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化学療法科


診察道具

● 基本方針

 化学療法科は主に抗菌剤によるハンセン病の診療を行う科です。近年、わが国でのハンセン病新規発症者はほとんどいませんが、再発を生じるケースが時に見られることがあります。再発し発見が遅れると神経障害を進行させやすいことから、当科では全入所者を対象に再発の有無を診察と菌検査でチェックし、再発が認められた場合には抗菌剤による治療を行います。またハンセン病に伴う神経炎の治療および後遺症としての神経痛のコントロールを行っています。また退所者が地域でハンセン病や後遺症に関連した疾患の診療を受けられる医療体制が十分に整備されていないため、退所者の診療にも力を入れています。

● 診療紹介

 平成23年4月より平成24年3月までに再発はなく、抗菌剤治療もありませんでした。神経炎も見られませんでしたが、慢性の神経痛は多数見られ、NSAID、メチコバラミン、ガバペンチン(4人、麻酔科を含む)にてコントロールを行っていました。
 退所者に対しては、当園において来園者の診療を行ったほか、大阪府立急性期総合医療センターへ月2回診療援助を行い、関西圏の退所者の診療を行っています。

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内 科

● 基本方針

 平均年齢82歳の入所者の方々が、今、何を求め必要としているかを考えながら、負担を少なくし、穏やかな生活を送れるよう努めながら日常診療を行います。診察や検査所見などから全身状態を見極め、必要と判断した時は、時間を割き、入所者の方々に可能な限り納得していただいた上で投薬や検査・園外への施設への紹介を進めます。また、ご家族や世話人の方々へ充分なインフォームドコンセントを適宜行い、情報の共有を行います。最後に、園の基本理念に基づき入所者の方々の尊厳を重んじ、健康でかつ安全に生活できるよう診療・支援していきます。

● 診療紹介

 内科系スタッフは日本内科学会・日本ハンセン病学会・日本神経内科学会・日本糖尿病学会・日本腎臓学会などの指導医・専門医・認定医の資格を持つ医師が、専門に加えて内科全般の疾患における診療を行い、職員健診を通して、職員の健康管理や指導も行っています。また、地域医療連携のもと、独立行政法人国立病院機構を初めとした、地域の専門施設への紹介を通して診療質向上を目指しています。

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外 科

● 基本方針

 ハンセン病特有の創傷について、根気よく、工夫しながら治療することを一つの柱としています。また一般外科として必要な手術に対応することや、園外の専門施設での手術例の術後管理をすることと、二人はともに消化器外科認定医や専門医であるので、消化器科疾患の検査、治療にかかわることをもう一つの柱としています。
 この二つの柱を中心に、入所者の方々とのつながりも大切にし、全人的な医療を心掛けて、療養生活を支援していくことを基本方針としています。

● 診療紹介

 ハンセン病による創傷の診察・治療は、あたらしい被覆材の使用、湿潤環境の推進を基本にして、必要なときには補装具などを用いて固定するようにしています。胃カメラ、注腸造影、腹部超音波検査などの検査を含め、消化器疾患への対応もしています。また栄養サポート・創傷対策委員会を主導し、栄養サポートの外来を併設するとともに、褥瘡予防にも精力を注ぎ、新規発生は1例のみで、褥瘡例は2例となっています。最近は緩和医療にも取り組めるよう学んでいます。
 独立行政法人国立病院機構や岡山大学病院などとの連絡を密にして、的確な診断・治療が行えるように配慮しています。

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整形外科

● 基本方針

 入所者の健康かつ安全で可能なかぎり活動的な生活維持のための日常診療を行います。看護師、リハビリスタッフ、介護員その他の職員と入所者の健康維持に必要な整形外科的知識を共有します。

● 診療紹介

 骨粗鬆症や変形性関節症を主とする骨関節疾患や外傷の保存的および手術的治療を行っています。入所者の健康診断時の骨密度の評価と、必要な場合は骨粗鬆症の治療を行っています。骨粗鬆症治療薬として新規にテリボン、ボノテオを導入し、より入所者それぞれの事情に適する薬物療法を施行し、各部門と連携し、副作用が発現しないように努めています。
 リハビリスタッフと定期的に勉強会をもち診療水準の向上を目指しています。
 転倒骨折予防WGの活動を通して、慢性疾患、ハンセン病後遺症などによる日常生活への障害を可能な限り軽減するよう援助するため、環境を整えました。入所者が健康かつ安全で可能なかぎり活動的な生活を維持することができるように、看護師、理学療法士、その他の職員と定期的に協議し活動しています。入所者が転倒した場合はすぐに整形外科医がよばれる体制がつくられ、夜間、休日でも対応しています。

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眼 科

● 基本方針

 ハンセン病と加齢により、眼疾患を有する入所者が多いことを考慮し、安全と安心に配慮し、最適な診療を行います。必要に応じて、地域の専門施設に紹介し、最善の診療を行います。

● 診療紹介

 日常診療の他、看護師の協力のもと、5月から6月にかけて入所者全員の眼科検診を行い、現状の把握と疾患の早期発見につとめました。また、園外居住者の外来受診にも対応しています。
 本年は新規にハンフリー自動静的視野計を導入しました。以前からあるゴールドマン動的量的視野計に加えて視野の評価が多角的にできるようになりました。また、手術用顕微鏡を更新しました。白内障手術に威力を発揮することになると思われます。
 白内障手術は独立行政法人国立病院機構岡山医療センター眼科部長の大島浩一先生に、眼瞼形成手術は元聖隷浜松病院眼形成眼窩外科部長の中村泰久先生に診療援助医師として来ていただいています。

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耳鼻咽喉科


● 基本方針

 耳鼻咽喉科全般の診療に加えて、特に聴覚障害や嚥下障害に対する部門横断的な診療を提供します。

● 診療紹介

 診療には、内視鏡・CT・超音波などによる画像診断を積極的に活用し、客観的かつ経時的な評価とわかりやすい結果説明を行うよう努めています。
高齢化に伴う難聴や、ハンセン病後遺症としての耳管機能障害等に対して、聴覚医学的検査を基にした治療を行っています。 特に難聴に対する補聴器の装用は、視覚や手指の機能を考慮する必要があることから、補聴器相談日を設けて認定補聴器技能者を交え総合的な検討を行い、実用的なフィッティングに努めています。
萎縮性鼻炎や鼻中隔穿孔などに対して、愛護的な処置やネブライザー治療を行っています。
のど 特に摂食嚥下に問題を抱える方が増えていることから、摂食嚥下障害対策委員会(SST)の一部門として歯科医師・言語聴覚士・認定看護師らとの緊密な連携の元に、VE検査を中心とした評価ならびに介入に取り組んでいます。
 定期診療日以外にも、入所者個々の体調や都合に合わせて処置や検査を随時行い、日々のニーズに応えています。

● その他の活動

 入所者の皆様の健康に貢献できることを願って、以下の活動を行っています。
      ・補聴器に関する説明会などを行い、入所者の方々に関心と正しい知識を持っていただくよう努めています。
      ・看護および介護スタッフに対して、耳鼻咽喉科医学に関する教育を行っています。

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歯 科


診察室内風景
診察室内風景

● 基本方針

 一般歯科については,入所者の状態に十分配慮しながら,個々の入所者について最善の治療を提供します。また,当園はハンセン病後遺症をもった要介護高齢者が多いため,他職種と密接に連携を取りながら入所者の口腔衛生管理と口腔機能の保持・増進に努めます。

● 診療紹介

 歯科外来では,より能率的かつ効率的な歯科医療を入所者に提供できるように,2名の歯科医師,歯科衛生士,治療棟外来看護師長,歯科を担当する頻度が高い看護師のメンバーで,1ヵ月に1度を目途に歯科ミーティングを開催することにしました。併せて,歯科を担当する看護師のために,歯科医師が講師になって,歯科に関する勉強会を歯科臨床に関する知識と実地の両面から5回開催しました。勉強会をすることで,看護師に馴染みのない歯科治療や業務内容の理解を深め,業務の効率化とともに歯科業務に対する関心の向上を図りました。
 歯科外来診療とともに,摂食・嚥下障害対策委員会を主導しながら,口腔衛生管理と口腔機能の向上にも力を注ぎました。口腔衛生管理では,誤嚥性肺炎の予防のため,要介護度の高いセルフケア困難な入所者(病棟や老人センター中心)に関しては,歯科医師と歯科衛生士の回診による専門的口腔ケアを充実させるとともに,看護師や介護員に口腔ケア方法を実地指導し,日常的な口腔ケアの充実も図りました。
 研究活動としては,ハンセン病療養所入所者(要介護高齢者)に対する口腔衛生管理や摂食・嚥下障害管理に関して,その取り組みを第80回瀬戸内集談会(平成23年7月14日,高松)で3題発表するとともに,平成23年度国立ハンセン病療養所治療研究の採択を2題受けて,研究を遂行しました。

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