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自然毒のリスクプロファイル:スギヒラタケPleurocybella porrigens(キシメジ科スギヒラタケ属)

詳細版

(スギヒラタケPleurocybella porrigens ),キシメジ科スギヒラタケ属

地方名 かぬが,かぬがきのこ,かのか,かのが,かのかきのこ,しぎかのか,しぎきのこ,すぎあおけ,すぎおわけ,すぎきのこ,すぎわかえ,すぎもだせ,すぎわかえ(秋田県),こけ,しらふさ,やたは,すぎごけ(新潟県),かぬか(秋田,岩手県),すぎかのか(秋田,宮城,山形県),すぎごけ(新潟,福井県),すぎたけ(秋田,福島,福井県),わかい,わかいきのこ(青森,秋田県)
特徴 傘の大きさ 2cm〜7cm前後
形と色

傘 :白色でほとんど無柄で特徴はない。耳形から扇形に成長し,ふちは内側に巻いている。

ひだ:白色で密。ひだの中ほどに枝分かれが見られる。

柄 :白色

  発生時期 夏から秋
発生場所 晩夏から秋にかけてスギ,マツなどの針葉樹の倒木や古株に群生する。
その他  
間違えやすい食用きのこ 古くは食用とされてきた。
ヤキフタケに似ている。
症状 腎臓に疾患のある人を中心に急性脳症を起こす。原因不明の中枢神経障害で,発症初期には脚の脱力感やふらつき,さらに数日経つと、筋肉の不随意運動が出現,その後急速に麻痺や全身性の痙攣,意識障害を起こし,脳浮腫が進行し,死亡する。
主な症状は意識障害,不随意運動,上肢振戦,下肢脱力と報告されている。
毒成分 毒成分は現在まで不明であるが,シアンを含有する。シイタケ,マイタケなど食用のキノコにはない共役型脂肪酸類(エレオステアリン酸など)のほか,異常アミノ酸類やレクチンを含有する。

スギなどの倒木に群生する。

スギヒラタケはきれいな白色であるが,ときどき灰色や黄色がかったものも存在する。

スギヒラタケの写真

スギヒラタケ
スギヒラタケ
ヤキフタケ

よく似ている食用きのこ
ブナの枯木などに発生するヤキフタケ(左)は白いが,やや僅かに黄色から灰色をして,傘にブナサルノコシカケのように年輪に似た模様が見られる。

1 (1)含有成分
*1

(含有成分には以下の化合物の報告あるが,毒性については詳しく調べられていないか,検討中)
遊離シアン,シアン配糖体、レクチンなどの他に脂肪酸類(一部を示す)

脂肪酸類

異常アミノ酸類

(2)食中毒の型 神経系症状
(3)中毒症状
*2
嘔吐,下痢などの消化器系の食中毒症状は示さず,ふらつき,不随意運動,下肢脱力,痙攣などの症状を示す。
発症は,血液透析患者または非透析慢性腎不全患者に見られた。血液透析患者でスギヒラタケ摂取した人の中で,発症した割合は,4.3 %であり,また,スギヒラタケ摂取歴がない人の発症例はない。
(4)発病時間
*2
摂取から発症までの時間は1から31日で,平均して9日と報告されている。
2 (1) 発症事例
*2

症例
スギヒラタケ摂取後数日で,下肢脱力,運動失調,構語障害に続き,振戦様の不随意運動やミオクローヌス様の神経症状を示す。軽症の場合は回復するが,重い場合は全身痙攣などを経て死に至る。

(2)患者数
  発生件数 摂食者総数 患者数
2000年 0件 0人 0人
2001年 0件 0人 0人
2002年 0件 0人 0人
2003年 0件 0人 0人
2004年 不明 >59人*3 59人
(内死者19)
2005年 0件 0人 0人
2006年 0件 0人 0人
2007年 0件 >1人 1人
2008年 0件 0人 0人
2009年 0件 >1人 1人

「厚生労働省発表」

(3)中毒対策
3 毒成分の分析法
4 諸外国での状況
5 その他の参考になる情報
6 間違えやすいキノコ 形はヤキフタケ(色は薄い茶色)などに似ている。
一般名 ヤキフタケ
学名 Trametes pubescens
引用・参考文献
1)下条文武,成田一衛. スギヒラタケの関与が疑われる原因不明の脳症:腎不全患者に集中発生したスギヒラタケ脳症. 日本内科学会雑誌, 95, 1310-1315 (2006).
Amakura Y, Kondo K, Akiyama H, Ito H, Hatano T, Yoshida T, Maitani T. Characteristic long-chain fatty acid of Pleurocybella porrigens. 食品衛生学雑誌, 47, 178-181 (2006).
Amakura Y, Kondo K, Akiyama H, Ito H, Hatano T, Yoshida T, Maitani T. Conjugated ketonic fatty acids from Pleurocybella porrigens. Chem. Pharm. Bull., 54, 1213-1215 (2006).
Sasaki H, Akiyama H, Yoshida Y, Kondo K, Amakura Y, Kasahara Y, Maitani T. Sugihiratake mushroom (angel's wing mushroom)-induced cryptogenic encephalopathy may involve vitamin D analogues. Biol. Pharm. Bull., 29, 2514-2518 (2006).
Akiyama H, Toida T, Sakai S, Amakura Y, Kondo K, Sugita-Konishi Y, Maitani T. Determination of cyanide and thiocyanate in sugihiratake mushroom using HPLC method with fluorometric detection. J. Health Sci., 52, 73-77 (2006).
Hasegawa T, Ishibashi M, Takata T, Takano F, Ohta T. Cytotoxic fatty acid from Pleurocybella porrigens. Chem. Pharm. Bull., 55, 1748-1749 (2007).
Kawaguchi T, Suzuki T, Kobayashi Y, Kodani S, Hirai H, Nagai K, Kawagishi H. Unusual amino acid derivatives from the mushroom Pleurocybella porrigens. Tetrahedron, 66, 504-507 (2010).
Kondo K, Obitsu S, Ohta S, Matsunami K, Otsuka H, Teshima R. Poly(ADP-ribose) polymerase (PARP)-1-independent apoptosis-inducing factor (AIF) release and cell death are induced by eleostearic acid and blocked by alpha-tocopherol and MEK inhibition. J. Biol. Chem., 285, 13079-13091 (2010).
2)柳川 洋,岡部信彦. スギヒラタケの関与が疑われる原因不明の脳症:本邦での患者の発生. 日本内科学会雑誌, 95, 1305-1309 (2006).
下条文武,成田一衛. スギヒラタケの関与が疑われる原因不明の脳症:腎不全患者に集中発生したスギヒラタケ脳症. 日本内科学会雑誌, 95, 1310-1315 (2006).
3) スギヒラタケの中毒事例について,原因が確定されていないため現在までに食中毒に分類されていない。したがって,正確な件数および摂食者数は把握できていない。摂食者総数は,腎障害を持つ人に限っても発症率は4%程度と報告されていること,健常人も摂食していると考えられることから,1,500人以上と推測される。

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