概要情報
事件名 |
阪神観光 |
事件番号 |
東京高裁昭和54年(行コ)第81号
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控訴人 |
中央労働委員会 |
控訴人参加人 |
大阪芸能労働組合 |
被控訴人 |
有限会社 阪神観光 |
判決年月日 |
昭和57年 8月10日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、キャバレー経営者である会社側が、(1)賃金の増額等に関する団交を拒否したこと、(2)楽団員の腕章着目、労働歌演奏に対し、請負契約解除を予告したことなどが争われた事件で、初審地労委 (大阪48(不)3 、49・4・13) は、楽団員は会社との間に使用従属関係があると判断し、団交応諾と誓約文の掲示を命じ、中労委(49(不)20、50・11・5) は、地労委の命令を支持して会社の再審査申立てを棄却した。この命令を不服とする会社の行訴提起に対し地裁(東京51(行ウ)6 、54・8・30) はバンドマスター並びにその各楽団員との関係で、労組法7条の「使用者」に該当することを前提として、組合の救済申立てを認容した中労委の再審査命令を取消したので、これを不服とする中労委が控訴したが、高裁は控訴を棄却した。 |
判決主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用中、補助参加によって生じた分は補助参加人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
4901 出演契約
労組法7条にいう「使用者」とは救済を求める労働者との間で使用従属を内容とする直接の契約関係に立つ者をいうと解すべきで、控訴人委員会主張のように当該労働者に対し使用者権限を実質的に行使する者すべてとするのは妥当を欠く。
4901 出演契約
会社は、楽団員に対して、労務管理を行っておらずX1およびX2はバンドマスターとして楽団の維持運営に当り、「ナナエ」における演奏は会社とX1及びX2との間の音楽演奏請負契約に基づくものであり、右両者間に使用従属関係はない。
4901 出演契約
会社が源泉徴収を行っていたこと及びバンドマスターに注意、指示したこと等の事実は上記の判断を妨げるものではない。
2130 雇用主でないことを理由
会社がX2及びX1及び各楽団員との関係で使用者に該当するとして、団交応諾を命じた初審命令を維持した中労委命令を取り消した原判決は相当である。
6343 団体交渉拒否に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
団体交渉拒否に関する救済命令が、会社に使用者性がないとして取り消された。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集17集490頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 33巻4号 737頁 
労働判例 396号 94頁 
労働経済判例速報 1130号 6頁 
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