労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  白百合会(緊急命令取消申立て) 
事件番号  東京高裁平成24年(行タ)第119号 
申立人  社会福祉法人白百合会  
相手方  中央労働委員会  
決定年月日  平成24年7月20日 
決定区分  却下 
重要度  重要命令に係る決定 
事件概要  1 法人が、①団体交渉の実施日時又は場所を一方的に制限して団体交渉を拒否したこと、②組合らとの合意事項に係る労使協定書を取り交わすことを拒否したこと、③団体交渉において不誠実な対応をしたこと、④組合委員長に対し、デイサービスセンター(以下「デイセンター」という。)の介護職員との兼務を命じたこと、⑤同委員長をデイセンター専従介護職員に配置転換したこと、⑥介護職員に対し、寮母室で休憩するよう命じたこと、⑦組合員の契約更新に当たり実労働時間数を削減する等したこと、⑧長野県医療労働組合連合会を誹謗中傷する発言を行ったこと、⑨組合員全員の氏名の開示を求めたこと、⑩組合員と個別交渉を行ったこと、⑪就業規則の変更手続における労働者代表の選出投票を不公正な方法で行ったこと等が、不当労働行為に当たるとして、長野県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審長野県労委は、法人に対し、①組合らとの合意事項に関する労使協定の締結、②団体交渉の開催条件を一方的に制限して応諾を拒否することの禁止及び交渉ルールの制定、③団体交渉において主張の根拠となる資料を提示しない不誠実な対応の禁止、④組合らとの交渉事項に関する個別交渉の禁止、⑤組合らに対する誹謗中傷発言や組合員氏名の開示要求等の禁止、⑥組合委員長に対する異動命令の撤回及び原職復帰後における異動前の実労働時間の適用、⑦職員の休憩場所を寮母室に限定し、待機させることの禁止、⑧文書手交及び掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 法人は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、上記1④⑥⑦は不当労働行為に当たらないと判断し、初審命令を一部変更して、①日時又は場所を制限して団体交渉を拒否することの禁止、②団体交渉で確認された事項の書面化、③組合委員長の異動命令がなかったものとしての取扱い、④文書手交及び掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 これに対し、法人はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したため、中労委は緊急命令の申立てを行ったところ、同地裁は申立てを認容した。
 法人は、同地裁決定を不服として、東京高裁に緊急命令取消申立てを行ったところ、同高裁は、緊急命令の一部を取り消した。
 本件は、法人が、同高裁決定により一部取り消された部分を除くその余の緊急命令の取消しを求めて、東京高裁に緊急命令取消申立てを行った事件であるが、同高裁は、申立てを却下した。
決定主文  1 本件申立てを却下する。
2 申立費用は申立人の負担とする。  
決定の要旨  1 本件命令主文第2項は、臨時職員である組合員ら4名の労働条件に係る法人と組合との間の合意事項について書面を作成すべきことを命じたものであり、仮に合意の対象となった者の全員が退職したとしても、また、割増給与の請求をしていないとしても、あるいは新たな就業規則において臨時職員の労働条件が定められたとしても、そのことによって、法人と組合との間の合意事項について書面を作成することが無意味になるものではないから、本件命令主文第2項について救済の利益が失われたということはできず、また、上記の事情により、緊急命令発令の必要性がなくなったということもできない。
 そして、本件緊急命令中、法人が取消しを求める部分について、取り消すべき事由が生じていると認めることはできない。
2 よって、本件申立ては理由がないから却下する。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
長野県労委平成19年(不)第1号 一部救済 平成21年1月28日
中労委平成21年(不再)第8号 一部変更 平成22年3月3日
東京地裁平成22年(行ウ)第221号 棄却(主位的請求)・却下(予備的請求) 平成24年1月19日
東京地裁平成22年(行ク)第224号 緊急命令申立ての認容 平成24年1月19日
東京高裁平成24年(行コ)第51号 一部変更(却下・棄却) 平成24年6月26日
東京高裁平成24年(行タ)第24号 緊急命令の一部取消・却下 平成24年6月26日
最高裁平成24年(行ヒ)第391号 上告不受理 平成24年11月27日
 
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