労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第65号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第65号 
申立人  Y市水道労働組合 
被申立人  Y市 
命令年月日  平成26年2月20日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人市が、申立人組合と締結していた協定書に基づき、長期間にわたり組合のチェック・オフを実施してきたところ、平成24年2月、25年4月1日以降のチェック・オフを廃止する旨通告したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は市に対し、1 組合に対して行ったチェック・オフの廃止に関する申入れがなかったものとして取り扱うこと、2 文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、平成24年2月29日に申立人に対して行った、昭和40年7月31日付け「賃金の一部控除に関する協定」のうち組合費の控除に関する文言を削除する旨、組合費の控除については有効期限を平成25年3月31日までとする覚書を別途締結する旨の申入れがなかったものとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記(省略) 
判断の要旨   認定した事実によれば、申立人組合の組合員に係るチェック・オフは昭和40年以降、適法に継続して実施されてきたのであり、チェック・オフが公民を問わず、広く一般に行われている便宜供与であることを考え併せると、当該チェック・オフを廃止するには合理的な理由とともに、その廃止に当たって労使間で十分に協議し、合意形成を行うための適正な事前手続をとることが必要不可欠であって、当該チェック・オフの根拠となる労働協約の廃止の理由や改定手続等の如何によっては不当労働行為となり得ると解すべきである。
 組合とのチェック・オフの根拠となる労働協約の改定理由についてみると、市水道局は団交においてチェック・オフ廃止の理由として、職員厚遇問題等を契機とした便宜供与の見直しである旨述べていることが認められる。しかし、組合らとの関係においてチェック・オフのどの点が不適切なのかについて具体的な説明がなされていない。市水道局は便宜供与全般を一般的、抽象的に不適正な労使関係を生み出した要因の1つである旨主張するにとどまり、長年にわたり労使合意の下に継続され、廃止によって少なからぬ影響が生じる本件のチェック・オフを廃止する理由としては具体性を欠いており、一方的であるといわざるを得ない。
 また、市は、既にチェック・オフが廃止されている職員団体と同様の取扱いをしたい旨主張するが、条例に基づいてチェック・オフが認められていた職員団体と労働協約による労使合意の取決めを根拠とする組合とでは、そもそも前提条件が異なるのであり、市の主張は本件申入れを正当化する理由とはならない。
 次に、事前手続についてみると、①平成20年4月1日、チェック・オフ廃止条例が公布され、職員団体については21年3月末をもってチェック・オフが廃止されたこと、②23年8月、チェック・オフ訴訟第一審判決が出され、同条例の無効確認を求める訴え等が却下されたこと、③同年12月、新しい市長が就任したこと、④24年2月、市水道局が組合に対し、本件申入れ(25年3月末をもってチェック・オフを廃止することを内容とするもの)を行ったことなどが認められる。
 これらのことからすれば、市は新市長就任の数年前から職員団体に対してはチェック・オフを廃止しており、チェック・オフ廃止は従前からの方針であった旨の主張は一見不自然ではない。しかし、一方で、本件申入れはチェック・オフ訴訟第一審判決後、チェック・オフ廃止について具体的な申入れのないまま、半年余り経過した後に行われたものであり、なぜこの時期になって申入れがなされたか判然とせず、本件申入れが市の主張どおり従前からの市の方針に沿ったにすぎないものとまでみることはできない。
 また、市は協定期間満了の約5か月前に本件申入れを行った上で、約8か月間の準備期間を置く対応を取った旨主張する。しかし、準備期間を取った対応については一定の評価はできるものの、これはあくまでもチェック・オフ廃止を前提とした準備期間であり、また、組合としては市から提示された協定書改定案等を受け入れずに無協約状態となれば、組合費以外の控除も全て廃止され、組合員に多大な影響を与えることから、協約改定に応じざるを得ない立場に置かれていたとみるべきであって、市はこのような状況を踏まえ、組合との協議を十分に行わないまま労働協約の改定を迫ったものであり、相応の配慮をしたものとはいい難い。
 以上のとおりであるから、本件申入れは、長期にわたって労使合意の下に実施されてきたチェック・オフの根拠となる労働協約を改定するほどの合理的な理由がないまま一方的に改定を通告したものであり、その後も改定が必要なほどの合理的な理由が十分説明されることなく、組合の同意を得る努力が尽くされないまま改定されたのであって、かかる申入れは組合に対する支配介入に当たり、労組法7条3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第15号・16号 一部変更 平成27年11月18日
東京地裁平成28年(行ウ)第6号 棄却 平成30年2月21日
東京高裁平成30年(行コ)第111号 棄却 平成30年8月30日
 
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