労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  オサメ工業 
事件番号  大阪府労委 平成15年(不)第82号 
申立人  全日本金属情報機器労働組合オサメ工業支部 
申立人  全日本金属情報機器労働組合大阪地方本部 
被申立人  オサメ工業株式会社 
命令年月日  平成17年 3月 4日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、結成間もない組合からの団交申入れ直後から、(1)組合役員等に対する解雇通告や脱退工作を行ったこと、(2)従業員に対する組合加入妨害を行ったこと、(3)組合との団交について、出席人数等を制限したり、上部団体役員の団交申入れのための事業所内への立入りを拒否するなどして誠実に応じなかったこと、(4)組合活動のための会社施設等の使用・貸与を拒否したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)会社要求の条件に固執することなく誠実に団交に応じること、(2)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、平成15年7月29日付け、同年8月27日付け及び9月19日付けで申立人から申入れのあった団体交渉について、被申立人が要求した交渉条件に固執することなく、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
         記
                  年 月 日
 全日本金属情報機器労働組合大阪地方本部
          執行委員長 X4 様
 全日本金属情報機器労働組合オサメ工業支部
          執行委員長 X1 様 
判定の要旨  1107 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
支部を結成したことを理由に支部長X1を解雇する旨の本件解雇通告書を会社内食堂に掲示しており、これは支部を結成したことを理由にX1支部長を不利益に取り扱ったものであり、かつ、会社は本件解雇通告の7日後に解雇を撤回しているものの、本件解雇通告書を会社内食堂に掲示したことにより、X1支部長はもとより会社従業員に対し組合に加入することや組合活動に参加することを威嚇する効果を与えるものとみざるを得ず、これらは支部の弱体化ひいては壊滅を意図する支配介入とみるのが相当であるから、本件解雇通告は労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2625 非組合員化の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
会社社長が組合支部三役員に対して退職を求める発言を行っているが、支部三役員に不利益取扱いがあったとはいえないものの、同発言は支部三役員を威嚇するに十分な効果をもつものであり、これは支部の弱体化ひいては壊滅を意図して行った支配介入行為と認められ、また、同社長が組合員X2に脱退を勧奨する発言を行い、非組合員3名にして組合加入は「よく考えるように」と発言していることは、組合脱退勧奨又は組合加入妨害の効果をもつものであり、これら会社社長の発言は、組合支部三役員を威嚇するに十分な効果をもつもの及び組合員に対する脱退勧奨又は組合加入妨害の効果をもつものであって、組合を嫌悪し、組合支部の弱体化ひいては壊滅を意図して行った組合に対する支配介入行為であるから、これは労組法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
Y1課長は組合を非難するような何らかの発言したものと認められるが、同課長が使用者とみなされる立場にあること又は同課長が会社の意を体して発言したと認めるに足る疎明はなく、同課長の発言をもって、会社の不当労働行為とは認められないとされた例。

2900 非組合員の優遇
3700 使用者の認識・嫌悪
2625 非組合員化の言動
会社は組合支部書記長X3が組合を脱退した2日後、同人にデリバリ担当責任者の発令を行っているが、これはそれまでなかった「責任者」の肩書と月額5,000円の手当を加算するものであり、本件発令を利益誘導であるとする組合の考えは不自然といえなこと、会社は、組合支部結成直後から不当労働行為を行うなど、組合を嫌悪していること等を総合勘案すれば、会社がX3に対し組合を脱退するように何らかの働きかけを行い、X3が脱退したことに対する利益供与として本件発令を行ったとみるのが相当であり、かかる会社の行為は会社内での組合支部の弱体化及び活動の阻害を図った組合に対する支配介入であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例。

2213 交渉人数
2400 その他
労働条件を事前に労使で協議し、合意の上実施すること等の要求に関する団体交渉について、会社が合理的な理由なく出席人数を3名以内とすることに固執して実質的な団体交渉に応じなかったこと及び団体交渉申入れのため会社を訪問した組合役員の事業所内立ち入りを拒否したことは、いずれも組合の団交権を否定する不誠実な態度といわざるを得ず、労組法7条2号に該当する不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が組合支部の会議開催のための食堂使用やロッカーの貸与を拒否し、掲示板を貸与しなかったことは、労使間の協定に違反しているものでなく、別組合との差別的取扱いがなされているなどの特段の事情も認められないから、労組法7条3号に違反する支配介入とまではいえないとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成17年(不再)第18号 棄却 平成18年4月5日
東京地裁 平成19年(行ク)第104号(本案事件:平成18年(行ウ)第303号) 緊急命令申立の認容 平成19年6月25日
東京地裁 平成18年(行ウ)第303号 棄却 平成19年6月25日
東京高裁 平成19年(行コ)第245号 棄却 平成19年11月29日
最高裁 平成20年(行ツ)第81号、平成20年(行ヒ)第85号 上告棄却・不受理 平成20年3月27日
 
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