概要情報
事件名 |
帝京学園 |
事件番号 |
中労委 平成 7年(不再)第26号
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再審査申立人 |
学校法人帝京学園 |
再審査被申立人 |
帝京中高等学校教職員組合 |
命令年月日 |
平成10年 3月18日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、春闘要求書に関する団体交渉において、学園が、実質的な交渉権限のない者を出席させ、また、学園の主張の根拠について明らかにするための具体的な説明や資料の提示を行わなかったことが争われた事件で、中労委は、学園に対し、(1)誠実団交応諾、(2)文書掲示、(3)履行報告を命じた初審命令を維持して、再審査を申し立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2248 実質的権限のない交渉担当者
学園側の交渉担当者である2名の理事は、団体交渉において、組合の要求を聞き置くだけ、あるいは、理事長ないし理事会の意向を伝えること以外になしえないものとみるほかなく、実質的な交渉を行う権限を有していたとは到底認められないとされた例。
2240 説明・説得の程度
学園は、2名の理事が団体交渉において確認した事項をなんら履行せず、また、賃金体系を明らかにせず、その合理性についての説明も行わず、春闘要求に「全部ノーである」と回答するのみで、その根拠を一切明らかにしないなど、学園の姿勢は、労使の対立点を交渉によって解消させる努力を行っていたものとも、具体的資料を示して相手方の納得をえるよう説明するなどの努力をしたものとも認められず、誠意ある団体交渉の態度とは到底認められないとされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
平成5年度以降、形式的には団体交渉は行われているものの、その交渉において学園は主張・根拠を明らかにしていないこと、学園の交渉担当者に実質的な交渉権限が与えられているとは認められないことなど、同4年度の春闘要求書に関する団体交渉の問題点は実質的に解消されていないものとみざるをえず、春闘要求に関する団体交渉を求める救済利益は未だ失われていないとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集852頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年7月 940号 18頁 
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