労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  山口県労委平成30年(不)第1号
田中酸素不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和元年8月22日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、組合が平成30年11月6日に申し入れた平成31年賞与を議題とした団体交渉に、会社が応じないことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、平成30年12月14日に救済申立てがあった事案である。
 山口県労働委員会は、会社に対し、組合に対する不当労働行為として、団体交渉への誠実な対応及び当該団体交渉における資料の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、本命令書の受領後2週間以内に、平成30年11月6日に申入れのあった団体交渉にB1社長が出席の上、誠実に対応すること。
2 被申立人は、当該団体交渉の場で、平成29年及び平成30年の売上げ、利益、人件費、賞与及び基本給の総支給額、及び賞与支給人数を明記した資料を申立人に手交すること。
3 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成30年11月6日の団体交渉申入れに会社が応じないことに正当な理由があるといえるか。
 会社が主張する2月22日のA執行委員長によるB1社長への暴行について、何らかのいさかいはあったものと考えざるを得ないが、仮に何らかの身体的接触があったとしても、B1社長が病院で診察を受けていないことやA執行委員長を告訴するまででないと判断したことから鑑みるに、程度の軽いものと推認され、これをもって団体交渉申入れに応じない正当な理由とすることはできない。
 また、組合とは依然険悪な状況にあり、過去とはいえA執行委員長が有罪判決を受けたことは事実であるから、会社の組合への不信感も相当なものと想像できる。しかし、A執行委員長以外の組合員には粗暴な言動が認められない状況で、会社の主張に正当な理由があると認めることはできない。
 したがって、会社が、組合の反省や謝罪がない限り団体交渉に応じないとすることに正当な理由はなく、不当労働行為に該当するといわざるを得ない。

2 そもそも、過去の団体交渉は、決定権限を持つ者が出席し、かつ実質的機能していたといえるか。
 組合は、会社との間で、団体交渉に決定権限を持つ者を出席させる旨合意しているところ、直近の団体交渉における会社の対応をみると、団体交渉担当者が組合との団体交渉で約した事項を履行せず、次の団体交渉では、団体交渉担当者が合理的理由を説明することもなく、単にB1社長が認めない旨伝えているのみである。こうした会社の対応からすると、B2部長及びB3部長代理に決定権限がないことが明白であるばかりか、果たして会社代表者と団体交渉担当者の意思疎通が図られているのか自体、疑われるところであり、上述のとおり形式的な団体交渉に終始したB2部長及びB3部長代理は団体交渉担当者として実質的に機能していないといわざるを得ず、近年の団体交渉担当者の状況は、会社の主張する「妥結点を見いだすための交渉をする実質的権限を持つ者」であったとも認められない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委令和元年(不再)第40号 一部変更 令和3年3月17日
東京地裁令和3年(行ウ)第186号 棄却 令和4年8月22日
東京高裁令和4年(行コ)第265号 棄却 令和5年2月15日
最高裁令和5年(行ツ)第207号・令和5年(行ヒ)第225号 上告棄却・上告不受理 令和5年9月8日
 
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