人事・労務管理者のみなさま

社会保険適用拡大
経営陣や幹部への説明のポイント

経営陣や幹部への説明・報告・承認に向けて
このページに掲載している資料イメージ、各種シミュレーター、
パンフレット・チラシなどを活用し説明準備を進めましょう。

経営陣や幹部への説明資料

経営陣や幹部への説明時に活用する
資料イメージ

※企業の状況に応じて説明の順番や項目について検討ください。
適用拡大を経営陣や幹部に説明するときは、「企業等におけるメリット」を伝えることも有効です。

①法律改正の要点
  • 「社会保険適用拡大のこんなとき!どうする?手引き」、「社会保険適用拡大ガイドブック」を活用し、法律改正の要点を伝えましょう。
  • 社会保険労務士から社会保険適用拡大に関する案内があったときには、その案内を活用することも考えられます
  • 詳細な手続方法は日本年金機構のホームページをご覧下さい。
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②人件費について
  • 人件費や給与を計算するうえで使用している人件費・給与計算ツールや表計算ツール(Excel等)を使った試算を行いましょう。 対象となる従業員が、仮に全員社会保険へ加入した場合の企業等側の人件費の負担額について、シミュレーションしてみることがポイントです。
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③従業員の負担について
  • 人件費や給与を計算するうえで使用している人件費・給与計算ツールや表計算ツール(Excel等)などを活用し、対象となる従業員の社会保険料の負担額などについて、シミュレーションすることも検討してみましょう。
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④利用可能な国の制度
(キャリアアップ助成金・
専門家活用支援事業等)

適用拡大に際して企業等で活用いただける国の助成金や事業があります。
下記の内容を確認いただき、活用について検討してください。

キャリアアップ助成金
(社会保険適用時処遇改善コース)

2023年10月から、年収の壁(106万円)対策として、対象となる従業員を社会保険に新たに加入させるとともに、手取りが減らないように手当を支給するなど収入を増加させた場合に従業員1人あたり最大50万円が助成されます。

1手当等支給メニュー

要件
1人当たり
助成額
1
賃金の15%以上を追加支給
(社会保険適用促進手当など)

1年目
20万円

2
賃金の15%以上を追加支給
(社会保険適用促進手当など)
3年目以降、➂の取組

2年目
20万円

3
賃金の18%以上を増額

3年目
10万円

2労働時間延長メニュー

要件
1人当たり
助成額
週所定労働時間の延長
賃金の増額
4時間以上
30万円 ア~エの
いずれかの
要件を
満たした場合
3時間以上
4時間未満
5%
以上
2時間以上
3時間未満
10%
以上
1時間以上
2時間未満
15%
以上
  • 助成額は中小企業の場合。大企業の場合は3/4の額。
  • 1年目に「手当等支給メニュー ①」の取組による助成(20万円)を受けた後、2年目に「労働時間延長メニュー」の取組による助成(30万円)を受けることが可能。

申請や対象となる従業員の詳細は、以下からご確認ください。

好事例紹介

キャリアアップ助成金
活用方法例

事例 B社

従業員501人以上 / 飲食 / 東京

助成金活用を契機に、
社会保険料分を手当として支給。
社会保険加入者が増加

  • キャリアアップ助成金の新コース開始を契機として、社会保険料をカバーする手当を創設し、就業調整を行っている従業員を中心に、店舗マネジャーとの個別面談を実施。
  • 面談の際に、社会保険加入のメリット・デメリットをわかりやすく伝えたほか、「手当支給を活用して加入」「勤務時間を延長して加入」「来年から加入」等、従業員のライフスタイルに応じた選択肢を提示。また、家庭でも相談しやすい資料も作成。その結果、就業調整を行わず社会保険に加入することを希望する従業員が増加。
  • 上記取組により、2024年1月時点、①手当等支給メニュー活用者が約500名、②労働時間延長メニュー活用者が約700名の見込みとなっており、労働力確保につながっている。

専門家活用支援事業

事業主や事業者団体からの依頼により、適用拡大に関する事業主・従業員の方向けの説明会や、従業員の相談に専門家(社会保険労務士等)を無料で派遣します。ご利用の流れは以下の4STEPです。まずは管轄の年金事務所へお電話ください。
※顧問契約等を結んでいる社会保険労務士がいる場合は、当該社会保険労務士にご相談ください。

<利用の流れ>

  1. STEP1
    管轄の
    年金事務所へ電話

    管轄の年金事務所へお話ください。派遣依頼届の提出など、ご利用の流れをご説明します。

  2. STEP2
    派遣依頼届
    の提出

    「専門家派遣依頼届」を管轄の年金事務所へご提出ください。

  3. STEP3
    都道府県代表の
    年金事務所と
    日程・内容等の調整

    都道府県代表の年金事務所から日程等をご連絡します。日程や内容等の細かい調整もこの時点で行います。

  4. STEP4
    説明会等の
    実施

    決定した日時、場所に専門家を派遣します。当日は疑問点等、お気軽にご相談ください。

<支援メニュー例>

  • 適応拡大に向けた準備・対応方針の検討
  • 従業員への説明サポート
  • 手続きや活用可能な国の助成金に関するアドバイス 等

管轄の年金事務所にお申し込みください。

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⑤社内の周知

適用拡大のタイミング(2024年10月)を見据え、
・従業員への周知の準備(資料作成等)・計画
・現場責任者への案内・説明
・従業員への説明・結果報告
・人材が不足する場合は人材確保の準備
等を検討しスケジュールを立てましょう。
また、企業等の事情を踏まえ、周知方法を複数検討することも効果的です。

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企業等におけるメリット

企業等にとって、社会保険加入を従業員に
促すメリットは主に3つあります。

企業経営メリット1:
人材が確保・
定着しやすくなる
 厚生労働省が実施したアンケートでは、回答者(従業員規模100人以下の一部の企業等)のうち約6割が、求人票に社会保険完備と記載し、短時間労働者に社会保険を適用した理由を「従業員の年金額の増加や健康保険に加入することで処遇を改善し、人材の確保・定着を図りたかった」と答えています。
 また、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施した調査(右図参照)では、パート労働者の45%が「社会保険に加入できる求人」を「魅力的」と回答しており、「魅力的に感じない」と回答した20%を大きく上回っています。このような結果から、社会保険に加入できることはパート労働者にとってメリットとしてとらえられており、人材の確保・定着の可能性が高まります。
(出所)
JILPT「社会保険の適用拡大に伴う
働き方の変化等に関する調査」(2022)
をもとに作成
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企業経営メリット2:
シフトの調整が
しやすくなる
 従業員が社会保険に加入することにより、その従業員は年収の壁(106万円/130万円)を意識して就業調整する必要がなくなります。そのため、働く時間の調整が円滑となり、安定してシフトを組みやすくなることから、企業等から「現場のシフト調整がしやすくなっている」という声があります。
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企業経営メリット3:
多様な価値観を持つ従業員の
働く意欲向上につながる

 近年、ワークライフバランスへの意識が高まる等、従業員の働き方に対する意識が変わっています。
 中小企業庁が実施した調査においては、福利厚生は「従業員のモチベーション向上」、「従業員の心身の健康維持」を目的として多くの企業等で導入されており、導入が進んでいるほど従業員の働く意欲が高いという調査結果もあります。
 長く働きたい、子育てや家族の介護をしながら働きたい、といった多様な価値観を持つ従業員を、年金や医療保険の面からサポートする福利厚生の一環として、社会保険を活用することができます。
 ある企業では、社会保険への加入をきっかけに働き方を見直していけるような仕組みを作り、それにより、従業員も中長期的なキャリアについて考えるようになったという事例もあります。

(出所)中小企業庁「中小企業の経営力及び組織に関する調査」(2021)

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