●企業名:HISホールディングス株式会社 ●設立年:1987年6月 ●社員数:205名(2021年11月1日現在) ●所在地:北海道札幌市 ●主なサービス:システム構築、システムコンサルティング、アウトソーシングネットワーク構築、パッケージ販売・サポート情報機器販売・サポート、IT講習、ECサイト開発
— 取組のポイント —
- 評価分類の位置づけの見直しや評価項目の集約・削除、期待値の設定といった全面的な人事評価制度の見直しを推進
- 目標管理と紐づく形での評価制度の導入
取組背景・課題
社員の半数以上がテレワークを実施する中で、テレワークを前提とした評価制度が求められてきていることも踏まえ、2020年度の冬から人事評価制度の変更を進めてきている。
変更を進めていく上で実施したアンケートやヒアリングからは、従来の人事評価制度における課題が多く上がったため、そうした課題の解決に繋がるような制度になるよう制度設計を行った。
アンケートやヒアリングでは、「評価項目が多いため、入力箇所が多すぎる」「評価基準が個人に依存する」「ランクごとの評価テーブルが細かく設定されているが、ランクアップの基準や考え方が全く展開されていない」「どのような評価をすると、どのように反映されるかがわからない」等の課題が挙げられた。
こうした課題を放置しておくと社員のエンゲージメントの低下や生産性の低下に繋がる懸念があり、さらにより長期的には離職率の上昇や業績の停滞にも繋がっていく恐れもあることから、課題の解決に資する新たな人事制度の作成が急務となった。
具体的な施策内容・ポイント
●現行の評価制度の見直し
現行の評価制度では、「共通能力」「技術能力」「管理能力」「貢献度」という4つの分類で評価が行われていたが、その中の評価項目は能力や態度等が中心となっており、特に働いている姿を直接見ることができないテレワーク下では公平な評価が難しくなっていたため、4つの分類を「能力評価のための項目」と「成果評価のための項目」として改めて位置づけを明確化し、評価タイミングも半年ごとのものと1年ごとのものに分かれていたものを、全て1年評価に統一した。
さらに、改めて各評価項目も見直したところ、4分類間で類似・重複する項目も多く、ジェネラリストが優遇されやすい項目設定となっていたため、類似・重複する項目を集約・削除して項目を絞るとともに、役職や等級に求める期待値を設定した上で、その期待値を基準にした評価ができるよう、従来の基準が曖昧な4段階評価から3を基準値とする5段階評価に見直した。
また、従来より目標管理制度を導入していたものの、目標管理制度の位置づけが明確化されておらず、評価においても参考情報とされる程度にとどまっており、活用されているとは言い切れない状態だった。
そのため、目標管理が評価にしっかりと紐づくよう、目標管理シートを基に評価を実施する方針とした。
●目標管理をベースとした評価制度導入の推進
上記の各見直しに対して、特に「全て1年評価にすること」「目標管理を評価に紐づけること」をまず優先的に進めた。
特に後者については、「①目標の設定方法」「②運用方法」の2点を中心に見直しの方向性を検討した。
①については、20の小分類からの選択式での目標設定としていたが、会社や部門の目標とは紐づかない、あくまで個人の目標となっており、どのような方向性で目標を設定すれば良いのかが不明確となっていた。
そのため、会社としての目標、それに紐づく部署・部門等の組織目標に対してどのように貢献できるかという観点で個人目標を設定することとした。
また、その達成期間も設けた上で、目標達成のために具体的に取り組むことも明確に設定する方針とした。
②については、現行では社員自身で目標を設定した上で自己評価を行うこととなっていたため、目標管理の運用意義を理解していない社員がいた場合、自身が達成しやすい安易な目標設定をしてしまう懸念があった。
そのため、各等級に求める期待値を明確にした上で、目標に対する達成基準や達成有無の測定方法について評価者と合意した上で設定する方向性で検討を進めた。
今後の取組予定・課題
策定した改善案をベースに引き続き制度の詳細について検討を進める。
目標設定をベースとした評価は次回の評価実施時期に反映していく予定である。
また、実運用の開始前に、社員に対して新制度に関する丁寧な周知・説明とフォローアップが出来るように準備を進めている。