厚生労働省

食品関係用語集

食品安全に関する用語を簡単に説明しています。詳しくは、各リンク先の情報をご覧ください。

○索引

あ行 安全係数
遺伝子組換え食品
牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)
か行 既存添加物
急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)
許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)
検疫所
コーデックス委員会
さ行 残留動物用医薬品等
残留農薬
食品衛生監視員
食品衛生管理者
食品添加物
た行 耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake)
ダイオキシン類
登録検査機関
は行 ハサップ(HACCP:Hazard Analysis Critical Control Point、危害分析重要管理点)方式
ポジティブリスト 制度
ま行 無毒性量(NOAEL:Non Observed Adverse Effect Level)
命令検査
モニタリング検査
や行 輸入食品監視指導計画
ら行 リスク管理
リスクコミュニケーション
リスク評価
リスク分析
 
アルファベット
ADI(Acceptable Daily Intake)
ARfD(Acute Reference Dose)
BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy)
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)
NOAEL(Non Observed Adverse Effect Level)
TDI(Tolerable Daily Intake)

○用語集

遺伝子組換え食品

遺伝子組換え技術(組換えDNA技術)とは、他の生物から有用な性質をもつ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物等に組み込む技術のことです。この技術により、例えば、害虫や病気に強い農作物や、乾燥などの厳しい環境に強い農作物を作ることが可能になります。遺伝子組換え食品は、こうした遺伝子組換え技術を応用した食品のことをいいます。

遺伝子組換え食品は、内閣府食品安全委員会による安全性審査が義務づけられており、審査を経て安全性が確認されたものは、厚生労働省が公表しています。

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牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)

牛海綿状脳症(BSE)は、牛の脳の組織がスポンジ状に変化し、起立不能等の症状を引き起こす中枢神経系の疾病です。原因は、十分に解明されていませんが、プリオンという通常の細胞タンパクが異常化したものが原因物質として有力視されています。

昭和61年に英国で発生し、我が国においても平成13年9月に牛海綿状脳症の牛が発見され、平成21年12月現在までに36頭確認されています。

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コーデックス委員会

コーデックス委員会(Codex Alimentarius Commission)は、1963年(昭和38年)に、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization of the United Nations)と世界保健機関(WHO: World Health Organization)が合同で設立した国際政府間組織です。消費者の健康を守るとともに、公正な食品貿易を確保するため、国際貿易において重要な食品の安全と品質に関する規格や基準(コーデックス基準)を策定しています。

2010(平成22)年1月現在、182カ国及び1機関(欧州共同体)が同委員会に加盟しており、日本は1966(昭和41)年に加盟しました。コーデックス委員会には総会、執行委員会、一般問題部会(10部会)、個別食品部会(11部会)、特別部会(1部会)と地域調整部会(6部会)が置かれています。

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残留動物用医薬品等

動物用医薬品は、牛、豚、鶏などの畜産動物や養殖魚に対して、病気の治療や予防のために使用されるものです(抗生物質、寄生虫駆除剤など)。飼料添加物は、畜産動物や養殖魚の飼料の効率の改善や栄養成分の補給のために飼料に添加するものです。

動物用医薬品及び飼料添加物(以下、動物用医薬品等)が残留した食品を摂取することにより、人の健康を損なうことがないよう、食品衛生法に基づき、全ての動物用医薬品等について残留基準(一律基準(*)を含む)が設定され、これを超えるような動物用医薬品等が残留している畜水産物は販売等が禁止されます。(「ポジティブリスト制度」参照)

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残留農薬

農作物等の栽培や保存時に使用された農薬が、農作物等や環境中に残留したものを「残留農薬」といいます。農薬が残留した食品を摂取することにより、人の健康を損なうことがないよう、食品衛生法に基づき、全ての農薬について残留基準(一律基準(*)を含む)が設定され、これを超えるような農薬が残留している農作物等は販売等が禁止されます。(「ポジティブリスト制度」参照)

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ポジティブリスト制度

食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下、農薬等)に関するポジティブリスト制度とは、一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する制度です。

平成15年に食品衛生法が改正され、農薬等の食品中への残留について、ポジティブリスト制度が導入されました(平成18年5月29日施行)。これまでの制度では、残留基準が定められていない農薬等を含む食品の流通に対する規制が困難でしたが、ポジティブリスト制度の導入により、原則、全ての農薬等について、残留基準(一律基準(*)を含む)が設定され、これを超える農薬等が残留している食品は販売等が禁止されることになりました。

(*)一律基準:食品衛生法において、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める「人の健康を損なうおそれのない量」のことで、0.01ppmと設定されています。

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食品衛生監視員

食品衛生監視員とは、食品衛生法に基づいて、食品衛生上の危害を防止するために営業施設等への立入検査や食品衛生に関する指導を行う国や地方自治体等行政機関の職員を指します。

国の食品衛生監視員は、輸入食品の監視指導や総合衛生管理製造過程の承認等を主として行っています。一方、都道府県等の食品衛生監視員は、保健所などにおいて所管地域内の営業施設等への監視指導を行っています。


食品衛生管理者

食品衛生管理者とは、特に高い安全性が求められる乳製品、食肉製品、添加物等の製造・加工に関する営業を行う際に、営業者が必ず置かなければならない資格者です。食品衛生管理者の設置は、食品衛生法第48条に規定されており、食品衛生に関する十分な知識を持った食品衛生管理者を中心とした自主管理体制により、安全な製品を製造・加工することを目的としています。

営業者が資格要件を満たす者の中から選任し、保健所に届け出ることで、食品衛生管理者になることができます。(試験によって資格を取得するのではありません。)

食品衛生管理者の資格要件は、下記のとおりです。

1.医師、歯科医師、薬剤師又は獣医師

2.大学等において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者

3.厚生労働大臣の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者

4.高等学校等を卒業した者等で、乳製品、食肉製品、添加物等の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、厚生労働大臣の登録を受けた講習会の課程を修了した者


食品添加物

食品添加物とは、食品の製造の過程において着色、保存等の目的で食品に加えられるものです。

安全性等の評価を行ったうえで「ヒトの健康を損なうおそれがない場合」として厚生労働大臣が指定するもの以外の使用は認められていません。この指定の対象には、化学的合成品だけでなく天然に存在する添加物も含まれます。

例外的に指定の対象外となるものは、「天然香料」及び「一般に食品と考えられるもので添加物として使用されるもの(社会通念上食品と考えられるもの:例えばイチゴジュースによる着色など)」のみです。

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既存添加物

食品添加物の指定制度(「食品添加物」を参照)の対象は、長い間、化学的合成品のみに限られていましたが、平成7年に天然由来の添加物についても指定の対象とする制度になりました。その際に、従来から販売、製造、輸入、使用されてきた天然由来の添加物は、例外的に続けて使うことが認められています。これらの添加物のことを既存添加物といい、既存添加物名簿に記載されています。

また、既存添加物については、規格基準の設定や安全性試験が継続して行われています。平成15年に食品衛生法が改正され、安全性に問題があると判明したもの、又は既に使用実態のないものについては、既存添加物名簿からその名称を消除し、使用を禁止できることになりました。

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ダイオキシン類

ダイオキシン類とは、主に廃棄物の焼却等で発生する化学物質で、一種類ではなく、混合物の総称です。ダイオキシン類は、強い毒性を示し、分解しにくく、人体にも蓄積することがわかっています。

食品中のダイオキシン類による健康への影響については、食品からのダイオキシン類の1日の摂取量を把握し、耐容一日摂取量(TDI)(*)と比較する事により評価されています。これまでの食品からのダイオキシン類の1日の摂取量調査結果では、「ダイオキシン類」の耐容一日摂取量である4pgTEQを下回っています。

(*)耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake):人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと推定される体重1g当たりの1日当たり摂取量。

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登録検査機関

食品衛生法に基づいて、厚生労働大臣が登録や検査の業務に関する規程を認可し、国や自治体の代わりに検査を行うことができる法人を指します。

国や自治体の試験検査機関以外の民間の検査機関でも登録検査機関になることが認められています。

登録検査機関について


ハサップ(HACCP:Hazard Analysis Critical Control Point、危害分析重要管理点)方式

食品の安全性を高度に保証する衛生管理の手法の一つです。

具体的には、食品の製造業者が原材料の受入から最終製品にいたる一連の工程の各段階で発生する危害を分析し、その危害の発生を防止することができるポイントを重点的に管理することにより、製造工程全般を通じて製品のより一層の安全性を確保するという手法です。

国際的にもHACCPの導入が推進されています。

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輸入食品 輸入食品のページへ
検疫所

検疫所は、検疫法に基づき、日本に常在しない感染症の病原体が海外から国内に侵入することを防止するため、海外からの来航者について検査等を行い、また、感染症の媒介動物である蚊やネズミなどの調査や必要に応じて駆除、消毒を行っています。

また、輸入食品の安全性を確保するため、食品衛生法に基づき、販売や営業を目的として輸入される各種の食品、食器などの器具等の輸入の届出の審査及び試験検査を行い、食品衛生法に違反する食品等の輸入防止に取り組んでいます。

検疫所は、全国の主要な海港・空港に設置されています。

命令検査

輸出国の事情、食品の特性、同種食品の不適格事例などから、食品衛生法違反の可能性が高いと判断される食品等について、厚生労働大臣の命令により、輸入者自らが費用を負担して実施する検査です。検査の結果、食品衛生法に適合していると判断されるまで輸入することができません。

モニタリング検査

多種多様な輸入食品の衛生上の状況を把握することを目的として、国が輸入量、輸入件数、違反率、衛生上の問題が生じた場合の危害度等を勘案して年間計画を作成し、実施する検査です。命令検査とは異なり、試験結果の判定を待たずに輸入手続きを進めることができます。

また、平成15年の食品衛生法の改正により、検査の一部を登録検査機関へ委託できることになりました。

輸入食品監視指導計画

厚生労働大臣は、年度毎に輸入食品等の輸入について国が行う監視指導の実施に関する計画を定めています。計画内容には、輸出国の生産地の事情などからみて重点的に監視指導を実施すべき事項や、輸入を行う営業者に対する自主的な衛生管理の実施に関する指導事項などが含まれます。

計画の策定にあたっては、国民からの意見を募集し、リスクコミュニケーションを実施するとともに、策定された計画及び実施状況を公表しています。

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リスク分析

食品の安全性に関するリスク分析とは、食品中に含まれるハザード(危害要因)(*1)を摂取することによって人の健康に悪影響を及ぼす可能性がある場合に、その発生の防止またはそのリスク(*2)を最小限にするための枠組みをいいます。

リスク分析は、「リスク評価」、「リスク管理」、「リスクコミュニケーション」の3つの要素からなっており、これらが相互に作用し合うことによってよりよい結果が得られます。

(*1)ハザード(危害要因):人の健康に悪影響をもたらす可能性のある物質等

(*2)リスク:食品中にハザード(健康に悪影響をもたらす可能性のある物質等)が存在する結果として生じる悪影響の確率とその程度の関数

リスク管理

リスク管理とは、厚生労働省、農林水産省などのリスク管理機関が、リスク評価機関である内閣府食品安全委員会によるリスク評価(食品健康影響評価)の結果に基づいて、その他の科学的・社会的要因等を考慮し、リスクを低減するための適切な措置を決定、実施することをいいます。

食品衛生法に基づく食品、添加物の規格基準の設定(食品に残留する農薬等の基準の策定など)やその基準が守られているかの監視などがリスク管理に当たります。

リスク評価

食品中に含まれるハザードを摂取することによって、どのくらいの確率でどの程度の健康への悪影響が起きるか(リスク)を科学的に評価することです。内閣府食品安全委員会がリスク管理機関からの要請に基づき(又は食品安全委員会が自ら)、リスク評価(食品健康影響評価)を行います。

リスクコミュニケーション

リスク分析の全過程において、リスク評価者、リスク管理者、消費者、事業者、研究者、その他関係者の間で、情報および意見を相互に交換することです。リスク評価の結果およびリスク管理の決定事項の説明を含みます。

リスク評価
許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)

許容一日摂取量(ADI)とは、ある物質について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。

通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。ADIは、食品添加物や農薬等、食品の生産過程で意図的に使用されるものの安全性指標として用いられます。

耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake)

耐容一日摂取量(TDI)とは、環境汚染物質等の非意図的に混入する物質について、人が生涯にわたって毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。

通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。TDIは、重金属等に関する指標として用いられます。

無毒性量(NOAEL:Non Observed Adverse Effect Level)

無毒性量(NOAEL)とは、ある物質について何段階かの異なる投与量を用いて毒性試験を行ったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量のことです。通常は、さまざまな動物試験で得られた個々の無毒性量の中で最も小さい値をその物質の無毒性量とし、1日当たり体重1s当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。

急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)

急性参照用量とは、人が食品や飲料水を介して、ある特定の化学物質を摂取した場合の急性影響を考慮するための指標です。人の24時間またはそれより短期間の経口摂取により健康への悪影響を示さないと推定される体重1kg当たりの摂取量(mg/kg 体重)で表されます。

安全係数

安全係数(Safety Factor)とは、ある物質について、許容一日摂取量(ADI)や耐容一日摂取量(TDI)等を設定する際、無毒性量に対して、さらに安全性を考慮するために用いる係数です。無毒性量を安全係数で割ることで許容一日摂取量や耐容一日摂取量を求めることができます。

動物実験のデータを用いてヒトへの毒性を推定する場合、通常、動物とヒトとの種の差として「10倍」、さらにヒトとヒトとの間の個体差として「10倍」の安全率を見込み、それらをかけ合わせた「100倍」を安全係数として用いています。不確実係数(UF:Uncertainty Factor)ともいいます。

○リンク

食品の安全性に関する用語集(第4版)(食品安全委員会ホームページ)
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