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平成27年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

   

平成28年9月8日

医薬・生活衛生局  生活衛生・食品安全部

道野  監視安全課長

担当:藤井・岡本(4241・4242)

 

 

 

平成27年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

 我が国の平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量の推計や個別食品における汚染実態を把握するため、従来、国立医薬品食品衛生研究所を中心に調査を行い、その結果を公表してきました。今般、平成27年度の調査結果が取りまとめられましたので、お知らせします。

 平成27年度調査における食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、 0.64 pg TEQ/kg bw/ 0.23 1.67 pg TEQ/kg bw/ 日)と推定され、日本における耐容一日摂取量(TDI 4 pg TEQ/kg bw/日より低いものでした。一部の食品を過度に摂取するのではなく、バランスの取れた食生活が重要であることが考えられます。

 

注 本調査は、厚生労働科学研究費補助金( 食品の安全確保推進研究事業 )「食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究」(研究代表者:渡邉敬浩 国立医薬品食品衛生研究所 食品部第三室長)により実施されたものです。

平成27年度 食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究(概要)

1 目的

 ダイオキシン類は焼却炉や産業廃棄物の野焼き等で生成されたり、過去に使用されたポリ塩化ビフェニル等に由来するものであること等が知られている。人は主に食品を通じてダイオキシン類を摂取することが知られており、動物体内では脂肪に蓄積しやすく排泄されにくいこと、また、急性毒性の他に発がん性、催奇形性、免疫毒性の疑いがあり、内分泌攪乱作用により生殖障害を起こすおそれもあるなど、人体への影響が懸念されている。

 本調査においては、平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量を推定するとともに、ダイオキシン類の主要な摂取源と考えられる食品や乳幼児が食するベビーフードを対象に個別食品のダイオキシン類の汚染実態を把握する。

2 方法

(1) ダイオキシン類一日摂取量調査 (トータルダイエットスタディ)

 全国7地域8機関で、購入した食品を平成2022年度国民健康・栄養調査の地域別食品摂取量(1歳以上)を踏まえて調製を行い、13群に大別して、混合し均一化したもの及び飲料水(合計14食品群)注1を試料として ダイオキシン類注2を分析し、国民の平均的な食生活におけるダイオキシン類の一日摂取量注3を算出した。

(2) 個別食品のダイオキシン類の汚染実態調査

    国内で流通していた個別食品について、(1)と同様にダイオキシン類を分析した。

3 結果の概要

(1) ダイオキシン類一日摂取量調査 (トータルダイエットスタディ)

 食品からのダイオキシン類の国民平均一日摂取量は、0.64 pg TEQ/kg bw/日(0.231.67 pg TEQ/kg bw/) 注4と推定され、平成27年度の結果は前年度よりやや低い値であった。摂取量推定値の最大値(1.67 pg TEQ/kg bw/日)の場合でも、日本における耐容一日摂取量(TDI4 pg TEQ/kg bw/日)より低く、その40%程度であった。


<図 ダイオキシン類一日摂取量の全国平均年次推移>

(2) 個別食品のダイオキシン類の汚染実態調査

 食肉(30試料)、卵(6試料)及び市販のベビーフード(42試料)を調査した結果、それぞれ00.47 pg TEQ/g(中央値0.012 pg TEQ/g)、0.00480.036 pg TEQ/g(中央値0.017 pg TEQ/g)、00.0016 pg TEQ/g(中央値0.000023 pg TEQ/g)であった。

 これらのうち最もダイオキシン類濃度が高かった食品は牛肉であり、そのダイオキシン類濃度は0.000360.44 pg TEQ/g(中央値0.21 pg TEQ/g)であった。

 また、市販のベビーフードのうち一食あたりのダイオキシン類摂取量が最も多かった試料について、仮に一日三食同じものを食するとした場合のダイオキシン類摂取量を推定したところ、TDIの約1.2%であった。

 

 以上より、ダイオキシン類摂取量は経年的に減少傾向にあるが、過去の調査結果において一部の魚介類等からは依然として比較的高い濃度が検出されており、今後も調査を継続し動向を見守る必要があると考えられる。

 

 <表  平成27年度個別食品中のダイオキシン類の濃度

食品

試料数

ダイオキシン類濃度(pg TEQ/g

平均値

中央値

最小値〜最大値

食肉

牛肉

5

0.19

0.21

0.00036 0.44

豚肉

5

0.0026

0.00046

0.000035 0.0083

鶏肉

5

0.097

0.0017

0 0.47

羊肉(レバー含む。)

5

0.048

0.028

0.000050 0.13

馬肉

5

0.041

0.046

0.011 0.072

フォアグラ

5

0.015

0.016

0.0030 0.024

鶏卵

6

0.018

0.017

0.0048 0.036

ベビーフード

42

0.00011

0.000023

0 0.0016


注1 ダイオキシン類摂取量への寄与が大きい食品群(10群(魚介類)及び11群(肉類、卵類))について3セットずつ試料を調製し、それ以外の群は1セットの試料を調製した。

注2 世界保健機構(WHO)により毒性等価係数が定められているポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)10種及びコプラナーPCBs (Co-PCBs)12種の合計29種。

注3 算出にあたり、毒性等価係数は WHO 2005 TEF を用いた。

注4 日本人の平均体重を50 kgと仮定して換算。


 

【用語説明】

・ダイオキシン類:

ダイオキシン及びコプラナーPCBs

 

・ダイオキシン:

ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(Polychlorinated dibenzo- p -dioxinsPCDDs

ポリ塩化ジベンゾフラン(Polychlorinated dibenzofuransPCDFs

 

・コプラナーPCBsCoplanar polychlorinated biphenylsCo-PCBs):

PCDDs 及びPCDFsと類似した生理作用を示す一群のポリ塩化ビフェニル(PCB)類

 

・トータルダイエットスタディ:

人が通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。トータルダイエットスタディには、「マーケットバスケット方式」と「陰膳方式」の2種類あり、本調査では「マーケットバスケット方式」を採用している。

 

・マーケットバスケット方式 

広範囲の食品を小売店等で購入し、必要に応じて摂食する状態に加工・調理した後に分析し、食品群ごとの 化学物質等の特定の物質 の平均含有濃度を算出する。これに、特定の集団(例えばすべての日本人)におけるこの食品群の平均的な消費量を乗じることにより、食品群ごとに 特定の物質 の平均的な摂取量を推定する。この結果を全食品群について足し合わせることにより、この集団の 特定の物質 の平均的な摂取量を推定する。

 

TEFToxic Equivalency Factor/毒性等価係数):

ダイオキシン類は異性体により毒性の強さがそれぞれ異なっており、ダイオキシン類として全体の毒性を評価するためには、合計した影響を考えるための手段が必要であることから、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として他のダイオキシン類の毒性の強さを換算するための係数のこと。なお、今回は2005年にWHOで再評価されたTEFを用いている。

 

TEQ Toxic Equivalent 毒性等量):

ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる異性体の混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシン類の量は、各異性体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量として表す。

 

TDITolerable Daily Intake/耐容一日摂取量):

長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。

ダイオキシン類のTDIについては、19996月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4 pg TEQ/kg bw/日(1日、体重1 kg当たり、4 pg TEQの意味。体重50 kgの人であれば、4 pg TEQ×50 kgで計算し、TDI200 pg TEQとなる。)とされている。

 

平成27年度 食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究 分担研究報告書

塩素化ダイオキシン類のトータルダイエット調査

                        研究代表者  渡邉敬浩  国立医薬品食品衛生研究所食品部

                        研究分担者  堤 智昭       国立医薬品食品衛生研究所食品部 

研究要旨

マーケットバスケット方式によるトータルダイエット (TD) 試料を用いて、ダイオキシン類 (PCDD/PCDFs 及び Co-PCBs) の国民平均一日摂取量を求めた。国民健康 · 栄養調査による地域別の国民平均食品摂取量に基づいて食品を購入し、飲料水を含め 14 群から成る TD 試料を全国 7 地区 8 機関で調製した。ダイオキシン類濃度が高い食品を含む第 10 ( 魚介類 ) 及び 11 ( · 卵類 ) については、各機関がそれぞれ各 3 セットの試料を調製し、その他の食品群は各 1 セットの試料を調製した。 10 及び 11 群については試料毎にダイオキシン類を分析し、その他の群は全地区の試料を混合して分析し、ダイオキシン類の一日摂取量を求めた。その結果、ダイオキシン類の国民平均一日摂取量は 0.64 ( 範囲 :0.23 1.67)pg TEQ/kg bw/day と推定された。 10 ( 魚介類 ) からのダイオキシン類摂取が全体の約 9 割を占めていた。摂取量推定値の平均は、日本の耐容一日摂取量 (4 pg TEQ/kg bw/day) の約 16% であった。摂取量推定値の最大は 1.67 pg TEQ/kg bw/day であり、平均値の約 2.6 倍となり耐容一日摂取量の 42% 程度に相当した。同一機関であっても推定される摂取量に 1.4 3.7 倍の開きがあり、 10 群に含まれている魚介類のダイオキシン類濃度が大きな影響を与えた。

個別食品中の塩素化ダイオキシン類の実態調査

                        研究代表者  渡邉敬浩  国立医薬品食品衛生研究所食品部

                        研究分担者  堤 智昭       国立医薬品食品衛生研究所食品部

研究要旨

食肉及び卵について、ダイオキシン類濃度の調査を行った。食肉 30 試料 ( 牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉 ( レバー含む ) 、馬肉、フォアグラについて各 5 試料 ) を調査した結果、ダイオキシン類濃度は 0〜0.47 pg TEQ/g( 中央値 0.012 pg TEQ/g) の範囲であった。鶏卵 6 試料を調査した結果、ダイオキシン類濃度は 0.0048〜0.036 pg TEQ/g( 中央値 0.017 pg TEQ/g) の範囲であった。

また、市販のベビーフードについて、ダイオキシン類濃度の調査を行った。市販のベビーフード (42 試料 ) を調査した結果、ダイオキシン類濃度は 0〜0.0016 pg TEQ/g( 中央値 0.000023 pgTEQ/g) の範囲であった。ダイオキシン類摂取量が最も多かったベビーフードから摂取するダイオキシン類の TDI に占める割合は、仮に一日三食同じものを食したとしても最大で 1.2% 程度であった。

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