平成11年労働争議統計調査結果概要

1 平成11年の労働争議の概況


(1)  平成11年の労働争議は、総争議件数1,102件、総参加人員113万4千人で、前年に比べ、件数は62件(5.3%)減、総参加人員は5万2千人(4.4%)減となった。
 このうち、争議行為を伴う争議は件数419件、行為参加人員10万6千人、労働損失日数8万7千日で前年に比べ、件数は107件(20.3%)減、行為参加人員は5万9千人(35.8%)減、労働損失日数は1万4千日(14.2%)減となった(第1表第1図第2図)。

(2)  争議行為を伴う争議を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」は件数152件、行為参加人員2万6千人、労働損失日数8万4千日で、前年に比べ、件数は7件(4.8%)増、行為参加人員は1千人(2.4%)減、労働損失日数は1万4千日(14.4%)減となった。
 また、「半日未満の同盟罷業」は件数301件、行為参加人員8万3千人で、前年に比べ、 件数は140件(31.7%)減、行為参加人員は5万9千人(41.5%)減となった(第2表第3図第4図)。 

(3)  労働組合員1,000人当たりの争議行為を伴う争議の行為参加人員及び労働損失日数をみると、行為参加人員は9.0人(前年13.7人)、労働損失日数は7.4日(同8.4日)で、前年に比べ、行為参加人員、労働損失日数ともに減少した。
 「争議行為を伴う争議(半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖のみ。)」における行為参加人員1人当たりの労働損失日数は3.4日で、前年の3.9日を下回った(第3表)。

2 春季賃上げ争議の状況


(1)  平成11年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう。)の総争議件数は173件、総参加人員は34万6千人で、前年に比べ、総争議件数は8件(4.4%)減、総参加人員は3万2千人(8.5%)減となった。
 このうち、 争議行為を伴う争議件数143件、行為参加人員4万9千人で、前年に比べ、件数は8件(5.9%)増、行為参加人員 は4千人(6.9%)減となった。
 争議行為を伴う争議のうち、「半日以上の同盟罷業」は、件数80件、行為参加人員1万9千人、労働損失日数6万6千日で、前年(63件、1万人、1万7千日)に比べ件数、行為参加人員及び労働損失日数とも増加となった。
 また、「半日未満の同盟罷業」の件数は79件、行為参加人員は3万2千人で、前年(107件、4万4千人)に比べ、件数、行為参加人員はともに減少した(第4表)。

(2)  春季賃上げ争議の年間争議に占める割合をみると、総争議は件数で15.7%、総参加人員で30.5%となっている。
 また、争議行為を伴う争議の年間争議に占める割合をみると、件数で34.1%、行為参加人員で46.1%となっている。
 このうち、「半日以上の同盟罷業」は件数で52.6%、行為参加人員で72.6%、労働損失日数で78.5%、「半日未満の同盟罷業」は件数で26.2%、行為参加人員で38.4%となっている(第5表)。



3 産業別の状況


(1)  争議行為を伴う争議を産業別にみると、件数は、製造業、公務が、行為参加人員は、運輸・通信業、サービス業及び公務が、労働損失日数は、運輸・通信業が高い割合を占めている。
 このうち「半日以上の同盟罷業」について前年と比べると、製造業は件数に占める割合が低くなり、サービス業は件数に占める割合が高くなった(第6表)。

(2)  労働組合員1,000人当たりの行為参加人員及び労働損失日数を産業別にみると、行為参加人員では公務の24.8人、労働損失日数では運輸・通信業の44.2日が、他の産業に比べて多い。
 前年に比べると、公務の行為参加人員の減少が目立っている(第7表)。



4 民営の企業規模別の状況


(1)  民営企業における争議行為を伴う争議をみると、企業数は744企業、行為参加人員は7万人、労働損失日数は8万7千日で、前年に比べ、企業数は340企業(対前年比31.4%)減、行為参加人員は1万8千人(20.0%)減、労働損失日数は1万4千日(14.2%)減となった。
 企業規模別にみると、企業数では規模の小さい企業、行為参加人員及び労働損失日数では規模の大きい企業の占める割合が高くなっている(第8表第9表)。

(2)  民営企業における争議行為を伴う争議について、労働組合員1,000人当たりの行為参加人員は7.6人、労働損失日数は9.5日で、前年に比べ、行為参加人員は1.7人減、労働損失日数は1.2日減とともに減少となった(第10表)。



5 加盟主要団体別の状況



 争議行為を伴う争議を加盟主要団体別にみると、件数、行為参加人員、労働損失日数は、連合では各々209件、4万8千人、1万6千日、全労連では各々120件、3万9千人、8千日、全労協では各々28件、1千人、0千日等となっている(第11表)。



6 主要要求事項別の状況



 総争議を主要要求事項別にみると、「賃金増額」が385件(全体の34.9%)と最も多く、次いで、「臨時給与金」が212件(同19.2%)、「解雇反対・被解雇者の復職」が208件(同18.9%)、「組合保障及び組合活動」が152件(同13.8%)等となっている。
 前年に比べ、「解雇反対・被解雇者の復職」の増加が目立っている。
 また、「賃金及び手当」関係の632件は全体の57.4%と、依然高い水準にある(第12表)。



7 労働争議の解決状況


(1)  平成11年の労働争議1,102件のうち、11年中に解決又は解決扱いとなった件数は935件(労働争議全体の84.8%)で、解決を翌年へ繰り越した件数は167件(同15.2%)であった。
 解決方法別にみると「労使直接交渉」が270件(解決件数の28.9%)、「第三者関与」が384件(同41.1%)、「その他(解決扱い)」が281件(同30.1%)となっている。
 なお、「第三者関与」により解決したものをみると、「労働委員会のあっせん」によるものが360件で最も多く、「第三者関与」により解決したものの9割強を占めている(第13表)。

(2) 労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう。)別にみると、「31日以上」で解決した労働争議が484件(解決件数の51.8%)と最も多く、次いで「5日以下」、「11〜30日」、「6〜10日」の順となっている。
 前年に比べると、「31日以上」で解決したものが増加した。
 主要要求事項別にみると、「組合保障及び労働協約」、「賃金及び手当」、「賃金以外の労働条件」、「経営及び人事」の各関係は、「31日以上」が最も高い割合を占めている(第14表)。




ホームページへ | 統計情報へ