労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成29年(不再)第53・55号
帝京蒼柴学園不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  学校法人Y(第53号)、X1(個人)(第55号)、X2組合(第55号) 
再審査被申立人  X1(個人)(第53号)、X2組合(第53号)、学校法人Y(第55号) 
命令年月日  令和2年12月16日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、①学校法人Y(学園)がX1に対してけん責処分及び謹慎処分(本件処分)を行ったこと、②学園がX1をC1部の監督から外したこと(本件監督外し)、③教頭及び校長が組合に入ることによって不利益を被る趣旨の発言(教頭の発言及び校長の発言)をしたこと、④学園が本件申立てを理由にX1をC1部の顧問から外したこと(本件顧問外し)が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審新潟県労委は、学園の上記1①ないし③の行為を不当労働行為であると判断し、学園に対し、本件処分の撤回、X1をC1部の監督とすること、X1及び組合(組合ら)に対する文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。学園及び組合らは、これを不服として、それぞれ再審査を申し立てた。
3 再審中労委は、初審命令を変更し、学園に対し、本件処分がなかったものとして取り扱うこと、X1に対する文書手交、並びに組合に対する文書手交及び文書掲示(上記1①及び③に関するもの)を命じ、その余の救済申立てを棄却した。 
命令主文   学園の再審査申立て並びにX1及びX2組合の各再審査申立てに基づき、初審命令を次のとおり変更する。
1 学園は、X2組合の組合員であるX1に対して平成27年4月1日に行ったけん責処分及び謹慎処分をなかったものとして取り扱わなければならない。
2 学園は、本命令書受領の日から7日以内に、X1に対し、下記内容の文書を手交しなければならない。

年 月 日 
X1 様
学校法人Y       
理事長 B1 印
 当学園が貴職に対し平成27年4月1日にけん責処分及び謹慎処分を行ったこと、並びに当学園において貴職に対し、平成26年10月21日に、組合に入れば本部からC1部が強化指定部から外される、顧問からも外されるという趣旨の発言をし、また平成27年3月21日に、組合に入って強化指定部を持てるわけがないという趣旨の発言をしたことは、中央労働委員会において、それぞれ不当労働行為であると認定されました。再びこのようなことを繰り返さないようにします。
(注:年月日は文書手交の日を記載すること。)
3 学園は、本命令書受領の日から7日以内に、X2組合に対し、下記内容の文書を手交するとともに、下記内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に記載して、C2高校の教務室内に10日間掲示しなければならない。

年 月 日 
X2組合
執行委員長 A1 様
学校法人Y          
理事長 B1 印   
 当学園がX1教諭に対し平成27年4月1日にけん責処分及び謹慎処分を行ったこと、並びに当学園においてX1教諭に対し、平成26年10月21日に、組合に入れば本部からC1部が強化指定部から外される、顧問からも外されるという趣旨の発言をし、また平成27年3月21日に、組合に入って強化指定部を持てるわけがないという趣旨の発言をしたことは、中央労働委員会において、それぞれ不当労働行為であると認定されました。再びこのようなことを繰り返さないようにします。
(注:年月日は文書手交の日及び文書掲示の日を記載すること。)
4 その余の救済申立てを棄却する。
 
判断の要旨  (1) 本件処分は労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか
 本件処分は、処分事由の一部を除き、これを認めるに足りる的確な証拠がない中でされたものであり、合理的な理由を欠くものである。
 学園は、組合との間で対立関係が続いてきた状況において、X1が組合の組合員であることを認識した後、保護者や部員の一部から処分事由の存在の話を聴き、組合を嫌悪し、X1が組合の組合員であることを理由として本件処分を行ったことが推認される。
 また、学園は、教職員が組合に加入することをけん制し、組合を弱体化することを企図して本件処分を行ったものと推認される。
 したがって、本件処分は、X1が組合の組合員であることを理由とする不利益取扱いであるとともに労働組合の運営に対する支配介入であり、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たる。
(2) 本件監督外しは労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか
 学園は、本件以前に、X1の部員への不適切な言動について保護者から抗議を受け、X1をA部の監督から外したが、X1がC1部の監督に復帰した後も、X1の言動に起因してX1と保護者及び一部の部員との関係が悪化し、保護者及び一部の部員から苦情や抗議が出てきた。
 このような状況において、学園は、部員らの人格的利益を守るとともに学園と部員ら及び保護者との信頼関係を維持するという教育的な配慮から、これ以上X1にC1部の監督を続けさせるのは適切でないと判断して、本件監督外しを行ったものと認められる。
 したがって、本件監督外しは、X1が組合の組合員であることを理由とする不利益取扱いでも労働組合の運営に対する支配介入でもなく、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。
(3) 教頭の発言及び校長の発言は労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか
 教頭の発言及び校長の発言は、いずれも教頭及び校長が学園の管理職として組合の弱体化を企図して行ったものと推認される。
 したがって、教頭の発言及び校長の発言は、学園による労働組合の運営に対する支配介入であり、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
(4) 本件顧問外しは労組法第7条第4号の不当労働行為に当たるか
 学園は、本件申立てよりも前に本件顧問外しを行ったことが認められる。
 したがって、本件顧問外しは、組合らが本件申立てをしたことを理由とする不利益取扱いではなく、労組法第7条第4号の不当労働行為に当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
新労委平成27年(不)第5号 一部救済 平成29年11月2日