労働委員会裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京地裁令和3年(行ク)第219号
緊急命令申立事件 
申立人  中央労働委員会 
申立人補助参加人  Z組合(「組合」) 
被申立人  学校法人Y(「法人」) 
決定年月日  令和5年9月26日 
決定区分  緊急命令申立認容 
重要度   
事件概要  1 本件は、大学受験予備校を主体とする教育事業を営む法人が、①組合員A2との間で24年度出講契約を締結しなかったこと(A2に係る出講契約非締結)、②組合書記長A1の平成26年度出講契約を非締結とし、同年度春期講習を担当させなかったこと(A1に係る出講契約非締結)、③上記②を議題として平成26年3月4日に申し入れた団体交渉に応じなかったことなどが不当労働行為であるとして、組合が平成24年8月30日に愛知県労委に救済申立て(平成25年10月、平成26年1月及び同年4月に追加申立て)を行った事案である。
2 初審愛知県労委は、上記1②及び③が不当労働行為に当たるとして、A1を平成25年度と同様の条件で就労させること及びこれに伴うバックペイ並びに文書交付を命じ、その余の申立てを却下及び棄却した。
3 組合・法人の双方が、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、本件再審査申立てをいずれも棄却した。
4 法人が、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、中労委は、法人が、再審査命令書(写)の交付後も、同命令主文を任意に履行する態度を示しておらず、仮に本案行政訴訟事件において法人の請求が棄却され、その判決が確定したとしても、確定までの間、命令が履行されない状態が継続することになれば、法人の報酬不払い等によるA1の経済的不利益に加え、これにより、組合の団結権及び団体交渉権の侵害が継続し、その回復をより困難なものとし、労組法の趣旨、目的に反する結果となるとして、A1の原職復帰、バックペイの履行を求めて緊急命令を申立てた。
5 東京地裁は、中労委の申立てを認容した。なお、同地裁は、本決定日と同日、本案事件について法人の請求を棄却している。
決定主文  1 被申立人は、被申立人を原告、国を被告(申立人を処分行政庁)とする当庁令和3年(行ウ)第244号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成28年(不再)第53号及び同第54号事件によって維持するものとした、愛知県労委平成24年(不)第7号事件に関する愛知県労働委員会の平成28年8月30日付け命令の主文第1項ないし第3項に従い、
⑴ 申立人補助参加人書記長A1を平成25年度と同様の条件で速やかに就労させなければならない。
⑵ 申立人補助参加人書記長A1に対し、小中学生を対象とするコース(平成26年度春期講習を除く。)については平成26年3月1日から、高校グリーンコースについては同年4月1日から、同人が就労するまでの間、平成25年度と同様の条件により算出される報酬相当額及びこれに年5分を乗じた金額を支払わなければならない。
⑶ 申立人補助参加人書記長A1に対し、平成26年度春期講習の報酬相当額を支払わなければならない。

2 申立費用は、補助参加によって生じた費用も含め、被申立人の負担とする。
決定の要旨  1 中労委が初審命令を維持するものとした中労委平成28年(不再)第53号及び同第54号事件の令和3年2月17日付けの命令(以下「本件命令」という。)は、その認定及び判断において正当であり、適法であると認められる。
 なお、東京地裁は、令和5年9月26日、本件命令の取消請求事件(東京地裁令和3年(行ウ)第244号)につき、本件命令を適法として、法人の請求を棄却する旨の判決をした。

2 法人は、今日に至るまで、初審命令の主文第1項ないし第3項を履行しておらず、上記判決が確定するまで不履行の状態が継続した場合、組合の団結権及び団体交渉権の侵害が進行し、重大な損害を生ずるおそれがあると認められるから、緊急命令の必要性があるというべきである。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
愛労委平成24年(不)第7号 一部救済 平成28年8月30日
中労委平成28年(不再)第53・54号 棄却 令和3年2月17日
東京地裁令和3年(行ウ)第244号 棄却 令和5年9月26日
 
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