労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第55号
国際基督教大学不当労働行為再審査事件
再審査申立人  X組合 
再審査被申立人  Y2法人 
命令年月日  平成29年11月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 Y1会社に雇用され、Y2の設置する大学において従事していたAは、Y2の女性職員に性的嫌がらせ行為を行った旨の苦情がY2からY1に寄せられたことなどを理由として、Y1から解雇された。申立外Z組合がAの解雇撤回や謝罪を求める団体交渉を行い、Aが地位確認訴訟を提起したところ、当該解雇は撤回されたが、職場復職や謝罪等に関する団体交渉では合意に至らなかった。その後、AはZ組合に脱退届けを提出し、X組合に加入した。
2 XはY1とY2に対し、Aの解雇に関する金銭解決や謝罪等に係る団体交渉を申し入れたが、Y1はAが労働組合に二重加盟しているおそれがあり、交渉権限の調整・統一がされていないとして、また、Y2はAの使用者に当たらないとして、それぞれ団体交渉に応じなかった。
3 本件はXがY1とY2がAの解雇問題に関する団体交渉に応じなかったことが、不当労働行為であるとして、救済申立てをした事案である。
4 初審東京都労委はY1に対して、団体交渉を拒否したことが正当な理由がないとして、誠実団体交渉義務を命じたが、その余のXの申立てを棄却し、Y2に対しては、Aの解雇問題について使用者には当たらないとして、Xの申立てを棄却したところ、Xはこれを不服として、Y1とY2を被申立人として、また、Y1はこれを不服として、Xを被申立人として、それぞれ再審査申立てを行ったものである。
5 なお、その後、Y1は再審査申立てを取り下げ、また、XはY1に対する再審査申立てを取り下げた。これにより本件再審査においては、XのY2に対する再審査申立てのみが審査の対象となった。
 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 Y2は労組法上の使用者に当たるか
 Y2がAとの関係で労働契約上の雇用主に当たるものではないことは当事者間で争いがない。そして、本件団体交渉事項は、解雇によるAの雇用終了という雇用問題に係るものであるから、解雇を含む雇用管理、すなわち、採用、配置、雇用の終了に関する決定に関わるものということができる。よって、Y2が労組法第7条の使用者に当たるといえるためには、上記一連の雇用管理に関する決定について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していなければならないと解するのが相当である。
 ア 採用及び配置について
  Aの採用及び配置については、Y1会社が決定、実施していたものと認められるのであって、Y2が主体的に関与していたとの事実は窺えない。
 イ 雇用の終了について
  雇用の終了についても、Y1会社が決定、実施していたものとみるべきであり、Y2が主体的に決定、実施したものとは認められない。
 この点につき、Xは(ア)Y2がAを性的嫌がらせの実行者に仕立て、Y1に対して「悪い芽は早く摘め」などと指示したこと、(イ)Aの解雇後の欠員を埋めるために解雇の半月前から見習いの警備員を受け入れ、このことを隠していたことなどからAの解雇はY2が手動したものであると主張するが、Y2がY1に(ア)の指示をしたと認めるのは困難であるし、(イ)に関する事実があったか否かについては、Aの解雇を決定したのがY1であると認められる以上、Aの解雇問題に関する法人の使用者性の判断を左右するものではない。
 以上のとおり、Y2がAの解雇を含む一連の雇用管理について、雇用主たるY1と同視できる態度に現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めることはできない。
 XはY2がAに対して日常の業務指示を行っており、使用従属の関係にあったとして、このことがAの解雇問題に関するY2の使用者性を肯定する事情であるとも主張するが、本件団体交渉事項は、就労の諸条件に係るものではなく、Aの解雇を含む一連の雇用管理に関する決定に関わるものであるところ、Y2が雇用主たるY1と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めることはできない。
2 結論
 Y2は本件団体交渉事項について労組法第7条の使用者であると認めることはできない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、Y2が本件団体交渉申入れを拒否したことは、労組法第7条第2号の不当労働行為には該当しないから、Xの再審査申立てには理由がない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
都労委平成26年(不)79号 一部救済 平成28年9月6日
 
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