事件名 |
根岸病院(初任給) |
事件番号 |
中労委平成15年(不再)第43号
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再審査申立人 |
医療法人社団根岸病院 |
再審査被申立人 |
根岸病院労働組合 |
命令年月日 |
平成17年10月 5日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
病院は、組合に対し、(1)事前に協議することなく初任給を引下
げたこと、(2)初任給引下げ後に行った3回の団体交渉の対応が不 誠実であったことが不当労働行為であるとして、争われた
事件で、東京都労委は、病院に対し、(1)初任給引下げに関する誠実団交応諾、(2)初任給引下げ後に採用された組合員に対
し、引下げ前の初任給で計算した賃金額との差額の支払い、(3)文書掲示を命じた。
病院は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初任給引下げに係る差額支給の支払いを命じた部分を取消し、そ
の余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第2項を取り消し、これに係る本件救済申立てを棄
却する。
2 初審命令主文第3項の掲示文書中「、及び貴組合に協議することなく平成11年3月1日
に初任給を引き下げたこと」を削り、同第3項及び同第4項を1項ずつ繰り上げる。
3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2300 賃金・労働時間
病院における在職者の賃金は、賃金表のような統一的な賃金体系を基礎とするものではなく、新規採用時の初任給表記載の基本給
を基に、毎年の定期昇給分、ベースアップ分等の加算による積上げ方式で決定されるものであり、初任給表が在職者の賃金水準の
決定に直接的かつ決定的な影響を及ぼすものになっているといえるから、本件初任給表は、採用時のみならず採用後も組合員であ
る病院職員の賃金額を基本的に左右するものと認められ、本件初任給引下げは団体交渉事項といわざるを得ないとされた例。
2300 賃金・労働時間
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
3回にわたる団体交渉の過程をみるに病院は、初任給引下げによる経営改善の効果について具体的な説明はしていないこと、組合
の本件初任給表の白紙撤回要求等に対し、従来の主張を繰り返したこと、都労委の判断に委ねるとして議論を行わなかったことが
認められ、従来から初任給は団体交渉事項ではないとの理解の下、本件初任給の引下げについてその見直しのつもりはなかったこ
とを明らかにし、組合と誠実な団体交渉をする用意がなかったとみるのが相当であり、本件初任給引下げの団体交渉に経営改善と
の関わりに関する資料や他病院の初任給の状況に関する資料を提示しなかったことなどは、誠実団体交渉義務に違反し、労組法第
7条第2号の不当労働行為であるとされた例。
2251 一方的決定・実施
病院は、人件費の圧縮を急務とする経営環境の下、在職者賃金の引下げ等複数考えられる経営改善方法の中で、当時の経済、雇用
情勢の中での病院の初任給の状況等から、本件初任給引下げを選択したと推認でき、現に、本件初任給引下げが徐々にではあるが
効果が出ていること、また、本件初任給引下げは組合員、非組合員の別なく及ぶものであること等を考慮すると、本件初任給引下
げが組合の弱体化自体を狙ったものとは言い難く、本件が支配介入に当たると判断する初審命令は取り消すのが相当であるとされ
た例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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