労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成31年(不再)第15号・同第16号
田中酸素(平成27年賞与等)不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」)15号、Y株式会社(「会社」)16号 
再審査被申立人  Y株式会社(「会社」)15号、X組合(「組合」)16号 
命令年月日  令和3年3月17日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合員の平成27年及び28年賞与、 28年職能給について、非組合員に比し低額で支給したこと、 28年賞与及び昇給に係る団体交渉に誠実に応じなかったことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び第2号の不当労働行為であるとして、組合が、平成28年8月31日に山口県労働委員会(以下「山口県労委」という。)に対し、救済申立てをした事案である。
2 初審山口県労委は、既払賞与額と考課点等の再査定の結果発生する不足差額の支払及び会社の売上げ等を明記した資料の手交を命じ、その余の申立てを棄却する旨の命令を発したところ、組合と会社の双方とも、これを不服として再審査を申し立てた。
 
命令主文  ⑴ 平成27年夏季の賞与について、救済申立てを却下する。
⑵ 平成27年冬季及び28年各季の賞与について、一部の組合員については、再査定を行い賞与額の再算定し、その差額を支払わなければならない。
⑶ 会社は、組合の求める会社の決算書等の資料の交付及び、組合に対する文書を手交しなければならない。
 
判断の要旨  ⑴ 賞与における組合員故の査定差別について
 会社が賞与の算定にあたって、人事考課(査定)を実施してこれを賞与の額に反映することに一定の合理性があることは否定し得ないが、組合員と非組合員との間に査定における外形的な格差が認められ、その格差に合理的な理由が認められない場合には、組合員に対する査定差別といえる。
 27年冬季及び28年の賞与について、組合員ごとに個別に検討すると、非組合員との間に外形的な格差が認められ、能力及び勤務実績を考慮するとその格差に合理的な理由は認め難い組合員が存在する。
 会社と組合との間には、過去から多様な係争が繰り返され対立関係にあることから、会社に組合嫌悪の意思があることが推認される。
 したがって、これらは組合員であることを理由としてされた、査定差別による低額支給であるから、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当する。

⑵ 団体交渉における会社の対応について
 会社は従前から交渉担当者に団体交渉権限を委任する旨を組合に通知しており、 会社側の交渉担当者と組合との間で団体交渉が繰り返されてきた。
 しかしながら、 会社側の交渉担当者は、 組合との団体交渉で約した事項を履行せず、次の交渉では、 履行しない合理的理由を説明することもなく、 単に社長が認めない旨を伝えているにとどまる。
 こうした事情からは、交渉担当者に決定権限がないことが明白であるばかりでなく、会社代表者と交渉担当者との間で意思疎通が図られているのか自体、 疑われるところであ り 、 形式的な団体交渉に終始した交渉担当者は実質的な交渉権限を有しない者であるといわざるを得ない。
 また、会社が実質的交渉権限を有しない交渉担当者のみを団体交渉に出席させてきた経緯からすると、 組合が団交申入れにおいて社長の出席を求めることには相応の理由があるといえる。 それにもかかわらず、 会社が社長の出席を無意味な前提条件であるとして団体交渉の開催に応じないのは、 正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

⑶ 救済方法
 賞与の査定における不利益取扱いは不当労働行為に当たるので、該当者を救済するとともに正常な集団的労使関係秩序の回復、確保を図るためには、 会社に対し、 再査定を行い賞与額を再算定し、 その額から既払賞与額を控除した額の支払を命ずるのが相当である。
 また、団体交渉に実質的な交渉権限を有しない者を出席させた会社の対応は、 不誠実な交渉態度であり、会社は、団体交渉において、組合から要求された資料を提出していない。 団体交渉の場で、組合と会社との一連の交渉を経てなされた合意に基づく書類等の提出を組合から求められた場合に、会社がこれを拒否することは、労使間の信義則に照らし許されないので、 資料の手交を命ずるのが相当である。
 さらに、団体交渉における会社の対応が不当労働行為に該当する以上、 このような不当労働行為から組合を救済するためには、 会社に対し、 主文第5項の文書の手交を命ずるのが相当である。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
山口県労委平成28年(不)第2号 一部救済 平成31年3月28日