労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ネグロス電工(緊急命令申立て) 
事件番号  東京地裁平成22年(行ク)第314号 
申立人  中央労働委員会 
申立人補助参加人  全国金属機械労働組合港合同 
被申立人  ネグロス電工株式会社 
決定年月日  平成24年3月19日 
決定区分  緊急命令申立ての認容 
重要度  重要命令に係る決定 
事件概要  1 会社が、①平成19年6月に定年を迎える組合員X1の雇用延長に係る団体交渉申入れに応じなかったこと、②同人の平成19年夏季一時金に関する団体交渉申入れに応じなかったこと、③同人に対し、定年後の雇用延長を認めず、再雇用契約を求めたこと及び平成19年夏季一時金を支給しなかったことが、不当労働行為に当たるとして、大阪府労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、①X1の再雇用の具体的条件に関する誠実な協議の実施及び同人との再雇用契約書の締結に関して不利益取扱いがなければ支払われたであろう賃金相当額と既払額との差額支払、②文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却した。
 会社は、これを不服として、再審査を申し立てたところ、中労委は、X1の再雇用の具体的条件に関する会社の対応は不当労働行為に当たらないとし、初審命令を一部変更し、①X1との再雇用契約書の締結に関して、不利益取扱いがなければ支払われたであろう賃金相当額と既払額との差額支払、及び差額支払の履行に当たり、会社は、同人の具体的な再雇用条件について組合と誠実に協議し決定すること、②文書手交を命じた。
 これに対し、会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したため、中労委が緊急命令の申立てを行ったのが本件であるが、同地裁は申立てを認容した。
決定主文  1 被申立人は、被申立人を原告、国を被告とする当庁平成22年(行ウ)第361号不当労働行為救済命令一部取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が平成21年(不再)第15号事件について発した平成22年5月12日付け命令主文Ⅰに従い、申立外組合の組合員X1の定年退職後の再雇用条件について、次の措置を講じなければならない。
(1) 被申立人は、申立外組合の組合員X1に対し、平成19年6月14日付け定年者再雇用社員雇用契約書の締結に関して、不利益取扱いがなければ支払われたであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。
(2) 前項の履行に当たっては、被申立人は、X1の賃金・労働時間等具体的な再雇用条件について、申立外組合と誠実に協議し、決定しなければならない。
2 申立費用は被申立人の負担とする。  
決定の要旨  1 救済命令の適法性について
 ①再雇用契約書に記載された再雇用条件は、月額賃金にすると約5万円で、他の再雇用契約者の再雇用条件や、従前のX1の収入と比べ著しく低いこと、②再雇用契約書の提示は、X1の定年退職日の前日に、その検討期間をわずか約1週間と設定するもので、性急な条件提示及び短い検討期間であり、検討期間が不十分であることを補うに足りる具体的説明もなく、著しく不合理であることが認められ、被申立人の各行為は労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たる。
 そして、本件救済命令は、X1の再雇用条件について、申立外組合との間で賃金・労働時間等具体的な再雇用条件を協議した上で、仙台営業所の再雇用者の月額賃金にも大きく劣後しない範囲で、最終的には被申立人が決定することを命じていると解釈でき、中労委の裁量権の範囲内の命令として適法であると認められる。
2 緊急命令の必要性について
 ①申立人が平成22年5月12日付けで本件命令を発し、本件命令書の写しが同年6月14日に被申立人に交付された後も被申立人が本件救済命令を履行しておらず、被申立人には自発的に本件救済命令を履行しようとする意思がないこと、②本案事件の判決の確定に至るまで本件救済命令の不履行状態が継続した場合、被申立人が申立外組合と協議せず、不利益取扱いがなければ支払われたであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わないことにより、申立外組合の活動等が阻害され、X1に個人的被害が生じるおそれがあることが一応認められ、被申立人の主張を考慮に入れても、現時点において、本件救済命令について、緊急命令の必要性があるといえる。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成19年(不)第32号 一部救済 平成21年3月24日
中労委平成21年(不再)第15号 一部変更 平成22年5月12日
東京地裁平成22年(行ウ)第361号 棄却 平成24年3月19日
東京高裁平成24年(行コ)第154号 棄却 平成24年7月26日
最高裁平成24年(行ヒ)第428号 上告不受理 平成25年9月20日
 
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