労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成31年(不再)第2号
CLC不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X労働組合(組合) 
再審査被申立人  株式会社Y(会社) 
命令年月日  令和2年8月5日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、堺市から、同市東区のいわゆる学童保育事業である放課後児童対策事業(のびのびルーム事業)を新規に受託し、平成29年4月1日に同事業を開始するに当たって、会社が、同年3月31日まで同区C1小学校ののびのびルーム(本件ルーム)における放課後児童支援員(指導員)の主任指導員であった組合員Aを採用しなかったこと(本件採用拒否)、及び同年2月28日、Aの継続雇用などを要求項目とする団体交渉に応じなかったことが、労働組合法(労組法)第7条第1号及び第2号の不当労働行為に当たるとして、組合が、同年4月28日に大阪府労委に救済申立てを行った事件である。
2 初審大阪府労委は、会社は労組法上の使用者に該当しないとして、救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。
3 再審中労委は、本件申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 本件採用拒否は、労組法第7条第1号に該当するか
ア 堺市が平成29年度からの東区の学童保育事業を開始するに当たって公表した作成要領や審査基準には、従前よりルームに勤務していた指導員を雇用することが受託者の義務であることや受託者として選定される条件となる旨の記載は存在せず、会社が堺市に提出した企画提案書にも、職員の確保に当たって、募集、審査を経て雇用がなされる旨記載されており、本件ルームに勤務していた指導員を原則として全員雇い入れることを表明していたとまではいい難い。
 さらに、当時東区の学童保育事業を受託していたC2法人と会社の間には資本関係はなく、堺市と会社が締結した委託契約において、指導員の雇用継続に関する条項やC2法人からの債権債務を承継する旨の条項は存在しなかったことから、会社が従前の雇用関係を引き継ぐことが契約上の義務となっていたとも認められない。
 加えて、会社は、堺市及びC2法人との間で協議を行ったものの、同協議において、会社とC2法人の間で、勤務している指導員の雇用について何らかの合意をしたとは認められず、その他にも、会社とC2法人の間で、東区ののびのびルーム事業に関する権利義務の承継等について合意した等の事実も証拠上認められない。
 したがって、本件ルームの指導員について、指導員が希望すれば、会社に当然に新規採用されることが予定されていたとはいえない。
イ 会社は、Aが履歴書を提出する前にAとの面談を行った際、Aに対し、会社で勤務することを希望するかについて翌日までに返事が欲しい旨述べたものの、これに対するAからの返事を待つことなく、翌日にAに対して採用しない旨通知していることなどから、Aと他の指導員とでは採用のプロセスが異なっていたのではないかとうかがわせる事情はあり、不採用を通知する態様として適切であったとはいい難く、それが組合員であることを理由とするものかどうかが問題となるが、会社が、Aに対し不採用通知を行う以前に、Aが組合に所属していたことや組合活動に参加していたことを会社が知っていたと認めるに足る証拠はない。
 また、会社は、A以外の本件ルームの指導員が組合に加入していることを知っていたところ、本件ルームにおいて、A以外の組合員は採用されていることからすると、会社が組合の組合員を嫌悪し、排除しようとしていたとは直ちに認め難い。
 したがって、本件採用拒否が組合員であることの故をもって行われたと認めるに足る証拠はないというべきである。
ウ 以上のことから、会社は、C2法人に勤務していた本件ルームの指導員の雇用を承継することになっていたとはいえず、また、本件採用拒否は、組合員であることの故をもって行われたと認めるに足る証拠もないことから、本件採用拒否は、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するとは認められない。
(2) 会社が、平成29年2月28日付け文書で組合から申入れのあったAの継続雇用などを要求項目とする団体交渉を拒否したことは、労組法第7条第2号に該当するか
ア 会社とAとの間に労働契約は成立しておらず、また、上記(1)のとおり本件採用拒否は不当労働行為に該当するとは認められない。また、会社は、C2法人に勤務していた本件ルームの指導員の雇用を承継することになっていたとはいえず、会社とAとは、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が現実的、具体的に存在していたとも認められない。
イ したがって、本件事実関係のもとでは、Aは、会社にとって労組法第7条第2号の「雇用する労働者」とはいえず、会社が、Aの雇用継続に関する団体交渉を拒否したことは、不当労働行為に該当するとは認められない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成29年(不)第25号 棄却 平成31年1月8日
 
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