概要情報
事件名 |
オサメ工業 |
事件番号 |
中労委平成17年(不再)第18号
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再審査申立人 |
オサメ工業株式会社 |
再審査被申立人 |
全日本金属情報機器労働組合大阪地方本部 |
再審査被申立人 |
全日本金属情報機器労働組合オサメ工業支部 |
命令年月日 |
平成18年 4月 5日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、(1)結成間もない組合からの団交申入れ直後から、組合支部執行委員長に対する解雇通告、組合支部役員に対する辞表提出要求を行ったこと、(2)従業員に対する組合加入妨害を行ったこと、(3)その後の団体交渉に誠実に対応しなかったこと、(4)組合活動のための会社施設等の使用・貸与を拒否したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、大阪府労委は、会社に対し、(1)会社 要求の交渉条件に固執することなく誠実に団体交渉に応じること、(2)文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。 会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2625 非組合員化の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
社長の組合支部三役に対する発言について、社長の発言が、これを聞いた組合員や会社従業員は、組合の結成や組合活動はいずれも会社の意向に背く行動であり、社長の怒りを買うものであること、組合員としての活動を続けていれば、会社内における将来、すなわち就業の継続や昇格昇給等が期待できないという認識を持たせ、支配介入の効果を有する言動であり、組合の結成ないしその活動を萎縮させ、組織の弱体化をもたらすと言えるから、支配介入に該当するとした初審判断は相当であるとされた例。
1107 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1に対する解雇通告について、口頭による解雇通告当時、他に解雇事由が存在したとは認められず、この点会社も、口頭による解雇通告に関しては、組合結成以外に当該解雇を正当化するに足る何らかの事情があった旨主張するところではないから、口頭による解雇通告については、組合結成ないし組合結成通知自体が理由であったものと認めるのが相当であり、書面掲示による解雇通告については、少なくともX1が現認していること、また作業開始時刻前後に掲示されており、出勤してきた従業員らの相当数が同通告書を現認したものと合理的に推認でき、会社がかかる状況を認識しつつ掲示行為に及んだことも推定できることから、口頭による解雇通告及び書面掲示による解雇通告を含めた一連の会社による解雇通告が、不利益取扱い及び支配介入の不当労働行為に該当するとした初審判断は相当であるとされた例。
5121 挙証・採証
会社の主張とX2の陳述が矛盾することから、会社が作成した補充申立書のX2の陳述部分の記載内容はにわかに信用できず、対X2発言は支配介入の不当労働行為に該当するものと認められ、その旨認定した初審命令は相当であるとされた例。
2625 非組合員化の言動
従業員らにおいて会社が組合に対し否定的態度を取り、組合結成等に関われば解雇されることもあり得ることが周知されていた状況下において、対非組合員発言は、このような会社の行動からすれば、これを聞いた従業員らをして、組合に加入すれば会社により何らかの不利益取扱いがあることを予想させるものと言わざるを得ず、支配介入の不当労働行為に該当するとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
2625 非組合員化の言動
本件辞令命令発令について、会社の行為は、X3のみならず、組合支部員、会社従業員らにおいても、組合支部に加入するなどすれば、解雇すらあり得るほどの不利益取扱いを受けるが、組合支部を脱退すれば厚遇が受けられることを周知させてその旨の認識を持たせるものであり、非組合員であれば組合らへの加入や組合らの関わりを躊躇させ、組合支部員であれば組合支部からの脱退を奨励する効果を有するのであって、支配介入の不当労働行為に該当することは明白であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
会社は団体交渉上、議題について常に協議し妥結する義務を負うものでないにしても、労使の合意形成に向けて可能な限り団体交渉の場で協議し、また反対案の提示や説明資料を示して適切な説明を行うなどの誠実団交を尽くす義務を負うのであり、当該条件に合理的理由なく固執して実質団交を拒否した場合には、これもまた誠実団交義務を懈怠した正当な理由のない実質的な団交拒否であるとされた例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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