労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  千代田化工建設 
事件番号  神奈川地労委昭和63年(不)第8号 
申立人  X1 
被申立人  千代田化工建設 株式会社 
命令年月日  平成 2年 2月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、子会社への移籍を拒否した申立人X1を解雇したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、X1の解雇がなかったものとしての取扱い、バックペイ(年5分加算)及び誓約書の掲示を命じ、陳謝文の手交及び掲示についての申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、昭和63年5月20日付け解雇がなかったものとして取り扱い、解雇の翌日以降同人が受けるはずであった賃金相当額に、年5分の割合による金額を加算して支払わなければならない。
2 被申立人は、本命令後速やかに、下記の誓約書を申立人に手交するとともに、縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に楷書で鮮明に墨書し、本店入口の見やすい場所に、き損することなく10日間掲示しなければならない。
             誓  約  書
 当社が昭和63年5月20日付けで貴殿を解雇したことは、神奈川県地方労働委員会により労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認定されました。当社は、再びこのような行為を繰り返さないことを誓約します。
平成  年  月  日
X1 殿
             千代田化工建設株式会社
              代表取締役 Y1

3 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0123 経営干渉的行為
申立人の会社工場の子会社化と従業員の移籍等の施策に反対する活動は、会社の移籍提案に同意しないよう組合に促すことにより労働条件の低下防止を図るもので、組合活動であるとされた例。

0120 政治(党)活動
申立人らの活動に政党の活動と重なる部分があっても、労働条件の低下防止を図る活動である限り、それらの活動のすべてが政党活動であるとは認められないとされた例。

1102 業務命令違反
工場の分離、子会社化に伴う移籍を拒否したことを理由に、申立人Oを解雇したことが不利益取扱いであるとされた例。

4403 解雇後の事情と原職復帰
工場分離により、社内に原職はなく、原職又は原職相当職の復帰は命じられないが、解雇撤回後の申立人X1に対する処遇については、職種転換等の方法なども検討し、同人の理解を得て決定すべきであるとされた例。

5008 その他
行政機関である労働委員会が私法上の意思表示である解雇を取り消したり、就労請求権のない労働者に原職復帰を命じることは法律上不可能であるとする主張が斥けられた例。

5124 その他の審査手続
申立人が裁判所に仮処分申請を行った場合、不当労働行為救済を労働委員会に求めることはできないとする主張が斥けられた例。

業種・規模  建設業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集89集466頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成 2年(不再)第18号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 4年 5月20日 決定 
東京地裁平成 4年(行ク)第62号 全部認容  平成 5年 9月20日 決定 
東京地裁平成 4年(行ウ)第126号 請求の棄却  平成 6年 1月27日 判決 
東京高裁平成 6年(行コ)第26号 控訴の棄却  平成 7年 6月22日 判決 
最高裁平成 7年(行ツ)第172号 上告の棄却  平成 8年 1月26日 判決 
 
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