労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ひまわりの会 
事件番号  中労委平成25年(不再)第17号 
再審査申立人  社会福祉法人ひまわりの会(以下「法人」) 
再審査被申立人  全国福祉保育労働組合神奈川県本部(以下「県本部」) 
再審査被申立人  同 緑陽苑分会(以下「分会」、県本部と併せて「組合ら」) 
命令年月日  平成26年3月12日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、組合が、法人の後記(1)から(4)までの各行為が、労組法第7条各号の不当労働行為に当たると主張して、神奈川県労委に救済を申し立てた事件である。
(1) 法人が、生活相談員の責任者であった県本部執行委員長を、職務手当が支給される責任者から解任(以下「本件解任」)したこと(労組法第7条第1号)。
(2) 法人が、執行委員長を、業務手当が支給される生活相談員から、同手当が支給されない運転手へ配置転換(以下「本件配置転換」といい、本件解任と併せて「本件各処分」。)したこと(労組法第7条第1号)。
(3) 法人が、執行委員長に対し本件各処分を行ったこと、及び、職員や分会に対し職員の処分問題に関する組合らの組合活動を非難等する文書を送付等したこと(労組法第7条第3号)。
(4) 法人が、分会のした本件各処分及び職員の人事問題等を交渉事項とする団交申入れに関して、誠実に対応しなかったこと(労組法第7条第2号)。
2 初審神奈川県労委は、上記1の各行為がいずれも労組法第7条各号の不当労働行為に当たる旨判断し、法人に対し、① 本件解任をなかったものとして取り扱い、執行委員長を責任者に復帰させるとともに、同人に対し職務手当相当額(年5分加算)を支払うこと(主文第1項)、② 本件配置転換をなかったものとして取り扱い、執行委員長を生活相談員に復帰させること(同第2項)、③ 上記1(1)ないし(4)に係る文書手交及び掲示(同第3項)を命じたところ、法人は、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件各再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 本件各処分を行ったことは、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たるか。
(1) 法人において、生活相談員の責任者は、一般の生活相談員とは異なる地位や責任等を伴うものとして位置付けられていたものと解されるから、そのような位置付けにある責任者の地位を解任する旨の本件解任は、職務手当の不支給も伴い、不利益な取扱いに当たる。また、本件配置転換は、特殊業務手当の不支給を伴うだけでなく、執行委員長に対し、それまで経験したことがなく、生活相談員としての経験・技能を活かすことができず、他の従業員の一般的な認識に照らして左遷と受け取られ得る業務を担当させるものであるということができるから、不利益な取扱いに当たる。
(2) 本件各処分はいずれも相当な理由に基づいて行われたものと認めることはできず、本件各処分に至る経緯に照らせば、法人は、職員の処分問題をめぐって組合らとの対立が激化する中で、執行委員長の正当な組合活動を嫌悪し、分会と委員長との分断を意図したものの、これが奏功しなかったことから、執行委員長に対し本件各処分を行い、組合活動からの排除を狙ったものと推認するのが相当である。
(3) 以上によれば、本件各処分は、執行委員長の正当な組合活動を理由として行われた労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
2 本件各処分を行ったこと及び職員や分会に対し職員の処分問題に関する組合らの組合活動を非難等する文書を送付等したことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。
(1) 上記1(2)のとおり、本件各処分は、執行委員長を組合活動から排除し、もって組合らの組合活動を妨害・萎縮する意図をもって行われたものと推認するのが相当である。
(2) 法人が文書を送付等した経緯や組合らの組合活動を非難等する記載内容に照らせば、法人が職員や分会に対し、かかる文書を送付等したことは、執行委員長の正当な組合活動を嫌悪して、組合らと執行委員長とを分断し、執行委員長及び組合らの組合活動を妨害・萎縮させるために行われたもの、あるいは、上記分断が奏功しなかったことから、組合らの求心力を失わせ、組合らの組織・運営を妨害・弱体化させるために行われたものと推認するのが相当である。
(3) したがって、法人の上記各行為は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
3 分会がした団交申入れに関する法人の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。
 法人が、分会からの団交申入れに対し、様々な質問を繰り返すなどし、本件救済申立てまでの間、これに応じなかったことは、団交を円滑かつ適切に行うために必要な事項を質問し、その回答を求めていたとはいえず、むしろ、当初から団交に応じる気がなく、質問に対する回答に固執することによって団交の開催を引き延ばそうとしたものといわざるを得ないから、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
4 結論
 以上のとおり、初審命令は相当であり、法人の本件各再審査申立てはいずれも理由がない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神労委平成23年(不)第18号 全部救済 平成25年3月12日
東京地裁平成26年(行ク)第383号 緊急申立ての一部認容 平成27年3月25日
東京地裁平成26年(行ウ)第189号 棄却 平成27年11月27日
東京高裁平成28年(行コ)第3号 棄却 平成28年4月21日
最高裁平成28年(行ツ)第255号、平成28年(行ヒ)第295号 上告棄却・上告不受理 平成28年9月29日
 
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