事件番号・通称事件名 |
東京地裁平成30年(行ク)第174号
大乗淑徳学園緊急命令申立事件 |
申立人 |
中央労働委員会 |
申立人補助参加人 |
組合X |
被申立人 |
学校法人Y |
決定年月日 |
平成31年2月21日 |
決定区分 |
認容 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、大学等を経営する法人からの学部を廃止する予定である
旨の説明を受けて結成された組合が、①法人が不合理な開催条件に固執して組合との団体交渉を拒否していること、②法人が組合
に対して法人の施設内での組合活動を認めない等と通知したこと、③組合との連絡手段を郵便に限定したこと、④法人の施設内に
郵
送された組合あての郵便物等を返送し又は組合委員長の自宅に転送したこと、⑤組合による口頭での団体交渉申入書返却等の依頼
(「本件返却等依頼」)に対し郵送にてその旨を要望するよう述べて応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、救済申立
てがあった事件である。
2 東京都労委は、申立ての一部を認容し、(i)法人の求める団体交渉ルールに従うことに固執しての団体交渉拒否の禁止、
(ii)法人施設内の組合活動を認めない等の通知、組合との連絡手段を郵便に限定し文書や口頭による申入れを受け付けないこ
と及び組合宛ての郵便物等を返送又は組合委員長の自宅に転送することによる支配介入の禁止、並びに(iii)文書掲示を命
じ、(iv)その余の申立てを棄却する旨の命令を発した。法人は、これを不服として再審査を申し立て、中労委は再審査申立て
を棄却したところ、法人は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。
3 中労委は、法人が中労委命令の交付を受けた後も同命令主文を任意に履行する態度を示していないことは命令の履行状況調査
から明らかであるところ、仮に本案行政訴訟事件において法人の請求が棄却され、その判決が確定したとしても、確定までの間、
命令が履行されない状態が継続することになれば、法人の団体交渉拒否等によって生じた組合の団結権及び団体交渉権の侵害が継
続
し、その回復をより困難なものとし、労働組合法の趣旨、目的に反する結果となるなどとして、東京都労委命令の主文第1項及び
第2項に従い、法人は、①団体交渉の開催場所を法人の施設外に限定するなど法人の求める団体交渉ルールに従うことに固執し
て、これを拒否してはならない旨、②法人が組合に対して、法人の施設内での組合活動を認めないなどと通知すること、組合との
連絡手段を郵便に限定すること、及び法人の施設内に郵送された組合あての郵便物等を返送し又は組合委員長の自宅に転送するこ
と等により組合の運営に支配介入してはならない旨の決定を求めて、東京地裁に緊急命令を申し立てたところ、同地裁は、申立て
を認容した。 |
決定主文 |
1 被申立人は、被申立人を原告、国を被告とする当庁平成29年
(行ウ)第505号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成28年(不再)第62号事
件について発した命令によって維持するものとした、東京都労委平成27年(不)第73号事件について東京都労働委員会がした
平成28年10月4日付け命令の主文第1項及び第2項に従い、
(1)
組合が平成27年3月26日付け及び同年5月9日付で申し入れた団体交渉について、団体交渉の開催場所を法人の施設外に限定するなど、法人の求める団体交渉ルールに従うこ
とに固執して、これを拒否してはならない。
(2)
組合に対し、法人の施設内の組合活動を認めない等通知すること、法人と組合間の連絡手段を郵便に限定し文書や口頭による申入れを受け付けないこと及び組合宛ての郵便物等を
返送又は組合代表者の自宅に転送することにより、組合の運営に支配介入してはならない。
2 申立費用は、補助参加によって生じたものを含め、被申立人の負担とする。 |
決定の要旨 |
中労委が東京都労委命令を維持するものとした平成29年10月4
日付けの命令(「本件命令」)は、その認定及び判断において正当であり、適法であると認められる。
そして、本件命令が認定した不当労働行為との関係において、未だに正常な労使関係秩序は回復されておらず、本案行政訴訟事
件が確定するまでこのような状態が継続した場合、組合の団体交渉権及び団結権の侵害が進行し重大な損害の生ずるおそれがある
と認められるから、緊急命令の必要性があるというべきである。 |
その他 |
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