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予防接種に関する基本的な計画

○厚生労働省告示第百二十一号
 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第三条第一項の規定に基づき、予防接種に関する基本的な計画を次のように定めたので、同条第五項の規定により告示し、平成二十六年四月一日から適用する。
  平成二十六年三月二十八日

厚生労働大臣 田村 憲久

予防接種に関する基本的な計画

 昭和二十三年の予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号。以下「法」という。)の制定以来、六十年以上が経過したが、この間、予防接種が、感染症の発生及びまん延の予防、公衆衛生水準の向上並びに国民の健康の保持に著しい効果を上げ、かつて人類にとって脅威であった天然痘の制圧や西太平洋地域におけるポリオの根絶等、人類に多大な貢献を果たしてきたことは、歴史的にも証明されているところである。
 一方、平成の時代に入ってから、感染症の患者数が減少する中で予防接種禍集団訴訟に対する被害救済の司法判断が相次いで示され、より安全な予防接種の実施体制の整備が求められた。これを受けて平成六年に法が改正され、定期の予防接種(法第二条第四項に規定する定期の予防接種をいう。以下同じ。)を受ける法的義務は努力義務とされるとともに、法の目的に健康被害の救済に関する内容が追加された。さらに、予防接種事業に従事する者に対する研修の実施及び個別接種の推進等、有効かつ安全な予防接種の実施のための措置が講じられることとなった。
 しかしながら、同時期に麻しん・おたふくかぜ・風しん混合(MMR)ワクチンのおたふくかぜ成分による無菌性髄膜炎の発生頻度等が社会的に大きな問題となり、国民の予防接種に対する懸念は解消されなかった。
 その後、約二十年にわたり、かつては水痘ワクチン及び百日せきワクチンの開発等、世界を牽引していた国内のワクチンの開発が停滞するとともに、定期の予防接種の対象疾病の追加がほとんど行われない状態が続き、その結果、世界保健機関が推奨しているワクチンの一部が法の対象となっておらず、他の先進諸国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない等、いわゆる「ワクチン・ギャップ」が生じてきた。
 本計画は、このような予防接種行政の歴史を十分に踏まえつつ、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画として、今後の予防接種に関する中長期的なビジョンを示すものである。

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第一 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な方向

一 予防接種に関する施策の基本的理念
 予防接種は、法第二条第一項において「疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」と定義されている。 予防接種は、疾病予防という公衆衛生の観点及び個人の健康保持の観点から、社会及び国民に大きな利益をもたらしてきた一方、極めてまれではあるが不可避的に生ずる予防接種の副反応による健康被害をもたらしてきた。
 このような事実についての十分な認識を踏まえ、国民の予防接種及びワクチンに関する理解と認識を前提として、我が国の予防接種施策の基本的な理念は「予防接種・ワクチンで防げる疾病は予防すること」とし、また、国は、予防接種施策の推進に当たっては、感染症の発生及びまん延の予防の効果並びに副反応による健康被害のリスクについて、利用可能な疫学情報を含めた科学的根拠を基に比較衡量することとする。

二 科学的根拠に基づく予防接種に関する施策の推進
 国は、予防接種施策の推進の科学的根拠として、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについて可能な限り収集を行い、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会及び同分科会に設置された三つの部会(以下「分科会等」という。)の意見を聴いた上で、予防接種施策に関する評価及び検討を行う。
 具体的には、既に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)上の製造販売承認を得、定期の予防接種に位置付けられたワクチンについては、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果について、分科会等の意見を聴いた上で、法上の位置付けも含めて評価及び検討を行う。
 また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の製造販売承認は得ているが、定期の予防接種に位置付けられていないワクチンについても、分科会等の意見を聴いた上で、定期の予防接種に位置付けることについて評価及び検討を行う。

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第二 国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項

予防接種施策を実施するに当たり、関係者の役割分担については以下のとおりとする。

一 国の役割
 定期の予防接種の対象疾病、接種対象者、使用ワクチン、接種回数及び接種方法等については、分科会等の意見を聴いた上で、国が決定する。 また、法第二十三条の規定に基づき、予防接種に関する啓発及び知識の普及、予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保等必要な措置、予防接種事業に従事する者に対する研修の実施等必要な措置並びに予防接種の有効性及び安全性の向上を図るために必要な調査及び研究について着実な実施を図るとともに、副反応報告制度の運用及び健康被害の救済についても、円滑な運用を行う。
 さらに、予防接種に関する海外からの情報収集及び全国的な接種率の把握等、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)での対応が難しいものについては、国の役割として行う必要がある。
 加えて、定期の予防接種の実施主体である市町村が、住民への情報提供を含め、接種に関する一連の事務を円滑に実施できるよう、関係者と調整を図るとともに、定期の予防接種の対象疾病、使用ワクチン及び接種回数の見直しの検討を含めて、必要な財源の捻出及び確保等に努める必要がある。

二 都道府県の役割
 都道府県は、予防接種に関して、医師会等の関係団体との連携、管内の市町村間の広域的な連携の支援、国との連絡調整並びに保健所及び地方衛生研究所の機能の強化等に取り組む必要がある。
 例えば、予防接種に関わる医療従事者等の研修、地域の予防接種を支援するための中核機能を担う医療機関の整備及び強化、広域的な連携について協議する場を設けるための支援、緊急時におけるワクチンの円滑な供給の確保及び連絡調整、市町村における健康被害の救済の支援、予防接種の安全性の向上のための副反応報告制度の円滑な運用への協力並びに予防接種の有効性の評価に資する感染症発生動向調査の実施への協力等に取り組むよう努める必要がある。

三 市町村の役割
 市町村は、定期の予防接種の実施主体として、医師会等の関係団体との連携の下に、適正かつ効率的な予防接種の実施、健康被害の救済及び住民への情報提供等を行う。
 また、予防接種の安全性の向上のための副反応報告制度の円滑な運用及び予防接種の有効性の評価に資する感染症発生動向調査の実施への協力や、例えば、広域的な連携について協議する場を設けるといった広域的な連携強化等に取り組むよう努める必要がある。

四 医療関係者の役割
 医療関係者は、適正かつ効率的な予防接種の実施及び医学的管理、入念な予診、接種事故の防止、被接種者及びその保護者へのワクチンの有効性及び安全性等に関する情報提供、予防接種の安全性の向上のための副反応報告制度の円滑な運用、予防接種の有効性の評価に資する感染症発生動向調査の実施への協力並びにワクチンの最新知見の習得等に努める必要がある。

五 ワクチンの製造販売業者及び卸売販売業者の役割
 ワクチンの製造販売業者は、安全かつ有効なワクチンの研究開発を行うほか、卸売販売業者とともにワクチンの安定的な供給並びに副反応情報の収集及び報告等を行う。

六 被接種者及びその保護者の役割
 被接種者及びその保護者は、予防接種による感染症予防の効果及び副反応のリスクの双方に関する正しい知識を持った上で自らの意思で接種することについて、十分に認識し、理解する必要がある。

七 その他関係者の役割
 報道機関、教育関係者及び各関係学会等は、広く国民が予防接種による感染症予防の効果及び副反応のリスク等の情報について正しい知識を得られるよう、普及啓発に努めることが期待される。

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第三 予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項

一 基本的考え方
 国は、予防接種の効果的な推進のため、予防接種の現状及び課題について、予防接種に関わる多くの関係者と共通認識を持った上で、科学的根拠に基づいて目標を設定するとともに、国民及び関係者に対してその目標及び達成状況について周知する。
 これらの方針に基づき、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の解消、定期の予防接種の接種率の向上、新たなワクチンの開発並びに普及啓発及び広報活動の充実を当面の目標とする。
 なお、本計画は、今後の状況変化等に的確に対応する必要があることから、法第三条第三項に基づき、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものである。ただし、予防接種施策の実施状況並びにその効果、意義及び成果については、工程表を策定した上で分科会等の場で一年ごとにPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)による定期的な検証を行い、当該検証の結果を踏まえ必要があると認めるときは、五年を待つことなく本計画を見直すよう努めることとする。

二 ワクチン・ギャップの解消
 我が国では、予防接種の副反応による健康被害の問題を背景に予防接種行政に慎重な対応が求められてきた経緯から、いわゆる「ワクチン・ギャップ」の問題が生じているところである。
 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会等において、「広く接種を促進していくことが望ましい」とされた七つの疾病のうち、平成二十五年度からHib感染症、小児の肺炎球菌感染症及びヒトパピローマウイルス感染症の三疾病が定期の予防接種に位置付けられたが、それら以外の水痘、おたふくかぜ、B型肝炎及び成人の肺炎球菌感染症の四疾病については、国は、ワクチンの供給、予防接種の実施体制の確保及び必要となる財源の捻出方法等の検討を行った上で、関係者の理解を得るとともに、副反応も含めた予防接種施策に対する国民の理解を前提に、必要な措置を講じる必要がある。
 また、国は、ロタウイルス感染症についても、「予防接種制度の見直しについて」(平成二十四年五月二十三日付け厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会第二次提言)において科学的評価について言及されていること等を踏まえ、四疾病と同様に、必要な措置を講じる必要がある。
 さらに、新規のワクチンについては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律上の手続きを経て製造販売承認が行われた際には、国は、速やかに、当該ワクチンの法上の位置付けについて分科会等の意見を聴いた上で検討し、必要な措置を講じるよう努める。

三 定期の予防接種の接種率の向上
 感染症の発生及びまん延の予防の観点から、定期の予防接種について高い接種率が求められるため、国、市町村等の関係者は接種率の向上のための取組を進める。
 また、国は、接種率についての統一的な算出方法及び目標とすべきワクチンごとの接種率について、引き続き検討する。

四 新たなワクチンの開発
 国は、国民の健康保持並びに感染症の発生及びまん延の予防のため、医療ニーズ及び疾病負荷等を踏まえ、疫学情報を基に感染症対策に必要な新たなワクチンの研究開発の推進を図る。
 また、国内のワクチン生産基盤を確保するとともに、感染症対策に必要な新たなワクチンを世界に先駆けて開発するよう努める。

五 普及啓発の推進及び広報活動の充実
 国は、被接種者及びその保護者等に対し、感染症に関する情報、予防接種の効果、ワクチンの有効性及び安全性、副反応のリスク及び副反応を防止するための注意事項について、普及啓発の推進を図る。
 具体的には、リーフレット等の作成や報道機関と連携した広報等を積極的に行うことにより予防接種に対する国民の理解の醸成を図る。その際、関係者は、必要に応じて協力をするよう努める。
 また、国は、被接種者及びその保護者等にとって分かりやすい情報提供の在り方並びに普及啓発及び広報活動の有効性の検討もあわせて行う。

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第四 予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項

一 予防接種に要する費用
 予防接種に要する費用については、その多くが公費により負担されている。そのため、国、地方公共団体その他関係者が連携しながら、ワクチンに関する価格調査の実施、公平で透明性の高い価格決定プロセス及び接種に要する医学的管理の費用水準の検討等を行い、その結果について国民及び関係者に情報提供する取組が必要である。
 また、可能な限り少ない費用で望ましい効果が得られるよう、ワクチン価格の低廉化等に向けて関係者が努力することが必要である。

二 健康被害救済制度
 定期の予防接種は、感染症の発生及びまん延の予防のため、法に基づく公的な制度として実施している中で、極めてまれではあるが予防接種の副反応による健康被害が不可避的に発生するという特殊性に鑑み、国家補償の観点から、法的な救済措置として健康被害の救済を実施しているものである。
 健康被害救済制度については、引き続き客観的かつ中立的な審査を行うとともに、国、地方公共団体その他関係者は、国民にとって分かりやすい形で情報提供する必要がある。
 また、国民が予防接種に対して安心感を得られるよう、定期の予防接種の健康被害救済制度及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)が実施する健康被害救済制度について、制度の周知及び広報の充実に取り組む必要がある。

三 予防接種記録の整備
 市町村における予防接種記録の整備については、未接種の者を把握した上で接種勧奨を行うことによる定期の予防接種の接種率の向上及び予防接種歴の確認による接種事故の防止の点から効果的であるため、国は、予防接種台帳のデータ管理の普及及び活用の在り方について、個人情報保護の観点及び社会保障・税番号制度の導入に向けた状況も踏まえ、検討を進める必要がある。
 また、個人の予防接種歴の把握に当たっては、母子健康手帳の活用が重要である。そのため、母子健康手帳の意義を改めて周知し、成人後も本人が予防接種歴を確認できるよう、引き続きその活用を図ることが重要である。
 さらに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)の趣旨及び内容を踏まえ、国民一人一人が自分の個人情報をインターネット上で確認できる仕組みを通じ、接種スケジュールや予防接種歴の確認が可能となるよう、必要な準備を行う。

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第五 予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項

一 基本的考え方
 国は、国民の予防接種及びワクチンに関する理解と認識を前提として、「予防接種・ワクチンで防げる疾病は予防すること」という基本的な理念の下、ワクチンの研究開発を推進する。また、日本再興戦略(平成二十五年六月十四日閣議決定)を踏まえ、国内外の感染症対策に必要なワクチンを世界に先駆けて開発することを目指す。

二 開発優先度の高いワクチン
 これまで、細胞培養法による新型インフルエンザワクチンの開発、経鼻投与ワクチン等の新たな投与経路によるワクチンの開発及び新たなアジュバントの研究等、新たなワクチンの開発が進められている。一方、現在でも多くの感染症に対するワクチンが未開発又は海外では開発されているが国内では未開発であるといった状況がある。
 その中でも医療ニーズ及び疾病負荷等を踏まえると、開発優先度の高いワクチンは、麻しん・風しん混合(MR)ワクチンを含む混合ワクチン、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT―IPV)ワクチンを含む混合ワクチン、経鼻投与ワクチン等の改良されたインフルエンザワクチン、ノロウイルスワクチン、RSウイルスワクチン及び帯状疱疹ワクチンである。

三 研究開発を促進するための関係者による環境作り
 ワクチンの研究開発には、基礎研究から臨床研究まで幅広い知見が必要とされるものであり、国の関係機関、関係団体及びワクチン製造販売業者との間において十分かつ適切な連携が図られることが重要である。
 国立感染症研究所においては、ワクチン候補株の開発を始めとする基礎研究から臨床研究への橋渡し等を実施するとともに、新しい品質管理手法の開発と確立を行っているところである。また、独立行政法人医薬基盤研究所においても、新規ワクチンの創出に必要な基盤的技術の研究開発を行っている。さらに、関係機関との連携の下、国内の有望な基礎研究の成果を革新的新薬の創出につなげるための取組が実施されている。今後もこれらの研究開発を促進するための取組が継続されることが期待される。
 国は、以下の事項について、引き続き検討する必要がある。

  1. (1)ワクチンの需給の見通しに関する情報提供
     ワクチンは、研究開発の段階では将来の需給の見通しを立てにくいものである。そのため、国は、ワクチン製造販売業者に対し、将来の需給の見通しの助けとなるよう、広く接種の機会を提供するための仕組みに関し、国内外での疾病負荷並びに海外でのワクチンの開発及び導入の状況等を踏まえ検討した内容等について適時に情報提供することが必要である。
  2. (2)感染症対策の目標設定
     ワクチン製造販売業者が感染症に対する新たなワクチンの研究開発に着手するか否かの重要な判断材料となるため、国は、特定の感染症について目標を設定し、排除・撲滅を計画的に推進する必要がある。
  3. (3)感染症の疫学情報の整備
     国は、研究開発の基盤となる感染症の疫学情報及びワクチンごとに必要な疫学情報を整備するために、地方公共団体、医療機関、国立感染症研究所、保健所及び地方衛生研究所との連携強化に努める必要がある。
  4. (4)小児の治験を実施する環境の整備
     予防接種の対象者には小児が多いため、国は、小児の被験者の確保等、治験が円滑に実施できる体制を整備するよう努める必要がある。
  5. (5)ワクチンの基礎研究並びに実用化に向けた支援及び産学官の協力
     新たなワクチンを開発するためには、基礎研究に対する支援及び基礎研究の成果を企業の臨床開発研究へと橋渡しすることが重要である。また、ワクチンの実用化を円滑に行えるよう、大学、企業、研究機関等の共同研究を推進する必要がある。

四 ワクチンの生産体制及び流通体制
 ワクチンの生産体制については、危機管理の観点から、国は、パンデミックが発生し世界的に供給が不足するおそれがあるワクチンを国内で製造できる生産体制を整備する必要がある。
 その他のワクチンについても、危機管理の観点から、国内で製造できる生産体制を確保する必要はあるものの、費用対効果の観点から、基本的には国内外問わずより良いワクチンがより低価格で供給されることが望ましい。また、安定供給及び価格競争の観点から同種のワクチンが複数のワクチン製造販売業者により供給されることが望ましい。
 ワクチンの流通体制については、一般的にワクチン製造販売業者から販売業者及び卸売販売業者を介して医療機関へ納入されている。また、一部の市町村では、卸売販売業者から定期の予防接種に使用するワクチンを一括購入し、医療機関へ納入する事例も存在する。
 一方、新型インフルエンザの発生時等の緊急時には、ワクチンの供給不足が想定され、需給状況を把握しながら、迅速かつ的確な需給調整を行うことが求められるため、国、都道府県及び市町村は、行政の関与を前提とした流通体制を整備する必要がある。
 また、感染症の流行時等、一時的にワクチンの需給が逼迫した場合は、ワクチンは一般的に製造開始から出荷までに要する期間が長く、需要の変動に合わせて短期間で生産調整することが困難であるため、国、都道府県及び市町村の関与が不可欠である。このため、例えば、国がワクチン製造販売業者とワクチンの生産に関する調整を行い、前倒し出荷、在庫状況及び出荷計画の情報提供を行うことや、国、都道府県及び市町村が医師会及び卸売販売業者等関係者と連携して、ワクチンが偏在しないよう取り組むことを通じ、ワクチンの安定供給に努める必要がある。

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第六 予防接種の有効性及び安全性の向上に関する施策を推進するための基本的事項

一 基本的考え方
 国は、科学的根拠に基づくデータを可能な限り収集し、感染症発生動向調査による疾病の発生状況及び重篤度の評価、感染症流行予測調査による抗体保有状況の調査並びにワクチンの国家検定による適正管理等を通じて、予防接種の有効性及び安全性の向上を図る。

二 副反応報告制度
 定期の予防接種の副反応報告については、予防接種法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八号)及び「定期の予防接種による副反応の報告等の取扱いについて」(平成二十五年三月三十日付け健発〇三三〇第三号・薬食発〇三三〇第一号厚生労働省健康局長及び医薬食品局長連名通知)により、診断した医師等からの報告の義務化及び保護者からの報告制度の周知等の取組が強化されたが、同制度の定着及び浸透に向けて、国は、都道府県、市町村、医師会及び関係学会等の協力の下に一層の取組を行う。
 また、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく副作用報告とあわせて定期的に評価、検討及び公表する仕組みを充実させるとともに、特に死亡、重篤な副反応及び副反応の異常集積が報告された場合は必要に応じて都道府県、市町村及び地方衛生研究所の協力を得つつ、国立感染症研究所において必要な検査及び調査を行うとともに、PMDAにおいて必要な調査を行う等、副反応報告制度の着実な実施を図る。
 あわせて、PMDAにおける副反応報告の調査及び整理について迅速に処理できるよう支援する。
 さらに、国は、副反応報告制度の精度向上並びに副反応報告の効率的な収集及び分析を行うため、集計及び報告方法について、報告書の電子化等の検討を進める必要がある。

三  科学的データの収集及び解析
 既定の定期の予防接種のワクチンの評価及び新たなワクチンの導入の検討を行う場合、ワクチン接種の有効性及び安全性に関する科学的データを随時評価することが重要であり、国は、感染症患者、病原体及び抗体保有状況等の情報に関し、感染症発生動向調査及び感染症流行予測調査等により、収集及び解析をした上で検討を重ねることが重要である。
 具体的な取組として、接種率を把握するため、定期の予防接種の対象者のうち実際に定期の予防接種を受けた者の割合に関するデータベースを整理するとともに、副反応として報告される症状の自然発生率を把握するため、国が保有するレセプトデータ並びにその他各種調査及び統計の活用を図るよう努める。
 また、感染症流行予測調査及び予防接種後の健康状況調査の実施を通じ、ワクチン導入後の当該ワクチンの有効性及び安全性の評価並びに起因病原体の動向の把握に努めるとともに、これらの調査で得られた情報について、様々な手法で総合的に評価する仕組みについて検討する必要がある。
 こうした取組の推進には、地方公共団体、医療機関、国立感染症研究所、保健所及び地方衛生研究所の協力が重要であることから、これらの連携体制の強化に努める必要がある。

四 予防接種関係者の資質向上
 医療従事者は、被接種者及びその保護者に対して予防接種の効果及び副反応に関する丁寧な説明を行うこと、特に接種医は基礎疾患を有する者等に対する慎重な予診を行うことが重要である。
 一方、近年、接種ワクチンの種類及び回数が増加していることに伴い、接種スケジュール等が複雑化しており、接種事故への懸念及びワクチンの最新知見を習得する必要性が高まっていることを踏まえ、厚生労働省は、文部科学省、都道府県及び市町村、医師会等の関係団体並びに関係学会等と連携し、医療従事者を対象とした予防接種に関する継続的な教育、研修の充実を図る。

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第七 予防接種に関する国際的な連携に関する事項

一 基本的考え方
 予防接種を取り巻く環境は国内外とも急速に変化しており、国は、世界保健機関、その他の国際機関及び海外の予防接種に関する情報を有する国内機関との連携を強化して情報収集及び情報交換を積極的に行う。また、諸外国における予防接種制度の動向及び最先端の研究開発の把握に努めるよう、取組の強化を図る必要がある。

二 日本の国際化に向けた対応
 我が国の国際化の進展に伴い、国は、海外に渡航する者及び帰国する者への対応として、海外の予防接種に関する情報の提供及び海外で予防接種を受けた者の取扱いに関する検討を行うとともに、増加する在日外国人への対応として、接種スケジュール及び接種記録に関する情報の複数の言語による提供等について検討を進める必要がある。
 また、海外渡航者が予防接種を受けやすい環境の整備について検討する必要がある。

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第八 その他予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する重要事項

一 同時接種、接種間隔等の検討
 定期の予防接種に位置付けられるワクチンが増え、新たなワクチンも研究開発されている中、より効果的かつ効率的な予防接種を推進するため、現在、学会等で議論されている同時接種、接種間隔、接種時期及び接種部位に関して、国が一定の方向性を示すため、学会等の関係機関と意見交換するとともに分科会等で検討する必要がある。

二 関係部局間における連携
 予防接種施策の推進に当たり、医療関係者及び衛生部局以外の分野、具体的には都道府県労働局等との連携及び協力が重要であり、その強化に努める必要がある。
 また、児童及び生徒に対する予防接種施策の推進に当たっては、学校保健との連携が不可欠であり、厚生労働省及び都道府県・市町村衛生部局は、文部科学省及び都道府県・市町村教育委員会等の文教部局との連携を進め、例えば、必要に応じて学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十一条に規定する就学時の健康診断及び第十三条第一項に規定する児童生徒等の健康診断の機会を利用して、予防接種に関する情報の周知を依頼する等、予防接種施策の推進に資する取組に努める必要がある。ああ



改正文(平成二十六年一一月二一日厚生労働省告示第四三九号)抄
薬事法等の一部を改正する法律の施行の日(平成二十六年十一月二十五日)から適用する。

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