事件名 |
日本貨物鉄道外1社(全動労不採用) |
事件番号 |
東京地裁平成 6年(行ウ)第67号
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原告 |
日本貨物鉄道 株式会社 |
原告 |
北海道旅客鉄道 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
全日本建設交運一般労働組合 |
判決年月日 |
平成12年 3月29日 |
判決区分 |
救済命令の全部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
国鉄改革として原告らが設立され、国鉄から旅客鉄道事業、貨物鉄道
事業を承継したが、国鉄の職員であった全動労の組合員らが多数採用されなかった。この件に関し労働委員会は救済命令を発し
た。本件は、原告らが右救済命令の取消しを求める行政事件訴訟である。 |
判決主文 |
1 被告が、中労委平成元年(不再)第25号事件及び同年(不再)
第27号事件(初審北海道地労委昭和62年(不)第28号事件)について平成6年1月19日付けで発した命令のうち、主文第
I項の1号から6号まで及び第II項を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とし、参加によって生じた訴訟費用は参加人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
1500 不採用
1501 黄犬契約
4911 解散事業における使用者
新規採用は「労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合を脱退することを雇用条件とすること」に当たる場合を除き、不当
労働行為に該当せず、労働者の再採用の拒否、営業譲渡の場合は、既に存する労働契約関係における不利益取扱いとして不当労働
行為該当性を肯定することができるか否かの問題として検討すべきとされた例。
1500 不採用
改革法二三条は、設立委員が承継法人の職員の募集、採用を行うこととしており、かつ、設立委員から採用する旨の通知を受けた
者であって附則二項の規定の施行の際、現に国鉄の職員である者は、承継法人の設立の時において、当該承継法人の職員として採
用されることとしているのであって、これは、同法二三条による採用を新規採用として行うものとする趣旨であると解するのが相
当であるとされた例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
改革法は、採用手続きに段階を設け、各段階ごとに行う事務手続きの内容とその主体及び権限を規定しており、国鉄が行った採用
予定候補者の選定及び採用予定候補者名簿の作成過程において、労働組合の所属等による差別的取扱いと目される行為があり、設
立委員がその採用候補者名簿に基づき採用予定者を決定して採用を通知した結果、それが不当労働行為に該当すると判断される場
合、その責任は設立委員に帰属すると解するのは困難であって、各権限の保有主体はそれぞれの権限の行使に関して労働組合法七
条一号の使用者性が認められ、それぞれの権限行使に応じて不当労働行為責任が帰属するものと解するのが相当であるとされた
例。
1501 黄犬契約
労組法七条一号は労働契約締結前の段階と締結後の段階とを意識的に区別したものであり、前者については、「労働者が労働組合
に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること」(同号後段)だけが不当労働行為を構成するものとし、
同号前段の規定は労働契約締結後の段階を対象とするものと解するのが相当である、とされた例。
4911 解散事業における使用者
改革法二三条は、一項において設立委員が採用の基準に従い採用候補者の選定については、どういう選び方をするかは設立委員が
決定する権限を有し、具体的な部署に応じて誰を選ぶかは国鉄が決定する権限を有することとしたものと解するのが相当である、
とされた例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
設立委員が決定した採用基準のうち、国鉄がした組合差別と目される採用候補者の選定の結果と結びつく可能性があるのは「国鉄
在職中の勤務の状況から見て当社の業務にふさわしい者であること」という規準だけであるが、この基準が組合差別的な採用候補
者の選定と直ちに結びつくものということができず、設立委員がこのような内容の採用の基準を決定したことにより不当労働行為
を行ったということはできないとされた例。
1500 不採用
1501 黄犬契約
4911 解散事業における使用者
設立委員は採用の基準を決定する権限を有するから、これから雇用契約を締結することのできる地位にあり、この地位に基づき労
組法七条一号後段にいう「雇用条件」を定めることのできる者として、同法七条一号にいう「使用者」に当たることになるとされ
た例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
承継法人の職員の採用は、設立委員が国鉄を通じ労働条件及び職員の採用の基準を提示して職員の募集を行うことを不可欠の手続
きとして内包しているから、募集段階において設立委員の行為と見ることのできる国鉄の行為は、承継法人の職員の採用について
承継法人がした行為に当たり、改革法二三条五項により当該承継法人がした行為とされるものと解するのが相当であるとされた
例。
1500 不採用
1501 黄犬契約
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
労使共同宣言、人材活用センターの設置及び配置、国鉄幹部職員及び職制の言動に関する事実等をもって、国鉄が承継法人の職員
の採用候補者の選定に当たって全動労、国労の組合員を不利に扱う意思をあらかじめ外部に表白したに等しいと認めることはでき
ず、その他国鉄が組合差別的な募集条件を付加したことを認めるに足りる証拠はないから、設立委員が、設立委員の行為とみるこ
とができる国鉄の行為も含めて、提示した採用基準により不当労働行為を行ったということはできないとされた例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
改革法が承継法人の職員の採用について専ら採用を決定する側に自由があることを規定しており、同法二三条はこれに基づく採用
候補者の決定につき採用の自由を付与したものと解するのが相当であり、同条による採用は新規採用に当たることから、組合の主
張する実質的同一性の法理を肯定することができるか否かはともかくとして、国鉄と会社らが実質的に同一であることを理由に国
鉄が行った採用候補者の選定及び名簿の作成につき会社らの不当労働行為責任が帰属するものということはできないとされた例。
1500 不採用
1501 黄犬契約
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社発足後の補充採用も新規採用に当たるものというべきであるが、会社が採用の基準として提示した内容は、国鉄及び精算事業
団在職中の勤務状況からみて当社の業務にふさわしい者であることなどであり、この採用の基準が組合差別的な内容のものである
ということはできないし、他の会社が全動労の組合員でないことを雇用条件や募集条件として提示したことを認めるに足りる証拠
はないから、労働組合法七条一号後段に該当する不当労働行為があったものということはできないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集35集102頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2000年5月10日 968号 46項
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