を上回る場合、その剰余分を別枠で積み立てたものが別途積立金です。年金数理上の基礎率よりも実績が上回った場合などに発生します。 別途積立金は、(1)決算上の不足金が生じたとき、(2)財政検証時に掛金率の上昇を抑えるとき、(3)給付改善を行うとき、などに取り崩すことができます。 用語集での参照項目:年金数理、基礎率、財政検証 ●ポイント制(ぽいんとせい) 現役世代、特に若い世代の年金制度に対する理解を深めることを目的に、平成20(2008)年4月から、被保険者に保険料納付実績や年金見込額といった年金個人情報の定期的な通知を行うこととしており、その際、保険料を納めた実績が積み上がっていくことを分かりやすく示す仕組み(ポイント制)を導入します。 用語集での参照項目:保険料 ●報酬比例部分(ほうしゅうひれいぶぶん) 報酬比例部分は、「平均標準報酬月額×支給乗率(1000分の9.5〜7.125)×平成15(2003)年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×(1000分の7.308〜5.481)×平成15(2003)年4月以後の被保険者期間の月数」で計算されます。老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金のいずれの給付の場合も、この報酬比例部分が額の計算の基礎となります。65歳以降の老齢厚生年金も同じ計算式です。 老齢厚生年金と一部の遺族厚生年金の支給乗率は生年月日によって低減され、昭和21(1946)年4月2日以降生まれの人から、平成15(2003)年3月までの期間については一律1000分の7.125、平成15(2003)年4月以後の期間については一律1000分の5.481になります。定額部分と違い、加入月数の上限はありません。 なお、前述の計算式によって算出した年金額が、従前の計算式(「{平均標準報酬月額×支給乗率(1000分の10〜7.5)×平成15(2003)年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×(1000分の7.692〜5.769)×平成15(2003)年4月以後の被保険者期間の月数}×1.031×0.988」)によって算出した年金額を下回る場合は、従前の年金額が報酬比例部分の年金額となります(従前額保障)。 用語集での参照項目:特別支給の老齢厚生年金、平均標準報酬月額、老齢厚生年金、定額部分 ●法定免除(ほうていめんじょ) 次に該当する国民年金の第1号被保険者は、届け出れば保険料が自動的に免除されます。これを法定免除といいます。(1)障害基礎年金または被用者年金の障害年金を受けている、(2)生活保護の生活扶助を受けている、(3)国立および国立以外のハンセン病療養所などで療養しているときに法定免除となります。 免除を受けた期間の基礎年金額は、国庫負担分だけになり、本来の基礎年金額の3分の1になります。 用語集での参照項目:第1号被保険者、申請免除、障害基礎年金、被用者年金、国庫負担、保険料免除期間、多段階免除制度 ●ポータビリティ(portability) 年金制度において、年金原資を「持ち運びができる」という意味です。転職の際に、退職する会社の企業年金から年金原資を受け取り、転職先の企業年金に移換することを指します。 確定拠出年金の場合、年金原資が個人別口座で管理されているため、ポータビリティが確保されています。 確定給付型年金についても、平成17(2005)年10月から、年金通算措置の実施により、転職先企業の制度の規約と本人の同意を要件に、厚生年金基金、確定給付企業年金間でポータビリティが確保されるようになりました。なお、ポータビリティが確保されない個別のケースについては、企業年金連合会(厚生年金基金連合会を改称)で引き受け、将来、年金として受給できる途が開かれています。 また、厚生年金基金・確定給付企業年金から確定拠出年金へのポータビリティも確保されています。 用語集での参照項目:確定拠出年金、確定給付型年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、企業年金連合会、厚生年金基金連合会 ●保険料(ほけんりょう) 年金制度において、給付に要する費用に充てるために拠出する金額を保険料といいます。国民年金の保険料は定額で、第1号被保険者は自分で負担しますが、第2号被保険者は本人が、第3号被保険者は配偶者が加入する制度から拠出されるため、本人は国民年金の保険料を負担する必要はありません。厚生年金、共済組合の保険料は給料に一定の率を掛けて、労使が折半して納めます。 厚生年金基金や国民年金基金の場合は掛金と呼んでいます。 用語集での参照項目:第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者 ●保険料水準固定方式(ほけんりょうすいじゅんこていほうしき) 平成16年年金制度改正においては、最終的な保険料(率)の水準を法律で定め、その負担の範囲内で給付を行うことを基本に、少子化等の社会経済情勢の変動に応じて給付水準が自動的に調整される仕組みを年金制度に組み込むこととしました。これを保険料水準固定方式と呼びます。急速に進展する少子高齢化に対応するため、負担の上昇は避けられませんが、若年層を中心として、負担がどこまでも上昇してしまうのではないかとの不安が大きいことから、将来にわたっての保険料水準を固定し、法律に明記することにしました。これに対し、従来のように5年ごとの財政再計算の際に、現行の給付水準を維持するとした場合に、保険料(率)をどこまで引き上げなければならないかを計算する方式を給付水準維持方式と言います。 用語集での参照項目:段階保険料方式 ●保険料免除期間(ほけんりょうめんじょきかん) 国民年金の第1号被保険者としての加入期間のうち、保険料を納めることが免除された期間をいいます。保険料が免除されるのは、自動的に免除される法定免除と、本人の申請による申請免除があります。 保険料免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間として計算されますが、年金額を計算する際は国庫負担に相当する3分の1になります。免除された保険料は、10年前までさかのぼって追納することができます。 用語集での参照項目:第1号被保険者、法定免除、申請免除、受給資格期間、国庫負担 ●マクロ経済スライド(まくろけいざいすらいど) 少なくとも5年に1度の財政検証の際、おおむね100年間の財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合は、年金額の調整を開始します。 年金額は通常の場合、賃金や物価の伸びに応じて増えていきますが、年金額の調整を行っている期間は、年金を支える力の減少や平均余命の伸びを年金額の改定に反映させ、その伸びを賃金や物価の伸びよりも抑えることとします。この仕組みをマクロ経済スライドといいます。 その後の財政検証において年金財政の均衡を保つことができると見込まれるようになった時点で、年金額の調整を終了します。 なお、このマクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると名目額が下がってしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめます。したがって、名目の年金額を下げることはありません。 賃金や物価の伸びがマイナスの場合には、調整は行いません。したがって、賃金や物価の下落分は年金額を下げますが、それ以上に年金額を下げることはありません。 用語集での参照項目:財政検証、再評価、物価スライド ●免除保険料(めんじょほけんりょう) 厚生年金基金を設立した場合、厚生年金の保険料のうち、代行部分の給付に必要なものとして、国に納めることが免除される保険料のことをいいます。 免除された分は厚生年金基金に掛金として納められ、代行部分の給付の原資となります。免除保険料の率は、現在、基金の年齢構成等により2.4%〜5.0%の27段階に分かれています。 用語集での参照項目:代行部分 ●有期年金(ゆうきねんきん) 10年、15年など支給される期間があらかじめ定められている年金。その期間に達しなくても、本人が死亡すれば年金は支払われません。その際、残りの期間分を一時金として遺族に支払うことが決められている場合を「確定年金」といいます。 これに対し、国の年金のように死亡するまで一生受けられる年金を「終身年金」といいます。 用語集での参照項目:終身年金 ●有限均衡方式ゆうげんきんこうほうしき) 平成16年年金制度改正では、公的年金の財政運営について、現時点で視野に入れる有限の期間(財政均衡期間)をあらかじめ設定し、その財政均衡期間において年金財政の均衡を図るという方式が導入されました。これを有限均衡方式と呼びます。 この有限均衡方式では、時間の経過とともにその均衡を考える期間を先に移動させて、結果として将来にわたり均衡を図ります。また、財政均衡期間の最後において支払い準備金程度の積立金を確保することとしています。財政均衡期間については、既に生まれている世代が年金の受給を終えるまでの概ね100年間と法律上明記されており、平成16年の財政再計算では、財政均衡期間は平成112(2100)年度までの95年間、平成112(2100)年度の積立金の規模を支出の1年分として将来見通しを作成しています。 用語集での参照項目:永久均衡方式 ●融合型(ゆうごうがた) 代行型、加算型とともに、厚生年金基金の給付形態の1つ。加算型の一種で、国の老齢厚生年金を代行する代行部分と代行部分に上乗せするプラスアルファ部分が一体となった給付設計であることから、融合型といいます。 退職時の最終給与や直近の一定期間の平均給与などを用いて給付額を計算し、代行部分以上の給付となるように設計されています。 平成17(2005)年4月1日現在で融合型の厚生年金基金はありません。 用語集での参照項目:代行型、加算型、代行部分、プラスアルファ部分 ●連合設立(れんごうせつりつ) 単独設立、総合設立とともに厚生年金基金の設立形態の1つ。1企業が他の企業の発行済み株式や出資の概ね2割を保有する関係にある場合や人的関係が緊密である場合に、これらの企業が共同で厚生年金基金を設立する形態をいいます。人数用件は1,000人以上です(平成17(2005)年4月以降の新規設立)。 用語集での参照項目:単独設立、総合設立 ●老齢基礎年金(ろうれいきそねんきん) 国民年金に原則として25年以上加入した人が65歳から受ける、全国民に共通した年金です。年金額は40年加入した場合が満額となり、加入年数がそれに満たない場合は、その期間に応じて減額されます。本人が希望すれば、60歳以降から繰り上げて、また、65歳以降に繰り下げて受けることもできます。 60歳から特別支給の老齢厚生年金を受けている人は、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金に切り替わります。 用語集での参照項目:受給資格期間、加入可能年数、繰上げ支給、繰下げ支給、特別支給の老齢厚生年金 ●老齢厚生年金(ろうれいこうせいねんきん) 厚生年金に加入していた人が、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたときに、65歳から老齢基礎年金に上乗せして受ける年金です。年金額は「平均標準報酬月額×支給乗率×加入月数」で計算されます。これは、60歳から受けられる特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分と同じです。 なお、老齢厚生年金には経過的加算がプラスされ、加入期間が20年(中高齢の特例の場合は15年〜19年)以上ある場合、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者、または18歳未満(18歳の誕生日の属する年度末まで)の子、20歳未満で1級・2級の障害の子がいれば、加給年金額が加算されます。 用語集での参照項目:老齢基礎年金、受給資格期間、特別支給の老齢厚生年金、平均標準報酬月額、報酬比例部分、経過的加算、加給年金額