労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  千代田化工建設 
事件番号  東京地裁平成 4年(行ウ)第126号 
原告  千代田化工建設  株式会社 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  X1 
判決年月日  平成 6年 1月27日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、出向・移籍・休職の合理化施策に反対する活動を行った初審申立人X1に対し、子会社への移籍を命じ、これを拒否した同人を経営規模の縮小を余儀なくされたことにより雇用を続行できないとして解雇したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審神奈川地労委は、会社に対し、解雇がなかったものとしての取扱い、年5分加算によるバック・ペイの支払、並びに誓約書の手交及び掲示を命じ、中労委もこれを維持したところ、会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、1月27日、会社の請求を棄却した。 
判決主文  原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1102 業務命令違反
会社の経営改善策として川崎工場の子会社化や技能系従業員の子会社への移籍は経営上必要不可欠であったが、移籍は対象者の同意が条件とされていたものであるから、移籍に同意しないX1を就業規則及び労働協約の「雇用を続行できないとき」に当たるとして解雇したことは、解雇回避の努力が尽くされたとはいえず、解雇権の濫用として無効とされた例

0120 政治(党)活動
組合内の少数派による労働条件の維持改善を目指して行う活動が仮に組合機関による正式な意思決定や授権に基づくものでないとしても、あるいは、政党員の活動としての性格を有していたとしても、労組法7条1号所定の労働組合の正当な行為として保護の対象となるというべきであるとされた例

0120 政治(党)活動
会社は補助参加人X1を含む補助参加人グループの活動を政治活動であるとして敵視しており、補助参加人X1による子会社への移籍反対の活動を違法不当なものとしてとらえ、結局同人の正当な組合活動を理由に解雇したものと推認できるとされた例

5008 その他
本件命令が解雇の救済として、本件解雇がなかったものとしての取扱いを命じていることに、労働委員会の裁量の範囲の逸脱はなく、また、履行不能ということもできないとされた例

5008 その他
解雇の救済として、本件解雇がなかったものとしての取扱いに加えて、賃金相当額及びその利息の支払いを命じた本件命令に裁量権の逸脱はないとされた例

5008 その他
誓約書の手交及び掲示を命じた本件命令は、使用者に陳謝の意思表明をすることまで強制したものではなく、将来の同種の不当労働行為を予防するための相当な措置であり、労働委員会の裁量の範囲内にあるとされた例

5008 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
不当労働行為制度は、裁判所による私法上の救済とは別個に、労働委員会により不当労働行為を排除してこれがなかったと同じ状態を回復させることを目的とする制度であり、同制度を違憲違法とする会社の主張が退けられた例

業種・規模  建設業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集29集51頁 
評釈等情報  労働判例  645号 27頁 
労働判例 秋田 成就  647号  6頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委昭和63年(不)第8号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 2年 2月21日 決定 
中労委平成 2年(不再)第18号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 4年 5月20日 決定 
東京地裁平成 4年(行ク)第62号 全部認容  平成 5年 9月20日 決定 
東京高裁平成 6年(行コ)第26号 控訴の棄却  平成 7年 6月22日 判決 
最高裁平成 7年(行ツ)第172号 上告の棄却  平成 8年 1月26日 判決 
 
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