岩手県盛岡市

自治体概要

豊かな森に囲まれ,あふれ出る清らかな水に恵まれた盛岡。1889年(明治22年)の市町村制施行により,全国39都市の一つとして人口2万9190人,面積4.47平方キロメートルの県都盛岡市が誕生しました。
近年の盛岡市は,1989年(平成元年)に市制施行100周年を迎え,1992年(平成4年) に都南村と,2006年(平成18年)に玉山村と合併を果し,人口約30万人,面積886.47平方キロメートルの新生盛岡市となりました。また,2008年(平成20年)4月には中核市へと移行し,現在に至っています。
人口 290,866人 世帯数 132,943世帯 高齢化率 27.6% 保護率 16.0‰

まるごとよりそいネットワークもりおか

平成28年10月より,多機関の協働による包括的支援体制構築モデル事業を実施してきました。事業が開始し,まず取り掛かったのは,本市における多機関の協働による支援体制の構築でした。本市の社会資源を改めて検証したところ,圏域毎ではなく,分野毎に相談支援包括化推進員を配置することにしました。合併により急速に大きくなった当市では,圏域毎に社会資源が異なっていました。しかし,県庁所在市として数多くの分野の団体が活動しており,制度の狭間に陥らないための支援としては,最適なネットワークを構築することができました。また,このネットワークが本当の意味での地域共生となるよう,相談支援包括化推進員には,福祉団体のみならず,更生保護やまちづくり,ボランティア団体,弁護士にも参加していただきました。
このネットワークは本市における地域共生社会づくり事業の根幹として,様々な役割を担っていただきました。
1.ワンストップ窓口の創出
2.不足する社会資源の創出や支援体制の構築(シェルター,,中間就労,ひきこもり,居場所,独居)
3.複合・複雑化する個別事案への対応
4.新たな重層的支援体制の制度設計

課題とすると,このネットワークと地域住民との関係性の強化が進まなかったことです。分野毎に推進員を選任したため,地域との関わりを持つことが難しかったことにより,地域力強化推進モデル事業で形成した地域コミュニティとまるごとよりそいネットワークを結びつけることができませんでした。

Book & Bookenergy in Morioka

まるごとよりそいネットワーク内で,中間就労のニーズが高まっているが,生活困窮や障がい者分野にしかなく,誰もが利用できる資源を開発したいとの思いからプロジェクトがスタートしました。プロジェクトの目玉として考えたのは「本」。盛岡市は平成29年に人口あたりの新書の購入額が全国一位になるなど,本に親しみをもった風土があります。この本を活用した中間就労を新たに創出したのが「Book & Bookenergy in Morioka」です。市民や企業からお金の寄付ではなく,読み終えた本の寄付をしてもらい,その本を,選別,クリーニング,出品,梱包,発送の工程を経て,インターネットを利用し販売します。その売却益が,各工程に従事した人への工賃として支払われる仕組みです。
この取組のすばらしいところは,作業工程を細かく分けることができるため,様々特性のある方に参加してもらうことができること。また,読み終えた本の寄付ということで,子どもからお年寄りまで誰もが参加できることです。
この事業で得たノウハウを生かして,新たな中間就労の場を創出していきたいと思っています。