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事例

人事評価制度の見直し

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背景・課題

人事評価制度の見直し
コロナ禍の影響を受け、テレワークでの働き方が拡大する中で、コミュニケーションが非対面となることで各社員の働きぶりが目に見えづらくなり、業務のプロセスや勤務態度を重視した評価制度では評価がしづらくなったという声が多く聞かれます。
コロナ禍による社会の変化やテレワークを含めた働き方の変化が著しい現在、各社において評価制度の見直しの必要性が高まっていると考えられます。

対応の方針・ポイント

人事評価制度は、①組織の方針に沿って策定された人材活用戦略に基づく設計となっている、②各人事制度と連動している、③公平かつ円滑に現場で運用される、という「経営」「人事」「現場」の3点から見直しを行うことが有効と考えられます。
そのため、リモートワークへの移行といった個別課題への対応のみならず、上記観点から改めて制度全体の課題を洗い出すことが、見直しを行う上では重要となります。
また、他の人事制度との連動については、人事評価制度のみの見直しではなく、関連する等級制度や報酬制度との連動等についても影響の有無を検討し、必要に応じて見直しを行う必要があります。
一方で、等級制度や報酬制度の変更は役職や給与など社員への影響が比較的大きく直接的であるため、現場の意見を取り入れながら慎重に検討を進めていくことが必要と考えられます。
人事評価制度の見直しのポイント

事例:アンドールシステムサポート株式会社

●企業名:アンドールシステムサポート株式会社 ●設立年:1969年11月20日 ●社員数:55名 (2022年3月現在) ●所在地:東京都品川区 ●主なサービス: 組み込みシステム開発・製造及び量産、計測制御システム開発製造、画像システム他電子機器開発製造、FAシステム、物流システム ソフトウェア・ハードウェア開発製造、開発支援システム、組込み応用教育など
— 取組のポイント —
  • 多様な働き方を前提とした人事評価ができるよう、評価軸・評価スケール・評価項目・運用方法の4観点で既存の人事評価制度を見直し
  • 部門毎の特性の違いや現場の声等も反映した制度にできるよう、事業部長に対してヒアリングを実施した上で制度を設計
  • 社内フィードバックの結果も踏まえ、最終化した新評価制度を全社に発信
取組背景・課題
コロナ禍におけるテレワークの拡大を受けて、評価すべき観点が変化してきたことを実感し、勤務時間や場所に縛られない多様な働き方を前提とした人事評価制度の検討を進める必要性が高まってきた。
現行の人事評価制度の課題を、「経営方針との整合」「他の人事制度との連動」「現場での運用」の観点で洗い出したところ、①長年見直しがされず会社の方針や求める人材要件と整合していないこと、②評価が給与・昇進等と連動しておらず納得感が得られづらいこと、③評価方法が統一されておらず評価者によって評価が異なる場合があることの3点が大きく課題となっており、より納得感を持って運用できる制度を目指す方針となった。
具体的な施策内容・ポイント
●多様な視点での評価制度見直し
前述の方針に従い評価の目的や基準をより明確にし、現場での公平かつ円滑な運用を実現するために、評価軸・評価スケール・評価項目・運用方法の4観点で既存の評価制度の改善方針を検討した。
  • 評価軸の再定義:「能力」「経験」「スキル」「職務行動」等、求める人材像に沿った評価軸を設定
  • 評価項目の再整理:評価軸に対して一般職、管理職の役割期待に応じて評価項目を設定
  • 評価スケールの再設定:評価の納得感を高めるため、各評価項目における評価点の基準を設定
  • 運用方法の見直し:評価結果を社員の成長に繋げられるように、自己評価と上長評価を擦り合わせる等、運用を変更
●部門ごとの特性の違いなど現場の声を反映した制度設計
新たな人事評価制度の検討にあたって、机上の空論ではなくしっかりと現場目線での意見も踏まえた制度を構築できるよう、部門毎の業務特性の違いや現場の課題・制度変更の懸念等について事業部長にヒアリングを実施した。
ヒアリングでは、「明確な判断基準の目安が欲しい」「評価制度が社員のモチベーションの源泉になるように分かりやすい評価制度が望ましい」といった意見が挙げられたため、評価者・被評価者の分かりやすさやモチベーションへの影響等まで深掘った議論を行った。
●人事制度全体の見直しを視野に入れた実現のプロセス
段階的に取り組むことで、社員への影響や現場の運用の負担を最小限に抑えつつ、人事制度を着実に改善することを可能とした。
将来的には評価結果を等級や報酬に連動させることで更に納得感の高い人事制度への移行を目指しているが、等級・報酬制度との連動は役職や給与など社員への影響が大きいため、まずは影響の小さい評価制度から見直しに着手し、現場の課題や意見を取り入れながら継続的に改善を行い、新制度が定着した後、取り組んでいく予定である。
今後の取組予定・課題
社内フィードバックを受けて最終化した新評価制度は、更なる検討が必要な部分については検討しつつ、2022年度内に導入できる部分は少しずつ導入を進めていく予定としている。
実運用を始めながら、今後は現場の声を取り入れながら修正を重ねて改善しながら進めていこうとしている。
長期的には、人事評価制度が報酬制度・等級制度と連動するような仕組みづくりを行っていく予定である。

事例:HISホールディングス株式会社

●企業名:HISホールディングス株式会社 ●設立年:1987年6月 ●社員数:205名(2021年11月1日現在) ●所在地:北海道札幌市 ●主なサービス:システム構築、システムコンサルティング、アウトソーシングネットワーク構築、パッケージ販売・サポート情報機器販売・サポート、IT講習、ECサイト開発
— 取組のポイント —
  • 評価分類の位置づけの見直しや評価項目の集約・削除、期待値の設定といった全面的な人事評価制度の見直しを推進
  • 目標管理と紐づく形での評価制度の導入
取組背景・課題
社員の半数以上がテレワークを実施する中で、テレワークを前提とした評価制度が求められてきていることも踏まえ、2020年度の冬から人事評価制度の変更を進めてきている。
変更を進めていく上で実施したアンケートやヒアリングからは、従来の人事評価制度における課題が多く上がったため、そうした課題の解決に繋がるような制度になるよう制度設計を行った。
アンケートやヒアリングでは、「評価項目が多いため、入力箇所が多すぎる」「評価基準が個人に依存する」「ランクごとの評価テーブルが細かく設定されているが、ランクアップの基準や考え方が全く展開されていない」「どのような評価をすると、どのように反映されるかがわからない」等の課題が挙げられた。
こうした課題を放置しておくと社員のエンゲージメントの低下や生産性の低下に繋がる懸念があり、さらにより長期的には離職率の上昇や業績の停滞にも繋がっていく恐れもあることから、課題の解決に資する新たな人事制度の作成が急務となった。
具体的な施策内容・ポイント
●現行の評価制度の見直し
現行の評価制度では、「共通能力」「技術能力」「管理能力」「貢献度」という4つの分類で評価が行われていたが、その中の評価項目は能力や態度等が中心となっており、特に働いている姿を直接見ることができないテレワーク下では公平な評価が難しくなっていたため、4つの分類を「能力評価のための項目」と「成果評価のための項目」として改めて位置づけを明確化し、評価タイミングも半年ごとのものと1年ごとのものに分かれていたものを、全て1年評価に統一した。
さらに、改めて各評価項目も見直したところ、4分類間で類似・重複する項目も多く、ジェネラリストが優遇されやすい項目設定となっていたため、類似・重複する項目を集約・削除して項目を絞るとともに、役職や等級に求める期待値を設定した上で、その期待値を基準にした評価ができるよう、従来の基準が曖昧な4段階評価から3を基準値とする5段階評価に見直した。
また、従来より目標管理制度を導入していたものの、目標管理制度の位置づけが明確化されておらず、評価においても参考情報とされる程度にとどまっており、活用されているとは言い切れない状態だった。
そのため、目標管理が評価にしっかりと紐づくよう、目標管理シートを基に評価を実施する方針とした。
●目標管理をベースとした評価制度導入の推進
上記の各見直しに対して、特に「全て1年評価にすること」「目標管理を評価に紐づけること」をまず優先的に進めた。
特に後者については、「①目標の設定方法」「②運用方法」の2点を中心に見直しの方向性を検討した。
①については、20の小分類からの選択式での目標設定としていたが、会社や部門の目標とは紐づかない、あくまで個人の目標となっており、どのような方向性で目標を設定すれば良いのかが不明確となっていた。
そのため、会社としての目標、それに紐づく部署・部門等の組織目標に対してどのように貢献できるかという観点で個人目標を設定することとした。
また、その達成期間も設けた上で、目標達成のために具体的に取り組むことも明確に設定する方針とした。
②については、現行では社員自身で目標を設定した上で自己評価を行うこととなっていたため、目標管理の運用意義を理解していない社員がいた場合、自身が達成しやすい安易な目標設定をしてしまう懸念があった。
そのため、各等級に求める期待値を明確にした上で、目標に対する達成基準や達成有無の測定方法について評価者と合意した上で設定する方向性で検討を進めた。
今後の取組予定・課題
策定した改善案をベースに引き続き制度の詳細について検討を進める。
目標設定をベースとした評価は次回の評価実施時期に反映していく予定である。
また、実運用の開始前に、社員に対して新制度に関する丁寧な周知・説明とフォローアップが出来るように準備を進めている。
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