授業資料2時間目

ライフプランと年金制度

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人生のリスク」に備えるって?

人生には、さまざまなリスクがあります。
年をとって働くことができなくなった、思いがけない事故や病気で障がいを負ってしまった、一家の大黒柱が亡くなってしまった……。
いつそのような状況になるかは、予測できません。こうした「人生のリスク」に全ての人が備えられるよう、公的年金は国が運営しています。

公的年金は、終身で必要な期間に応じて年金を受け取れる仕組みです。これは貯蓄ではできないことで、社会全体で支え合いながらさまざまなリスクに備えています。

コラム「わたしと年金」で検索!

障害年金や遺族年金は意外と身近にある?高校生が執筆した「わたしと年金」エッセイを読んでみよう。

ワーク2-1 働けなくなるリスクについて考えてみよう! ①公的年金制度の穴埋め書き込みワーク ②働けなくなるリスクの書き込みワーク

第1号被保険者」のうち、やむを得ない理由で保険料を納めることが難しい人に対して、保険料の納付を一時的に猶予(❶)したり免除(❷)したりする制度があります。

猶予・免除された期間は、どちらも受給資格期間(❸)に数えられますが、受け取れる年金額は、保険料を全額納付した場合と比べて少なくなります。猶予・免除された期間の保険料を後から納めると、年金額に反映されるようになります。

❶猶予…保険料の納付期限を先延ばしにすること。

❷免除…保険料の全部または一部を、納付しなくてよいとすること。

❸受給資格期間…年金を受け取るために必要な、年金制度への加入期間。一定期間より少ないと年金を受け取れない。

【学生納付特例制度】

20歳以上で大学などに在学しており、本人の所得が一定以下の場合、在学中の保険料の納付猶予を申請することができます。

【納付猶予制度】

20歳以上 50歳未満で本人と配偶者の前年の所得が一定以下の場合、 保険料の納付猶予を申請することができます。

【保険料免除制度】

本人世帯主・配偶者の前年の所得が一定以下の場合、 保険料の免除を申請することができます。
免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類があり、所得に応じて利用できる種類が異なります。

【産前産後期間の保険料免除制度】

出産予定日の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。
他の免除制度とは異なり、この免除期間中の保険料を後から納める必要はなく、免除期間分の年金額が少なくなることもありません。

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将来受け取れる年金額ってどれくらい?

動画①
将来どのくらいの年金がもらえるのだろう?予想しながら動画を見よう。ワーク2-2 公的年金シミュレーターを使ってみよう 年金受給に関する書き込みワーク

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私的年金を利用したらどうなるの?

公的年金とは別の制度として「私的年金」というものがあります。私的年金は、公的年金に上乗せして給付を受けられる年金です。自分が働く会社で加入する企業年金や、自分で選んで加入する個人年金(国民年金基金やiDeCo)があります。老後の暮らしをより豊かにするための制度です。
これら2つの年金をどのように組み合わせていくかで、将来受け取れる金額が変わります。

ライフプランによって、年金受給額がどのように変わるのかを理解しよう。
動画②
ワーク2-3 資産運用シミュレーションを使ってみよう!年金受給に関する書き込みワーク

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まとめ

将来に備えるために、今から何ができるのかを考えておきましょう。
例えば、加入する公的年金制度は働き方ごとに違うため、それぞれの働き方でどれくらいの年金を受給できるかをシミュレーションしておくことが大切です。

また、就職や転職といった人生の大事な区切りごとに、公的年金の加入状況を確認し、私的年金をどのように活用できるかを考えてみるとよいでしょう。

私的年金の積み立て方によって老後の生活が大きく変わることを知っておくと、今から取り組むべきことを考える助けになります。

コラム老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給

老後の所得状況や働き方は個人によって異なります。このことを踏まえて、老齢基礎年金や老齢厚生年金には受給開始時期を選ぶことができる仕組みがあります。

具体的には、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取り始める年齢は原則65歳ですが、65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰り下げることで、増額した年金を受け取ることができます(繰下げ受給)。

65歳より後に受給を開始した場合には、年金額は増額(最大+84%)され、受給開始後はその増額率は生涯変わりません。一方、65歳より早く受給を開始すること(繰上げ受給)も認められています。

この場合、年金額は減額(最大ー24%)され、受給開始後はその減額率は生涯変わりません。
このような繰下げ・繰上げの仕組みを活用することにより、老後の働き方や年金の受給開始時期の選択の幅が広がり、老後の生活設計に多様な選択肢が生まれるようになります。

老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給のイメージ画像

年金制度が私たちの日常にどのように役立つのか、知っているのが大事!