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モデル地域福祉計画策定に関する意見交換会議事録 概要

1.日時:平成16年8月4日(水)13:00〜17:00

2.出席モデル自治体:北海道本別町、山形県高畠町、秋田県皆瀬村、千葉県鎌ヶ谷市
千葉県我孫子市、石川県加賀市、三重県名張市、大阪府枚方市、
鳥取県西伯町、広島県広島市、高知県檮原町
欠席モデル自治体:長野県大町市、滋賀県大津市、滋賀県愛東町、大分県姫島村

3.議事
(1)これまでの経緯、今後の作業及び意見交換の進め方
計画の策定状況は、モデル市町村ごとに若干異なるが、計画策定プロセスでいう準備段階や地域づくりの段階は終わっている。これから調査と計画化の段階に入っていく。
今後のポイントは生活課題の調査分析や集約、計画の中身づくりにも住民参加を図り、計画素案の決定の時に公私の役割分担を計画に取り込んでいくということ。このプロセスを計画書の構造として表したものが地域福祉計画書の構造と具体例の一番上の図になる。一番右側に年度別にどのようなことを地域福祉計画として行うか、ということが表示される。つまり実施計画である。地域福祉計画は住民自身が生活課題を明らかにし、公民協働で解決にあたるという計画書に仕上げていく。
先日、モデル市町村に対して取組状況の調査を行った。回答の結果はおおむね『住民課題の把握、調査、分析の終了』・『各種福祉施設や行政のみで解決する課題の把握』・『個人や地域のみで解決する課題の把握』となっており、住民と公共サービスが連携するところまで達していない。
西伯町では座談会の時に住民課題を把握するのみではなく、解決策も検討しており、また住民がやること、行政がやること等、役割分担も考えて行っている。このような部分が我々の考えに近いため、取組について説明してもらうこととした。
西伯町の提出資料によると、かなり多様な住民の生活課題に対して、解決に向けた議論がされている。これを整理してもらうため、厚生労働省から地域福祉計画内容検討資料を提案し、住民の方と議論をしていただいた。実際に取組・議論をしたことについて報告していただく。
意見交換の際には、議論が散漫にならないよう、児童・障害・老人の生活課題を中心に公民協働の取組を、どのように地域福祉計画の中に入れるか、地域福祉計画を住民参加でどのように作っていくかを議論してもらう。

(2)地域福祉計画策定取組状況報告(西伯町)
西伯町及び会見町の概要説明(資料1
西伯いきいきまちづくりの会(資料2資料3)を地域福祉計画に利用。通称100人委員会。平成10年に設立され、介護保険の事業計画に住民の要望・意見をサービスに反映させることを目的として設立された。
これまでの取組状況は資料4のようになっている。まず、100人委員会に説明を行い、地域福祉計画に協力してもらうこととした。また、合併する会見町とも同じ計画を作る必要があるため、事務局の打ち合わせを行った。町内6地区でそれぞれ3回行った座談会では、1回目に生活課題を出してもらい、2回目に課題の取組先について検討、3回目に具体的な取組策を検討した。
地域福祉計画というと少々固いイメージがあるため、「地域」を「みんな」、「福祉」を「しあわせ」、「計画」を「きずな」と訳し、計画策定委員会も「みんなでしあわせのきずな計画策定委員会」と名付けた。
厚生労働省の要請に基づく検討会では地域福祉計画内容検討資料を基に、100人委員会の協力を得て、検討を行った。別紙2には本町のある地域で実際に話し合われたことを載せてある。現在、9分野、393の生活課題があるが、実際に行動計画の段階まで検討が進んでいるものがほとんどなく、今回は2つだけを例として資料を作成した。全ての課題に対して議論し、いろいろと意見が出たが、行動計画の欄を埋めるまでにはいたらなかった。地域福祉に対しての意識を住民に十分浸透させることが出来なかったという課題が残る結果となった。
今後は大きな単位ではなく小さな単位で話し合いを行い「地域づくりはみんなが主役」という意識改革をしていくことが必要。行動計画は時期尚早という感もあるが、今後検討を重ねることにより、もっと良い行動計画が生まれると思っている。このようにして生まれた解決策は、一見困難な方法だとしても実現しやすいものであると思う。このように検討・議論を重ね、良い解決策が生まれても、いずれは計画書としてまとめなければならない。その良い方法を皆さんに伺いたい。

(3) 意見交換
西伯町の報告について
住民に参加を促す際、社会福祉協議会の協力を求めたか。
座談会に社会福祉協議会の職員も開催側のスタッフとして出席するという方法もあったが、地域福祉推進班として座談会の進行役になってもらっていた。
西伯町からは座談会を行った6地区全てから別紙1のようなものが提出されているが、最終的に到達したいのは、それぞれのセッションがどのようにして連携し、課題を解決していくかというところ。役割分担を明らかにしたうえで、それぞれの連携をも明らかにしたい。そのためには地域福祉計画の構造を分かったうえで住民の皆さんに検討してもらうというのが大変重要になってくる。そこで地域福祉計画内容検討資料を示し、このような構造でまとめてもらいたいと依頼をした。検討会で出された意見にもあるように、もしかすると住民にその意図が伝わっていなかったのではないだろうか。
我々の説明不足で、検討会の方々に趣旨をよく理解してもらえなかった部分もあるため、今後も続けて検討していこうと思っている。
生活課題の明確化、課題の中に隠れているもの、という分類がまだ甘いような気がする。住民から出てきた生活課題を分類はしているが、その背後にある社会資源の性質など、なぜそうした課題が出てきたかという分析はしていないという印象。この分析が重要ではないかと思う。分析がうまくいくと連携もスムーズに行われるのではないだろうか。
生活課題の分類方法について
生活課題を分類するというところまではどこの市町村も終わっている。この先が大切。障害、老人、子どもの問題というのは防災の問題、交通の問題、自治会の問題であったりする。今の分類は縦割りの分類でしかなく、そこに横串を刺していくという次のステップがある。地域のあらゆる社会資源がどのように連携して問題を解決していくかという姿を示せるようにしたい。
座談会、アンケート調査をあわせて「健康」「子ども、高齢者、障害者」「自治会、住民活動」「交通、防災」「環境」「その他」の6分野、1000以上の課題が挙がってきている。分野ごとに課題の解決について検討し、あわせて住民相互の連携についても検討してもらっているが、良い案が出てこない。そこで課題を所管課、関係課に割り振り、さらに個人や地域にお願いすること、所管課、関係課として取り組んでいく事項を割り振った。今後、課題に関連する関係団体との意見交換をしていき、取りまとめた結果を再度住民にぶつけ、連携をどのようにするかを考えてもらう予定である。
最初は同じような分類になった。しかし出てきた一つの課題に対し、高齢者に関する課題は児童に関する課題にもあてはまる部分がある、と違う見方をすると、最大5つの分類にまたがる課題が出てきた。そこで考え方を変え、高齢者、障害者、児童にもあてはまる課題がなぜ出てきたのか、またそうした課題が起こっている背景をキーワードに直す作業を行い、32の区分に分けた。
計画策定は皆の気づきを共有化するということでもある。共通の課題として公共交通機関の問題がたくさん挙がってきたが、これは交通の問題であり、高齢者や児童の問題でもある。これを乗り合いタクシーという形で進めようと言う話になってきており、交通に関して横串が一つ出来たと思う。現在課題を10の特性に分けているが、今後全ての特性で横串の連携について検討を進めたい。
地域の課題を、近隣レベルなのか、区レベルなのか、まちレベルなのか、また、今すぐ解決すべき課題なのか、1〜2年程度で解決すべき課題なのか、将来に向けて検討し解決するものと、地域別の3段階と時間的な3段階に分類した。その後、その課題をどのように解決するかの取組みについて議論してもらい、地域で取組むべき課題、地域と関係機関との協働で解決する課題、行政に任せなければならない課題とに分けてもらった。
試しに生活課題を「人的資源で解決するもの」「ハード整備で解決するもの」「連携・ネットワークで解決するもの」「地域住民の助け合いで解決するもの」「情報提供で解決するもの」と解決方法という切り口で分けてもらえないだろうか。もしかしたらいい結果が生まれ、連携につながるかもしれない。
住民の行政に対する要望などについて
住民自身がやれることをやろうという意識を盛り上げたかったので、行政に対しての陳情にならないように配慮して、そのようなマニュアルを作った。
市民懇談会を開催すると、どうしても行政に対しての要望が出てきてしまう。要望をすべて計画に盛り込むわけには行かないので、計画では見られないが、関係する各課に割り振って伝えた。課題によっては複数の課にわたるものが出てきてしまう。
住民から生活課題を出してもらうと何でも出てきてしまう。その中で計画として取り込めない部分については、聞きっぱなしにせず、所管課に伝えるところまでやるというのが大事だと思う。
座談会では何でもいいから言ってもらいたいと住民に伝えた。関係課が座談会の話を聞いて、いち早く予算を計上するなど、計画を策定する課程で解決してきている課題もある。計画の見直しの時点で、あれは陳情だったけどもう出来ている、また、解決していないものは改めて取り組むというふうにしたい。
地域福祉計画に盛り込む内容
地域福祉計画の中に盛り込む部分と、福祉以外の課題、同じ福祉関係であっても、既存の計画の中で対応するという問題がある。地域福祉計画のキーワードとしては、ハード部分に手を着けないで、ソフト部分、それも既存の計画に共通する部分を中心に考えていくべきではないか。また計画期間の中で出来そうなこともあるし、計画期間に含めていいのかという部分も出てくる。
計画には徹底して書くのが大事。それぞれの行政や住民の活動や行動を具体的に書いていかないと動くシステムになっていかない。社協の地域福祉活動計画との関係で言えば、行政の計画と社協の活動計画が一冊で、役割分担として行政がやる部分、社協がやる部分と、分担を書いていくという方法もある。公的な補助金による箱ものについては手を着けないのは正解だが、融通の利く、縦割りでないハードもある。また、当面解決は困難だが、解決しなくてはいけないテーマ、ということを書いていくことも大事。
これから各区の取り組みの積み上げをしていこうと思う。成功例を積み上げていって、失敗例についても失敗の理由があるはずなので見直しをしていって、事例集のようなイメージで出したい。それを検証して全市の計画に反映させたい。
地域ごとに違う問題があって地域ごとに取り組んでいる事例があるがそれを地域福祉計画に書いていくのか。
計画は事例集ではないので、それがその地域だけの特性ならそこの仕組みとして計画に書いていけばいいし、一般化した方がいいというなら一般化するための仕組みとして計画に書けばいい。


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