概要情報
事件名 |
東急バス |
事件番号 |
中労委平成20年(不再)第38号 |
再審査申立人 |
東急バス株式会社 |
再審査被申立人 |
全労協全国一般東京労働組合、個人13人 |
命令年月日 |
平成21年12月2日 |
命令区分 |
一部変更 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①組合員13名に対して、残業扱いとなる乗務(以下「増務」)の割当てに当たって、他の乗務員と比して差別的な取扱いを行ったこと、②平成17年度に組合員2名を15年無事故表彰から外したことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
初審東京都労委は、増務の割当てに当たって、会社が組合員13名のうち12名に対して行った行為は不当労働行為に当たると認定し、会社に対して、①増務の割当てに関する差別の禁止、②組合員9名に対するバックペイ、③文書の交付・掲示を命じ、組合員2名について1年を経過した事実にかかる申立てを却下し、その余の申立てを棄却したところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てたところ、初審命令主文のうち、組合員3名にかかる救済申立てを認容した部分を取消す等の変更を行い、その余の申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 初審命令主文のうち、組合員3名にかかる救済申立てを認容した部分を取消し、同人らの救済申立てを棄却する。
2 主文第2項を変更する(バックペイの対象者から、上記(1)で救済申立てを棄却した組合員1名を除く内容に変更)。
3 主文第3項を変更する(交付・掲示する文書から、上記(1)で救済申立てを棄却した組合員3名を除く内容に変更)。
4 本件再審査申立てのうち、組合員1名にかかる再審査申立てを却下する。
5 その余の本件再審査申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 組合員のうち9名については、差別の開始を主張する前と後で増務が減少したり、本件審査対象期間において、増務を希望しているにもかかわらず増務が相当程度低い水準にとどまり、乗務員全体の平均と有意な格差が存在する。また、同9名に対する会社の対応をみると、営業所長らの同人らに対する言動は、本社からの指示で増務はさせられない旨、またバス労組でないから外した旨述べるものであったりするなど、いずれも会社の差別的意図の存在を窺わせるものであるところ、会社は、これに対する合理的な説明を行っているとはいえない。
加えて、本件審査対象期間において、組合員が在籍していない営業所においては、5割程度の乗務員が月30時間以上の増務を行い、7割を超える乗務員が月20時間以上の増務を行っているのに対して、組合員については、30時間以上はもとより、20時間以上を超えて増務を行った者は一人も存在せず、組合員の月平均増務時間は10時間にも満たず、組合員と全体の乗務員の間には不自然な格差が認められること、さらに会社と組合の間には厳しい労使対立が存在すること、会社の組合員に対する差別的意図の存在が窺われることを併せ考えると、組合員9名に対して他の乗務員と差別して増務を割り当てなかった会社の行為は、不当労働行為に該当し、これによって組合の弱体化を企図したものである。
2 上記(1)の組合員9名について、増務割当てにかかる差別の禁止を命じることとし、同9名のうち、差別の開始を主張する時点前後で増務時間が減少したことの立証がない1名を除く8名については、増務差別によって被った不利益を是正するため、バックペイを命じるものとする。
3 再審査被申立人である組合員13名のうち、初審において救済申立てが棄却されている1名については、再審査において判断するには及ばないことから、同人にかかる再審査申立てを却下する。
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掲載文献 |
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