労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 白百合会
事件番号 長野県労委平成19年(不)第1号
申立人 穂高白百合荘労働組合、長野県医療労働組合連合会
被申立人 社会福祉法人白百合会
命令年月日 平成21年1月28日
命令区分 一部救済
重要度  
事件概要  法人が、①団体交渉において、組合との合意事項に関する協定書の締結を拒否するなど不誠実な対応をしたこと、②団体交渉の開催条件を一方的に制限して団体交渉を拒否したこと、③組合に対する誹謗中傷などを行ったこと、④組合執行委員長を利用者のいない施設に配転したこと、⑤職員に対し、休憩場所を限定した上、待機を命じたこと、⑥就業規則等の各種規程を開示しなかったこと等が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 長野県労委は、1 団体交渉における不誠実な対応の禁止及び組合との合意事項に関する協定書の締結、2 開催条件の一方的制限による団体交渉拒否の禁止及び交渉ルールの制定、3 団体交渉事項に関する組合員との個別協議の禁止、4 組合に対する誹謗中傷や組合員氏名の開示要求等の禁止、5 組合執行委員長の配転がなかったものとしての取扱い及び現職復帰、6 職員の休憩場所を限定すること等の禁止、7 文書掲示及び手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文 1 被申立人は、平成19年5月24日に開催された団体交渉において穂高白百合荘労働組合と合意した事項に関して協定書を締結しなければならない。
2 被申立人は、団体交渉を、長野市で若しくは土曜日、日曜日又は国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日に松本市で行うというように、その開催条件を一方的に制限して団体交渉を拒否してはならない。
 被申立人は、団体交渉の開催日時及び場所に関する交渉ルールについて速やかに申立人と協議を行い、これを制定しなければならない。
3 被申立人は、その主張の論拠となる具体的な資料を提示しないで、不誠実な回答を繰り返すだけの団体交渉を行ってはならない。
4 被申立人は、申立人との間で現に協議を行っている団体交渉事項に関して、団体交渉以外の場で、穂高白百合荘労働組合員と個別に話し合ってはならない。
5 被申立人は、次の行為により穂高白百合荘労働組合の運営に支配介入してはならない。
(1)申立人に対し、これを懐柔し又は誹誘中傷するような発言をすること。
(2)被申立人が設置運営する穂高白百合荘の介護職員に対し、穂高白百合荘労働組合に対する被申立人の要求を記載した文書を交付すること。
(3)穂高白百合荘労働組合に対し、これに加入する組合員の氏名を合理的な理由もなく開示するよう求めること。
(4)就業規則及び付属規程並びにその付属諸表の開示を拒否すること。
(5)就業規則の変更届出等に関する労働者の過半数代表者の選出に当たり、穂高白百合荘労働組合を無視すること及び投票者の投票に影響を与えるような投票方法を用いろこと。
6 被申立人は、穂高白百合荘労働組合執行委員長の穂高デイサービスセンターしらゆりへの異動命令を撤回しなければならない。また、平成20年3月31日付けで締結した同委員長の労働契約中、労働時間及び月当たりの勤務日数について、同日以前の条件と同一になるようこれを改めなければならない。
7 被申立人は、穂高白百合荘の介護職員の休憩場所を寮毎室に限定してはならない。また、これを休憩時間中同所において待機させてはならない。
8 被申立人は、本命令書写しの交付の日から1週間以内に、下記の文書(大きさはA4版とすること)を申立人に手交するとともに、これと同一の内容を縦55センチメートル、横40センチメートル(新聞紙1頁大)の白紙に楷書で明瞭に記載して、穂高白百合荘において職員の見やすい場所に、き損することなく1週間掲示しなければならない。(文書の年月日は手交又は掲示する日を記載すること。)

平成 年 月 日
穂高白百合荘労働組合
執行委員長 X1 様
長野県医療労働組合連合会
執行委員長 Z1 様
社会福祉法人白百合会
理事長 Y1
当法人が行った下記の行為は、この度、長野県労働委員会により不当労働行為と認定されました。今後、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。

 1 平成19年5月24日に開催された団体交渉での合意に反し、協定書の締結を拒否したこと。
 2 団体交渉の開催条件を一方的に制限し、団体交渉を拒否したこと。
 3 貴穂高白百合荘労働組合員の平成19年5月の勤務日数削減問題について、平成19年4月25日、同月26日及び同年5月9日に貴組合から申入れのあった団体交渉を正当な理由なく拒否したこと。
 4 平成19年6月5日に開催された団体交渉において合理性のない回答を繰り返したこと。
 5 貴穂高白百合荘労働組合員に対し、直接、貴組合と協議が継続していた労働条件についての変更に係る申込みを行ったこと。
 6 貴組合を誹譲中傷したこと。
 7 貴穂高白百合荘労働組合執行委員長に対し穂高デイサービスセンターしらゆりへの異動を命じ、これを撤回しなかったこと。
 8 穂高白百合荘介護職員に対し、貴穂高白百合荘労働組合の活動に支配介入する内容の要求書を交付したこと。
 9 貴穂高白百合荘労働組合の組合員氏名の開示を求めたこと。
 10 就業規則(平成18年12月1日付け改定)付属の給与規程に基づく給料表及び経験年数換算表を貴組合に提示しなかったこと。
 11 平成20年3月、就業規則変更届出に当たり、労働者の過半数を代表する者の選出を、貴穂高白百合荘労働組合を無視するような方法で行ったこと。
 12 貴穂高白百合荘労働組合員である臨時職員の契約更新に当たり、労働時間帯を変更し、勤務日数及び労働時間を削減し並びに更新回数を制限したこと。また、貴穂高白百合荘労働組合員である再雇用職員の契約更新に当たり、勤務日数及び労働時間を削減したこと。
 13 穂高白百合荘介護職員の休憩場所を寮母室に限定し、休憩時間中は待機である旨の発言を行ったこと。
9 申立人のその余の申立ては、これを棄却する
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成21年(不再)第8号 一部変更 平成22年3月3日
東京地裁平成22年(行ウ)第221号 棄却(主位的請求)・却下(予備的請求) 平成24年1月19日
東京地裁平成22年(行ク)第224号 緊急命令申立ての認容 平成24年1月19日
東京高裁平成24年(行コ)第51号 一部変更(却下・棄却) 平成24年6月26日
東京高裁平成24年(行タ)第24号 緊急命令の一部取消・却下 平成24年6月26日
東京高裁平成24年(行タ)第119号 却下 平成24年7月20日
最高裁平成24年(行ヒ)第391号 上告不受理 平成24年11月27日
 
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