労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第25号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成31年1月8日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人が、①新たに受託した放課後児童対策事業管理運営業務の開始に当たり、従前の受託事業者に雇用されていた組合員1名を採用しなかったこと、②当該事項等に係る団体交渉申入れに応じなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 争点1(会社は、A2組合員の労働組合法上の使用者に当たるか。)について
ア A2組合員と会社との間で労働契約が成立しているかについて
 28.l2.19説明会に出席した指導員6名に対し、会社が雇用の申込みを行つたと判断することはできない。
 29.1.12会社架電をもって、A2組合員に対する個別の雇用申し込みとみることはできない。
 平成29年2月3日の夕刻以降に市教委課長が会社に架電し、もう一度A2組合員に会って話をしてほしい旨伝えたことで、雇用契約が成立するような意思の合致があったとは判断できない。
 したがって、A2組合員と会社との間で既に労働契約が成立しているとは認められない。
イ A2組合員との間に、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が存していたかについて
 労働契約上の雇用主以外の者であっても、例えば、事業譲渡において労働者の大部分を引き継いで譲り受ける予定の事業譲受企業や、労働者派遣においてそれまで受け入れてきた派遺労働者を直接雇用することを決した後の派遣先企業などは、当該労働者との間に近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存在するとして、労働組合法上の使用者と認められる場合がある。
 しかしながら、本件ルームにおける指導員の雇用については、A2組合員が承諾しさえすれば会社に雇用される状況にあったとも、採用の実態として雇用関係の承継に等しいものであったとも認められない以上、会社とA2組合員との間に、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が現実的・具体的に存していたということはできない。

ウ 結論
 A2組合員と会社との間では労働契約が成立しているとは認められず、また、会社とA2組合員との間に、近い将来において労働契約関係が成立する可能性が現実的・具体的に存していたとも認められないことから、会社は、A2組合員の労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。

2 争点2(会社が、平成29年4月1日からのC3小学校におけるのびのびルーム事業管理運営業務の開始に当たり、A2組合員を採用しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。)及び争点3(会社が、29.2.28付け団交申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか。)について
 会社はA2組合員の労働組合法上の使用者に当たるとは認められないため、その余のことを判断するまでもなく、これらに係る組合の申立ては棄却する。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成31年(不再)第2号 棄却 令和2年8月5日
東京地裁令和3年(行ウ)第69号 棄却 令和5年1月30日
東京高裁令和5年(行コ)第50号 棄却 令和5年7月20日
 
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