欧州委員会
保健・消費者保護総局
理事会C−科学的意見
CI−科学的意見のフォローアップ及び普及
(a)これまでに実施されたBSE監視の結果(特にBSE陽性症例の月齢構成)と、(b)ウシの背根神経節によりもたらされるリスクについてアイルランドで最近行われた評価を踏まえて、科学運営委員会は次の通り要請を受けた。
(1) | 背根神経節が持つかもしれないBSE感染性の及ぼすリスクについて、アイルランド食品安全局に最近提出された数量的評価を評価すること。 |
(2) | 背根神経節を含むウシの脊柱が[消費者に]もたらすBSEのリスクを、数量的に評価すること。 |
(3) | 脊柱をウシ科動物の特定危険部位として取扱う上での月齢制限を、現在の12ヵ月から引き上げることを正当化できる証拠が見つかるかという問いに答えること。もし引き上げ可能ならば、その上げ幅と条件は何か。そうでないならば、引き上げに必要な条件は何か。 |
1) | 背根神経節が持つかもしれないBSE感染性リスクの数量的評価に関する(1)及び(2)について アイルランド食品安全局に提出されたリスク評価は、科学的に信頼できるものの、適用範囲はアイルランドに限られると科学運営委員会は考える。この中で提示されたリスクの推定値は、国により消費パターン1もBSE発生率も異なるため、他の国々に一般化して適用することはできない。 他の国々や大陸側のEU諸国全体について同様の評価をするためには、当該国またはEUについて適切な情報を集めることが必要と思われるが、そうした情報の中には、すぐには入手しにくく実地調査を通じた情報収集が必要なものもある。 このようなリスク評価にあたって非常に重要な要素の一つが、潜伏期間中に脊髄と背根神経節が感染性を持ち始める時期である。従来は、唯一の実験(通常「ウシ病原性研究」と呼ばれるもの)から得られたデータに基づき、脊髄の感染性が検出できるのは潜伏期間の末期になってからであるので、臨床的症状が発現する可能性がまだない月齢12ヵ月以下の骨付き肉や(ゼラチンや脂肪製造目的の)脊椎骨の消費が正当化されてきた。しかし、このBSEウシ病原性研究に基づいて、中枢神経系組織が検出可能な感染性を持つ時期を全潜伏期間に対する比率で示すことはできないし、当該研究の検体数が少ないため、臨床的症状が発現する数ヵ月前まで脊髄には感染性がないと結論付けることはできない。 より多くのデータが入手可能な、他の動物種による実験(マウス、ハムスター、霊長類、ヒツジなど)によれば、科学運営委員会が2001年1月12日に設けた仮説、すなわち一般に、妥当な程度に最悪の場合の想定として、背根神経節と脊髄がもたらすリスクは潜伏期間の後半の方が高いという仮説は、依然有効である。 |
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2) | (3)の、脊柱をウシの特定危険部位として取扱う上での月齢制限を、12ヵ月から引き上げることを正当化する証拠について
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1 | 個人別消費量、骨付き肉製造に使用される部位、骨付き肉やその他背根神経節付きで消費される部位の消費頻度、屠体の月齢構成など。 |
2 | ホームページアドレス:http://eurpa.eu.int/comm/food/fs/bse/index_en.html |
I. | 背景及び要請 |
II. | 背根神経節を含むウシの脊柱による消費者のBSE感染リスクの数量的評価 |
III. | 中枢神経系、脊髄神経節、及び脳神経節の感染性が曝露後検出可能となる時期に関するウシBSE病原性研究の解釈 |
IV. | 2001年後期のEUでの簡易検査によるBSE陽性症例の月齢構成分析 |
V. | 結論 |
VI. | 参考文献 |
付属文書 |