あなたの事業所の職場環境づくりにお役立てください!

障害福祉の仕事とは障害福祉の仕事とは

職員の方々が、長く、活き活きと働くことができる職場環境づくりを目指して。障害福祉関連事業所の職場環境改善への取り組みや、実際に働いている方々の声をご紹介します。

社会福祉法人周陽福祉会「りたはうす」

業務の効率化CASE 03社会福祉法人周陽福祉会「りたはうす」

情報共有とキャリアアップの仕組み作りが笑顔あふれる“生活の場”を支える

地域になじんで生活することを目指した集合住宅内のグループホーム

地域になじんで生活することを目指した集合住宅内のグループホーム

当法人は1979年に設立し、1981年に特別養護老人ホーム岸津苑の設置から事業をスタートしました。以後、短期入所生活介護、デイサービス、ホームヘルパーステーション、在宅介護、訪問看護、地域包括支援センターなど高齢者介護の全分野をカバーする8事業所を運営してきた中、障害者支援の取り組みを始めたのは2020年設置の障がいグループホーム「りたはうす」からです。社会福祉法人として地域の全ての人の共生を担うべきだろうとの考えからでした。2023年には就労継続支援B型事業所「りたぽーと」も開所し、現在は9施設で10事業を行っています。
「りたはうす」は、一般集合住宅内に3LDKの6室を借り、事務所以外の5室にそれぞれ2~3人ずつの利用者が生活する形です。他の方も住む場所で地域に溶け込んで暮らしてもらうことを考え、看板も出していません。利用者へは夕食のみ配食し、毎日体調確認はしますが、外出外泊などの制限はなく、昼間は仕事に出る方がほとんどです。軽~中程度の方ばかりなので身体介護はありません。職員は掃除や洗濯、買い物、金銭管理など見守りつつ必要に応じて手伝い、日々の相談事に応じ、「どんなことも一緒に悩み、利用者さんが自分で決めて自分でできるよう、いつでも話せる環境を」と活動しています。

課題だったのは少人数職員のスキルアップやきめ濃やかな情報共有の不足

課題だったのは少人数職員のスキルアップや
きめ濃やかな情報共有の不足

常勤1人と嘱託4人での開所当初は、当法人にとって初めての障害者支援施設でもあり、手探りの部分は多々ありました。パソコンとタブレットを勤務時間帯の人数分配置して、記録ソフト「ケアカルテ」やグループチャットで情報共有を図っていましたが、勤務交代時の申し送りでは利用者の詳細な状況確認が難しいとの意見もありました。障害者福祉事業の経験者が少なく、事業所の運営方針や支援内容の共有、サービスの質向上も急務でした。また職員が少なかったため業務量が多くて余力がなく、シフト調整も厳しい状況でした。
そこで、記録ソフトの入力でよく使用する言葉などをフォーマット化することで、記録時間の短縮と簡易化しました。また、さらなる“見える化”を検討していく中、職員のアイデアから生まれたのが「健康観察表」です。1枚の紙に利用者全員の体調や外出・帰所時間、掃除状況、相談などを日ごとに手書きするものです。記録ソフトとグループチャットに加え、申し送りに活用することで職員間のコミュニケーションも活性化しました。手書きは手間のようですが、情報共有はスムーズになり、申し送りにかける時間は減少しています。
職員の質向上については外部講師を招いての研修も随時行っています。資格取得も奨励し、外部研修への参加費も法人負担にしています。今は職員全員が業務に関係するなんらかの資格を取得し、さらなる多資格を目指しています。
少人数の職員では厳しかったシフト調整も、当法人全体として取り組んできた働きやすさ対策も功を奏し、今は常勤3人嘱託4人になりました。希望休や時間休も希望通り取得できる状況です。過去3年間での離職率も0%となっています。

法人内での異動、各種の資格研修などのほか働きやすさへの取り組みは県内随一

法人内での異動、各種の資格研修などのほか働きやすさへの取り組みは県内随一

働きやすさへの取り組みは、当法人の地域で歴史が長く信頼も深い各種の高齢者介護施設と、スタートして5年になる障害者支援の全事業所を網羅して取り組んでいます。
職員の健康管理では無料の定期検診は検診率100%。インフルエンザ予防接種なども全額補助し、やまぐち健康宣言企業に登録しています。また、やまぐち子育て応援企業・やまぐちイクメン応援企業として産休・育休も充実させています。毎週ノー残業デーを設けたり、女性活躍推進法に基づき、女性管理職比率を現在の50%から60%に上げるべく意見交換や研修も実施。勤続5年ごとのリフレッシュ休暇も必ず取得する体制です。
また自己申告制度で各自の状況や希望を把握して別事業への異動などに反映します。法人内の多様な事業所への異動により新たな経験を積み、資格等にも取り組むことでキャリアアップを目指せます。高齢者介護と障害者支援の両方のスキルを持つ職員も増え、大きな力となっています。法人全体での離職率も今は5~8%程度で推移しています。
障害者支援では今後も、法人内施設での作業などを担う「りたぽーと」と、訪問看護との3事業の情報共有を密にし、“いいあんばいでのおせっかい”を合い言葉に、職員皆が笑顔で働きがいを持ち、それぞれのプライベートも充実できる職場を作っていきます。

職場環境の課題

  • ●利用者の日々の細かな状況が共有しづらかった。
  • ●障害者福祉の経験者が少なく、サービスの質確保が急務だった。
  • ●職員が少なく、業務量が多い上、シフト調整が難しい時もあった。

改善ポイントとその成果

① 記録ソフト等に加えて手書きの表を考案
記録ソフトは簡易に入力できるようフォーマット化し、同時に手書きの健康観察表を導入。その日や過去の利用者の状況がひと目でわかるようになった。
② 各種の研修を行い、資格取得も支援
スキルアップのための各種研修を実施。外部研修や資格取得にも参加を促し、参加日は出勤扱い、費用も法人で負担し、全員が有資格者となっている。
③ 法人全体での働きやすさ改革の浸透
無料の検診、産休育休など充実した制度、異動を通したキャリアアップなどを浸透させ、職員が増加。離職率も0%になった。
改善ポイントとその成果改善ポイントとその成果

働く人の声

他部門でキャリアを積んで戻ったら働きやすさが大きくアップしていました

他部門でキャリアを積んで戻ったら
働きやすさが大きくアップしていました

上田 (うえだ )愛子(あいこ)さん

「りたはうす」の立ち上げ時に看護師として携わり、その後は法人内の訪問看護ステーションやデイサービスセンターで高齢者介護の経験を積んで、先頃りたはうすに戻りました。さまざまな部門を異動して勉強させてもらい、スキルアップができる職場です。立ち上げ当時は女性管理者の指導を受けながら、少ない職員皆で頑張っていました。今回戻ってくると、日々の状況の記入ソフトや手書きの健康観察表などが整っていて、働きやすさは大きくアップしていました。利用者の生活ケアや健康、食事状況などわかりやすく、申し送りもスムーズです。資格取得にも順次挑戦しています。余裕ができたぶん職員もいつも皆にこにこしていて、わからないことも聞きやすく、とてもいい雰囲気。今後も経験を積み、管理職を目指していきます。

【事業所DATA】

  • 事業所名/社会福祉法人 周陽福祉会 障がいグループホーム「りたはうす」
  • 代表者/理事長 山本 一成
  • 所在地/山口県防府市岸津2-24-20
  • 従業員数/7名(2024年3月現在) 
  • 事業内容/障害者グループホーム
  • ホームページ/http://www.shuyou.jp/