労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第53・54号
河合塾不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X組合(「組合」)(第53号)、Y法人(「法人」)(第54号) 
再審査被申立人  法人(第53号)、組合(第54号) 
命令年月日  令和3年2月17日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、法人が、①組合員Aとの間で24年度出講契約を締結しなかったこと(Aに係る出講契約非締結)、②組合書記長Bの26年度出講契約を非締結とし、同年度春期講習を担当させなかったこと(Bに係る出講契約非締結)、③上記②を議題として26年3月4日に申し入れた団体交渉に応じなかったことなどが不当労働行為であるとして、組合が24年8月30日に愛知県労委に救済申立て(25年10月、 26年1月及び同年4月に追加申立て)を行った事案である。
2 初審愛知県労委は、上記1②及び③が不当労働行為に当たるとして、Bを25年度と同様の条件で就労させること及びこれに伴うバックペイ並びに文書交付を命じ、その余の申立てを却下及び棄却した。これに対し、組合・法人の双方が再審査を申し立てた。
 
命令主文  本件再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  ⑴ Aに係る出講契約非締結は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するか
ア Aは、非常勤講師又は講師職講師として、毎年度法人との間で出講契約を締結してきたところ、24年度については、法人からAに対し条件付き24年度出講契約が提案され、結果として、 24年度の出講契約は締結されなかった。
イ ①法人では、授業アンケートの結果が改善されなかった場合には担当コマが漸次削減され、最終的に非締結となることがあったこと、②Aは、組合加入前から、授業アンケートの結果により漸次出講コマ数を削減されていたこと、③組合加入後も22年度及び23年度の出講契約は締結されていたこと、④24年度の授業アンケート結果が改善できない場合は、 25年度の契約は締結しないという覚書の提出という条件の提示は、法人においてA以外に例がなかったものの、特例として条件付きの契約が提案されたものであったことが認められる。
 したがって、法人が、Aに対し条件付き24年度契約を提案したことは、Aが組合員であることを理由として行ったものとは認められず、Aが法人の当該提案を受諾しなかったことにより契約締結に至らなかったことをもって、法人がAに対し組合員であることを理由として24年度の出講契約を締結しないという不利益取扱いを行ったと認めることはできないから、Aに係る出講契約非締結は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当しない。
⑵委託契約講師であるBは、法人との関係で労組法上の労働者に当たるか
 委託契約講師は、①講師業務の提供者として、法人の事業遂行に不可欠かつ恒常的な労務供給者として事業組織に組み入れられており、②業務委託基本契約や個別契約の内容は、一部を除き、会社が一方的、定型的に決定しており、③委託契約講師の報酬は、法人に対する労務供給に対する対価であると認められる。また、④委託契約講師は、委託基本契約期間中において、法人との個別契約の依頼に応じるべき関係にあり、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束が認められる。他方、⑥委託契約講師について、顕著な事業者性は認められない。
 したがって、委託契約講師は、法人との関係で労組法上の労働者にあたり、その結果、Bも労組法上の労働者であると認められる。
⑶ Bに係る出講契約非締結は、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に該当するか
ア 法人は、Bとの間で25年度まで業務委託契約たる出講契約を締結していたところ、Bが同年8月8日に町田校及び横浜校GA館において「労働契約法改正のポイント」と題する厚生労働省作成のリーフレットを配布し、厳重注意にもかかわらず非を認めないことなどを理由として、Bとの26年度の出講契約を締結しなかった。Bにとって26年度出講契約が締結されないことは不利益であり、また、 26年度以降もこれまでと同様のコマ数で出講契約が存続することが十分期待できる状況であった。
イ Bの当該リーフレットの配布行為は、法人の業務に支障が生じるような行為ではなかったにもかかわらず、法人は、当該配付行為につき厳重注意を行い、これに対しBが組合を通じて厳重注意の撤回を求め、非を認めなかったことなどを、契約非締結の理由としているところ、当時、組合はAに係る出講契約非締結等が不当労働行為であるとして初審愛知県労委に救済申立てをしていたこと等労使関係が対立していたことも踏まえれば、Bが組合の組合員であること又は正当な組合活動をしたことを理由としたものと認められ、Bに係る出講契約非締結は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当する。
ウ Bは、 22年3月の組合結成時からの組合書記長であり、団体交渉に出席し、組合機関紙等を数度配布するなどの組合活動を積極的に行ってきた。このことから、Bは、組合の中心的人物であり、そのことを法人も認識していたといえるから、Bに係る出講契約非締結は、組合の中心的人物を法人から排除することによって、組合の組織及び活動を弱体化させるものと認められ、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当する。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛労委平成24年(不)第7号 一部救済 平成28年8月30日