〔事業所調査〕

 労使コミュニケーション全般に関する事項
(1) 労使コミュニケーションの重要度
 労使コミュニケーションの重要度別事業所割合をみると、「重要」と考えているが88.8%、「どちらともいえない」10.4%、「重要ではない」0.9%となっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「なし」の事業所に比べ、労働組合「あり」の事業所で「重要」と考えている割合が高くなっている(第1表)。

(2) 労使間の意思疎通についての評価
 労使間の意思疎通の評価をみると、「非常に良い」と「やや良い」を合わせた『良好』とする事業所割合は61.6%、「どちらともいえない」は31.6%、「やや悪い」と「非常に悪い」を合わせた『悪い』は6.7%となっている(第2表)。

(3) 重視する意思疎通事項
 事業所において従業員との円滑なコミュニケーションを実現する上で、どういう面での意思疎通を重視するかをみると、「職場の人間関係」とする割合は66.4%、「日常業務改善」63.1%、「作業環境改善」50.4%となっている。
 労働組合の有無別では、「賃金、労働時間等労働条件」、「経営情報・計画、組織変更、新商品・サービス開発」は、労働組合「なし」の事業所に比べ、労働組合「あり」の事業所で重視する割合が高くなっている(第4図)。

(4) 経営状況や経営計画・方針等の周知方法
 経営状況や経営計画・方針等を従業員に「周知している」事業所の割合は96.8%となっている。
 周知している事業所について周知方法についてみると、「従業員全員の集まる場(朝礼等)で説明 する」の割合が68.6%、「一定の役職者に説明する」64.6%となっている。
 企業規模別では、概ね規模が大きいほど、「社内報や掲示板等で伝える」、「労使協議機関、従業員組合等の既存の常設機関で説明する」とする事業所の割合が高くなっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「あり」の事業所において、「労使協議機関、従業員組合等の既存の常設機関で説明する」、「社内報や掲示板等で伝える」の割合が高くなっている(第3表)。

(5) 労働条件の個別的決定状況
 過去5年間における労働条件の個別的決定(従業員個人が使用者側と、直接、目標管理等について話し合って、賃金などの労働条件を決めていくやりかた)の対象となる労働者の割合をみると、「増加した」とする事業所割合が12.8%、「ほぼ変わらない」51.8%、「減少した」7.4%となっている(第4表)。

 労使協議機関に関する事項
(1) 労使協議機関の有無、設置の根拠
 労使協議機関が「あり」とする事業所割合は37.3%となっており、企業規模が大きいほど労使協議機関の設置割合は高くなっている。
 設置の根拠は、「労働協約」60.4%、「就業規則」24.0%となっている(第5表)。

(2) 専門委員会の種類
 労使協議機関「あり」とする事業所(37.3%)のうち、労使協議機関の下部組織として専門委員会がある事業所(65.3%)について、専門委員会の種類をみると「安全衛生委員会」とする割合が87.3%と最も高く、「休日・労働時間委員会」27.0%、「福利・厚生委員会」24.3%となっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「あり」、「なし」に関わらず、「安全衛生委員会」の設置割合が高いが、他の委員会の設置割合は、労働組合「なし」の事業所に比べ、労働組合「あり」の事業所が概ね高くなっている(第5図)。

(3) 労使協議機関(専門委員会を除く)の開催形態
 労使協議機関(専門委員会を除く)の開催形態をみると、「定期及び必要のつど開催」とする事業所割合が34.0%、「定期開催」33.3%、「必要のつど開催」32.7%となっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「あり」の事業所において、「定期開催」と「定期及び必要のつど開催の割合が高くなっている(第6表)。

(4) 従業員代表の選出方法
 労使協議機関の従業員代表の選出方法をみると「労働組合の代表者」とする事業所割合が57.9%、「従業員で互選された者(労働組合員も含む)」40.0%、「使用者が指名した者」が11.4%となっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「あり」の事業所では「労働組合の代表者」が78.9%、労働組合「なし」の事業所では「従業員で互選された者(労働組合員も含む)」が72.8%と高くなっている(第7表)。

(5) 付議事項とその取扱い
 労使協議機関に付議する事項は、「労働時間・休日・休暇」とする事業所割合が92.6%、「勤務態様の変更」88.3%、「職場の安全衛生」88.2%、「福利厚生」87.4%、「賃金・一時金」86.3%となっている。
 付議事項とする場合の取扱いは、「説明報告」と「協議」の割合が比較的高く、特に「説明報告」では、経営の基本方針が54.9%、生産・販売等の基本計画45.1%、会社組織機構の新設改廃42.8%となっている。「協議」では、職場の安全衛生が52.9%、労働時間・休日・休暇47.5%、勤務態様の変更43.9%となっている(第6図)。

(6) 過去1年間における労使協議機関の成果及び成果内容
 過去1年間における労使協議機関について、成果があったかどうかをみると、「成果があった」とする事業所割合が61.3%、「成果がなかった」3.3%、「どちらともいえない」35.4%となっている。
 労働組合の有無別では、労働組合「あり」の事業所では「成果があった」が63.9%となっており、労働組合「なし」の事業所の54.1%に比べ高くなっている(第8表)。

 「成果があった」とする事業所について、成果の内容別にみると「労働組合との意思の疎通が良くなった」が53.2%、「労働環境の整備に役立った」48.9%となっている(第7図)。

 職場懇談会に関する事項
(1) 職場懇談会の有無
 職場懇談会が「あり」とする事業所割合は49.8%となっている。
 企業規模別では、概ね規模が大きいほど、職場懇談会「あり」の割合が高くなっている(第9表)。

(2) 過去1年間に話し合われた事項
 職場懇談会で過去1年間に話し合われた主な事項についてみると、「日常業務の運営に関すること」とする事業所割合が86.5%、「安全衛生に関すること」64.0%となっている(第10表)。

(3) 過去1年間における職場懇談会の成果及び成果内容
 過去1年間における職場懇談会について、成果があったかどうかをみると、「成果があった」とする事業所割合が69.4%、「成果がなかった」2.3%、「どちらともいえない」28.3%となっている(第11表)。

 「成果があった」とする事業所について、成果の内容別にみると、「業務運営が円滑になった」とする割合が65.1%、「職場環境が改善された」60.7%、「職場の人間関係が円滑になった」59.5%となっている(第8図)。

 苦情処理に関する事項
(1) 苦情処理全般について
 苦情処理制度の必要性の有無についてみると、「必要である」とする事業所割合が84.2%、「必要ではない」15.8%となっている。企業規模別では、概ね規模が大きいほど、「必要である」とする事業所の割合が高くなっている(第12表)。

 苦情処理はどのような場、方法で行われるべきかをみると、「上司が相談にのる」とする事業所割合が66.9%、「人事担当者との話し合い」40.3%となっている(第9図)。

(2) 苦情処理機関の有無
 苦情処理機関が「あり」とする事業所割合は23.2%となっている。
 企業規模別では、規模が大きいほど苦情処理機関「あり」とする事業所の割合が高くなっている(第13表)。

(3) 過去1年間の苦情内容
 過去1年間に苦情処理機関への苦情申し立て「あり」の事業所(44.3%)について、どのような苦情が申し立てられたかをみると、「日常業務の運営等に関すること」とする割合が61.4%、「賃金、労働時間等労働条件に関すること」47.5%、「人間関係に関すること」46.7%と高くなっている(第10図)。

(4) 苦情処理の解決状況
 苦情処理機関での苦情処理の解決状況をみると、「話を聞いて納得したものが多い」としている事業所割合が47. 4%、「実際に救済・解決に至ったものが多い」44.0%、「解決されない苦情が多い」3.4%と なっている(第11図)。

(5) 苦情処理機関に最も期待する役割
 苦情処理機関「あり」の事業所において、苦情処理機関に最も期待する役割をみると、「労使間の意思の疎通に役立つ」及び「労働者の職場への信頼度が増す」とする割合がそれぞれ28.6%となっている(第14表)。

 その他の労使コミュニケーション手段に関する事項
(1) その他の労使コミュニケーション手段についてその制度等の状況をみると、「人事担当者による巡回、個人面談」があるとする事業所割合が45.6%、「社内報」44.4%、「提案制度(投書箱・目安箱)」43.4%となっている(第12図)。

(2) 円滑なコミュニケーションを実現するため、今後重視する手段をみると、「職場懇談会」とする事業所割合が57.2%、「自己申告制度」37.8%、「人事担当者による巡回、個人面談」36.3%、「従業員意識調査」34.8%となっている(第13図)。

トップへ