労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成30年(不再)第39号・第40号
大久保自動車教習所不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  株式会社Y(会社)(第39号)、X労働組合(組合)(第40号) 
再審査被申立人  X労働組合(組合)(第39号)、株式会社Y(会社)(第40号) 
命令年月日  令和2年9月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①大久保分会に所属する組合員に対して平成28年冬季賞与を支払わなかったことが、労働組合法(労組法)第7条第1号の不当労働行為に当たるとして、②平成28年冬季賞与についての団体交渉において、会社が不適切な言動を行ったことや交渉を一方的に打ち切ったことなどが、同条第2号の不当労働行為にあたるとして、組合が、平成29年4月3日に京都府労委に救済申立てを行った事件である。
2 初審京都府労委は、①については労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するとして、会社に対し、基準内賃金の0.3か月分に相当する額等の金員の支払を命じ、②については棄却した。これに対し、組合・会社の双方が再審査を申し立てた。
3 再審中労委は、本件各申立てをいずれも棄却した。 
命令主文  本件各再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  (1) 本件賞与不支給は、労組法第7条第1号の不利益取扱いに該当するか
ア 会社は、フリー社員(分会員とは異なる就業規則が適用される従業員)に対しては平成28年冬季賞与を支給したが、分会員には支給しなかった。会社において、分会員以外の従業員は、役員報酬を受け取っている者を除き、全てフリー社員である。そのため、会社が、非組合員であるフリー社員に賞与を支払い、労働組合の組合員である分会員に賞与を支払わないことは、当該不支給が組合員であることを理由として行われたのであれば、労組法第7条第1号に該当しうる。
イ 会社は、平成6年以降、分会員の労働条件を引き下げたいと考えていたものの、組合との間で妥結に至らなかった。また、度々労働争議が起きる等、労使の対立が長期間継続していた。このような労使関係の中で、会社は、組合からの平成28年冬季賞与要求については拒否する一方、フリー社員にはこれを支払った。また、このフリー社員への賞与支払いは、組合に事前に告げることなく、分会員全員が冬季休暇で不在のときになされた。
ウ 会社の規程上、分会員とフリー社員とで賞与の支給要件に実質的な違いが無いにもかかわらず、会社は、組合からの賞与の要求に対しては、会社の累積赤字等を理由に賞与を支給できない旨を説明する一方、フリー社員には平成28年冬季賞与を支給した。
 また、会社は、夜間・土日祝日の教習等を担っているフリー指導員(フリー社員のうち、分会員と同じく指導員としての業務に従事する者)のみならず、それ以外のフリー社員にも平成28年冬季賞与を支給している。そのため、賞与支給はフリー指導員の高い貢献度に報いるためであったとの会社の主張は採用し難い。
エ これらの事情を踏まえると、会社は、分会員が組合員であることを理由として、平成28年冬季賞与を支払わなかったものと認められる。
 したがって、本件賞与不支給は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当する。
(2) 平成28年冬季賞与についての団体交渉に係る会社の対応は、労組法第7条第2号の団体交渉拒否に該当するか
ア B会長は、本件団交において、組合員らに対し、「おまえら」「あほか」「ちょろまかした」「ドロボウと一緒」「レベルが低すぎる」などと言ったほか、発言中に机を叩いたことが認められる。このようなB会長の言動は、団体交渉の出席者として不穏当であり、適切なものであるとはいい難い。
 しかし、組合は、議題や交渉事項を事前に示さず、本件団交の冒頭においても、組合からは交渉事項を示さず団体交渉を開始するという挑発的な態度を取っていた。さらに、A委員長が発した言葉の解釈の違いにより、労使双方が大声を上げる等の冷静さに欠ける言動を取ったものと認められる。
 したがって、本件団交におけるB会長の言動は適切なものとはいい難いが、組合の挑発的な言動に触発され、また、言葉の解釈の行き違いによって労使双方が冷静さを欠いた中でなされたものであるから、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するとまではいえない。
イ 本件団交において、B会長は、A委員長が平成28年冬季賞与について再度説明を求めたにもかかわらず、要求の趣旨を文書で提出するよう組合側に求めて退出した。
 しかし、本件団交において労使双方が大声を出すなど騒然となっていたことからすれば、B会長が騒然としていた団体交渉を正常化させるために書面の提出を求めて本件団交を打ち切ったことは、不誠実とはいえない。
ウ また、組合は、会社からの求めに応じて書面を提出したにもかかわらず、これに対する会社の回答書は、質問事項にほとんど回答しておらず、会社は誠実な団体交渉を行う意思を欠いている旨主張する。
 しかし、本件団交の議題は平成28年冬季賞与であるところ、これに先立つ団体交渉において、会社は、組合の賞与要求に対し、累積赤字が大きいため労働条件等の引下げをお願いしたい旨を述べていたことから、会社の回答書の記載内容は、会社の主張を踏まえた一時的な回答としては当該議題に沿ったものといえる。また、組合は、この回答書に対し、団体交渉を申し入れる又は更なる回答を要求する等、その趣旨を追及した事実等もない。
 したがって、会社の回答書をもって、直ちに会社の対応が不誠実であったとはいえない。
エ 以上のことから、平成28年冬季賞与についての団体交渉に係る会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当しない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成29年(不)第1号 一部救済 平成30年7月26日
 
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