概要情報
		
			
				| 事件名 | 阪神観光 | 
			
				| 事件番号 | 大阪地労委昭和48年(不)第3号 
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				| 申立人 | 大阪芸能労働組合 | 
		
			
				| 被申立人 | 有限会社 阪神観光 | 
			
				| 命令年月日 | 昭和49年 4月13日 | 
			
				| 命令区分 | 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) | 
			
				| 重要度 |  | 
			
				| 事件概要 | 理由を示さぬ団交拒否、社長・専務らの反組合的言辞、請負契約解除予告通知をめぐる事件で、団交応諾、ポスト・ノーティスを命じ、その他は棄却した。 | 
			
				| 命令主文 | 1 被申立人は、申立人が被申立人に提出した昭和47年9月26日づけ要求書の記載事項について、申立人とすみやかに団交交渉を行なわなければならない。 2 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人が経営するキャバレー「ナナエ」の正面玄関西側の楽団員の出入りする通路の1階階段壁面の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
 記
 年  月  日
 申立人組合代表者あて
 被申立人会社代表者名
 当社は、下記の行為を行ないましたが、これらの行為は労働組合法第7条第2号および第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
 記
 (1) 貴組合の昭和47年9月26日づけ要求書の記載事項について団体交渉を拒否したこと
 (2) 当社代表取締役Y1、同専務取締役Y2らが貴組合員に対して、貴組合からの脱退および組合運動の中止を慫慂したり組合を通じて要求すれば全員解雇するなどの発言をしたこと
 (3) 貴組合員らが、昭和47年11月15日から同月18日まで毎日午後5時30分ごろ、当社が経営するキャバレー「ナナエ」において、貴組合の腕章を着用して労働歌を演奏したことに対し、昭和47年11月18日づけ内容証明郵便をもって貴組合員X1氏に対し請負契約解除予告の通知をしたこと 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
 3 申立人のその他の申立ては棄却する。
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				| 判定の要旨 | 0210 リボン・ワッペン等の着用 2610 職制上の地位にある者の言動
 2620 反組合的言動
 3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 組合員が腕章を着用して労働歌を演奏したのは、団交に応じない会社への抗議としてなされたのであり、又客の来店前で業務に支障を与えるものでもないから、組合の正当行為と認められ、これらの中止を求める営業部長の発言、契約解除予告通知は、組合活動に対する支配介入である。
 
 2130 雇用主でないことを理由
 理由を示すことなく組合との団交に応じない会社の行為は労組法7条2号に該当する。
 
 2610 職制上の地位にある者の言動
 2621 個別的示唆・説得・非難等
 会社専務の、分会役員に対する、「組合を通じての要求というやり方なら全員やめてもらう」旨の発言は、解雇を示唆して組合要求の抑止を意図した組合への干渉であり、許されない。
 
 2610 職制上の地位にある者の言動
 2621 個別的示唆・説得・非難等
 組合員であるバンドマスターに対してなされた、「組合運動などせずに、月給あげてくれといえばあげるのに」などの会社社長の発言は、待遇改善を示唆して組合活動の中止を慫慂する組合への干渉である。
 
 2613 使用者と取引関係者の言動
 2621 個別的示唆・説得・非難等
 会社専務の友人が、組合員たるバンドマスターに対し、「本部組合をやめて、会社との交渉を任せてくれ」と述べたのは、組合からの脱退を慫慂する、組合への干渉であって許されない。
 
 2613 使用者と取引関係者の言動
 2621 個別的示唆・説得・非難等
 3420 従業員の親族・保証人・友人の言動
 会社専務の依頼を受けてなされた、専務の友人の発言は、会社の行為とみなすべきである。
 
 4820 単一組織の支部・分会等
 会社は、申立人組合は企業内分会に団交権を認めていないから、申立人資格を欠くというが、組合は労組法2条および5条2項の諸要件を具備すれば足り、下部組織に交渉権を認めることを要件にしていない。
 
 5008 その他
 会社は、不当労働行為成立の前提条件である労働契約の存否に関する判断は裁判所に専属するというが、労組法27条に定められた労働委員会の権限、職責からみてそのように解されないばかりでなく、かりに会社主張のとおりとすると制度は没却されるから、採用できない。
 
 2130 雇用主でないことを理由
 4900 請負・委任・派遣契約
 労使関係の有無は、契約の形式にとらわれることなく、実態によって判断さるべきものであって、本件楽団員は、会社から支給される演奏の対価によって生計をたてていること、会社の指揮命令下に毎日一定時間演奏業務に従事していることなどからみて、会社と使用従属関係にあるものと判断される。
 
 
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				| 業種・規模 | 卸売業、小売業、飲食店 | 
			
				| 掲載文献 | 不当労働行為事件命令集53集268頁 | 
			
				| 評釈等情報 |   
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